映画評

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カテゴリー「ゆ」の6件の記事

2016年7月22日

ユーズド・カー(1980)

Columbia

- 若々しい映画 -

議員に立候補を考えている野心家の男。彼は中古車屋に勤務していたが、店主が急死したことから、彼の計画に支障が出る。そこで彼は大計略を開始するが・・・

・・・DVDで鑑賞。古典的な作風だが若々しく自由な発想の展開で、映画の面白さ、くだらなさを徹底的に表現しようとしたかのような作品。おそらく監督のゼメキスらのアイディアにスピルバーグが乗って、低予算で作られたのではないか?

1980年頃はたくさんの映画を観ていたが、この作品は劇場で観た記憶がない。宣伝にも気づかなかったのだろうか?あまり評判にならなかったのかも知れないし、ひろく興業されなかったのかも。スターウォーズのような大ヒット作にならないことは明らかでもあるので・・・

主人公が上院議員を目指すような人物ということが、キャラクター設定の上で良かったし、ストーリーにも好都合で、脚本の基本に則った設定と感じた。映画関係の大学の学生が学んだ通りにやるような設定。主人公が偶然この話に遭遇するのでは、流れとして無理がある。過激な行動をとりそうな人物であり、過激にならざるを得なかった点を我々が理解しやすかった。

主人公のカート・ラッセルは、劇場主には魅力が理解しがたい役者。目立って格好良いわけではなく、ハンサムとも思えない。タフなキャラクターと言えるかも微妙な印象。たぶん、センスが良いのだろうとは思うが、息の長い活躍ができる理由ははっきりとは分からない。

でも、この作品の彼は非常に存在感がある。カースタントもやっているようだし、ドタバタした喜劇もこなしている。彼より目がはっきりしたコメディアンが演じたら、きっと彼以上におかしかったろうと思うのは思うが、彼なりにちゃんと演じている。

中古車屋同士がライバル関係にある設定は、なかなか良いアイディアだった。ドタバタ喜劇が展開される際に、相手を双眼鏡で見ながら戦略を練る設定が成り立ち、おかしさが倍増する。こういう争いは、他の映画でもよく見られるように思う。古典的とさえ言えるだろう。この作品は作り方が古典的だ。

店の宣伝のためにストリッパーを呼んでくる話、宣伝文句通りに多くの車を運んで来る作戦、それを邪魔するライバル店とのカーチェイスなど、見どころが多い映画。ただ、軽すぎる軽薄さを感じることも間違いない。学生のノリだ。映画のスタッフらが撮影しながら楽しんでいた様子が伝わる映画。

2014年3月14日

許されざる者(1960)

- 秘密に無理あり -

開拓地に暮らす家族。娘の秘密を知るという老人が現れ、家族はインディアンに狙われ、町の住人からは孤立する展開になる。とうとう全滅の危機に・・・

・・・ジョン・ヒューストン監督。オードリー・ヘップバーンとバート・ランカスターが主演となると、期待しないほうが難しい大作だと思うのだが、この作品の存在は知らなかった。ヒットしなかったからだろうか?

タイトルを見て、イーストウッド主演のオリジナル版があったのかいな?と、勘違いした次第。

随所の映像美は感じる。荒野を写しても、牧場や川のほとりを写しても、良い雰囲気を感じる。でも、少しバラバラな印象もある。ラストの戦いも、最後のほうはちょっとあっけない。

この作品は、若者には受けそうにない。古い映画が好きな年配の方(私のような)が、「おやあ?こんな作品あったかいな?」と、観てみるためのDVD限定映画だろう。

そう言えば、ブルーレイプレイヤーを買って、まだあんまり使っていないのに、もう次のディスクの企画が決まったそうだ。またまた4倍くらい画質が良くなるって言われても、ブルーレイはどうしたらいいのだ?

謎の老人のシーン。登場した際は、妙に体を傾け、砂埃とともに姿が見えなくなる。幻想的なイメージを出したかったのだろう。途中で老人を探索した兄弟が砂嵐の中で見失ってしまうシーンも、埃の表現が非常に素晴らしいと思う。

名画になる可能性があった企画だと思う。ヒロインの風貌や、ちょっとしたストーリーの違いがあれば、凄いメロドラマ~歴史絵巻のような魅力が出たのではないかと思った。原作の設定にも無理があったのだろう。

インディアンと白人の見分けがつかないというのが、そもそも無理のある話しで、いかにも演劇的な設定なのが観客の支持を失う結果になると思う。例えば、インディアンの娘を拉致して来たのか、孤児を引き取って育てたのかという違いが問題なら、もっとリアルな話になったと思うが、それで良かったのでは?

ヒロイン役を、例えばインディアンの血が入った女優や、メキシコ出身の方などが演じていたら、リアリティが非常にアップしたと思う。オードリー・ヘップバーン嬢は美しいが、見た目からしてインディアンではない。

インディアンに対する出演者達のセリフは酷い。インディアン臭い、お前がインディアンなら出て行けなど、差別言語のオンパレード。実際に当時はあんなものだったのだろうか?非文明社会だし、殺し合いをやっている関係だから、良くは思ってないだろうが、侵略者側であるという認識がないのか?

子供の頃の秘密が、狭い世界で隠せるというのも無理を感じる。いかに個人主義の国の人々と言っても、人数が限られている村では、子供を育てる過程で秘密などなくなるだろう。

秘密と言えば・・・・昨今、STAP細胞の研究に関して、急に怪しい報道が目立ち始めた。つい最近までは、多くの報道で褒め称えていたはずなのに、この急展開には驚く。

結論は分からない。しばらく様子を見て、他の施設でSTAP細胞が再現されるか確認しないと何とも言えない。もしどこか、他の第三者機関で再現されたら報道機関は責任をとるべきだが、どうやれるだろう? 

今の段階で論文の取り下げを求める動きはおかしい。捏造疑惑が捏造された可能性もある。共同研究者の動きは早すぎる。脅されたか、責任逃れしようと考えたのか、いずれにせよ男として、人としての信頼を失う行動だった。

研究には予算の取り合いがともなうし、名声や出世が関わるので、足を引っ張ろうとする研究者が必ずいる。内部にも、彼女に光が当たる現状を快く思わない人物がいたのかもしれない。

研究の方法の記載に関しては、他の論文と記述がかぶる可能性はあると思う。基礎的な点は過去の方法を踏襲するのが実験の世界なんで、オリジナルの方法に至る前の段階までは、むしろ同じ表現でないとおかしい。最初からオリジナルの方法だけでやれたら、そっちのほうが噓くさい。

でも画像にコピーペーストが疑われるというのは、ちょっと説明がつかない。実験画像は数百枚単位で撮影するはずなので、使いまわしする偶然は滅多にないと思う。ただし、画像の問題に気づく人が多すぎる点も気になる。何か組織的に探らないと、こうも様々な報道は出てこない気がする。

少し思ったことで根拠はないのだが、東大の先生が画期的な研究をした際、某方面からの圧力で研究を潰されたことがあるそうだ。そのままにしておくと、IT技術が日本で開発されるから許せないと考えたらしい。同じように、某方面の技術が先を行き、理研の研究を圧倒できるまでは、この種の報道が組織的に行われる可能性はある。

巨額の資金が動く市場が開けるから、何だってやると思う。今、某国ではSTAP細胞の工場を懸命に作って市場の制覇を目指しているのかも。

非常に組織だった報道に、違和感を覚える。結局は静観するしかないはず。どこか別な研究所が成功するかどうかだけが、事の真相を明らかにする。

 

 

2013年5月11日

夢売るふたり(2012)

Photo

- においを感じた -

居酒屋を営む夫婦。ある日、店が火事になってしまう。しかし、夫婦は資金を集める新しい方法を思いつく。それは女性に夢を売る商売だった・・・

・・・よくぞ思いついたアイディア。西川監督が原案から脚本までこなした作品らしい。監督が女性だったことで表現も随分と露骨。それによってリアルで、臭いさえ感じられそうな芝居が演じられていた。

市内の劇場でかなり長く上映されていたが、とうとう観ることができなかった。今回はDVDで鑑賞。

この作品は間違いなく日本アカデミー賞作品賞に相当すると思うのだが、選にもれてしまったらしい。ドギツさがあだとなったかも。においを感じるような映画はアングラ的で、賞にはそぐわない。子供にはそもそも良くない。R15指定が付いていたと思う。恋人とこの作品を観る?・・・少々覚悟を決めてからのほうが良いと思う。最初のデートで見るのは勧められない。

この作品、このまま海外でリメイクされそうな気もする。どこの国でも扱いうる普遍性を感じる。その国、その地域なりに演出を変えることもできそう。よくぞ思いついた話。実際に似たような事件はあったかもしれないが。

水木しげるのマンガの中に似たような話があった。戦後の困窮時代の実話らしいのだが、夫婦が共謀して不倫や売春、結婚詐欺をしてトンズラという算段だったらしい。後日、イカサマ夫婦とばったり遭遇するが、「あの当時は皆喰うのに困ってたからねえ・・・」と、許してしまう話。とことん困れば、何でもありうる。

詐欺を描く日本映画の多くで、騙される様子が滑稽に感じられる。役者が真剣に演じれば演じるほど、おかしくなる。だから途中の笑いは約束されたようなもの。でも顛末のもって行き方が難しい。そのまま逃げ切る話にするか、結局はばれて酷い目に遭うか、失敗しても何かの救いを感じさせるかどうか、その辺の加減によっては作品が台無しになる。

惨いだけのラストでは後味が良くない。仮に計画が失敗したとしても、ほのかに微笑むシーンが絶対に必要だと思う。その表現の加減が難しいが、この作品はどうだったろうか?良かったとは思うのだが、最高だったかは解らない。

松たか子がヒロインを演じていたのが凄い。お嬢様の印象がある松だが、近年の役柄は相当激しい。顔つきに弟ほどの品の良さはなくて、かなりワイルドな印象があるので、こんな役には最適だった。ナプキンを変えるシーンはよくぞやったものだ。無表情に手際よくこなすと主人公の考え方が解る。女性監督でないと、なかなかやりにくいだろう。

この役、ちょっと前なら、かたせ梨乃などドスの効いた女優が演じるべき役柄だったと思う。体型で言えば色気が感じられて、スレンダーではなくグラマー。いわゆる肉食系という印象。そうでないと、夫を脅して働かせる迫力が出ない。松たか子は好演だったが、ドスは感じなかった。

田中麗奈の表情も素晴らしかった。彼女は小さい頃から女優になるべくして育ったそうだが、確かに役柄そのままの個性の表現が充分に出来ていた。きつそうな表情が良い。いかにも騙されそうな、ひどく恨みそうな気配が非常に濃厚に感じられた。殴り方も手加減を感じさせず、素晴らしかった。

彼女がヒロインを演じると、おそらく底知れぬ悲しさが表現できたかもしれない。独身OLの悲しさとは違った狂気じみた悲しさを表現できそうな女優さん。

安藤玉恵という女優も目立った。風俗嬢にしか見えないような表情、振る舞いが素晴らしい。重量挙げ選手を演じた女優さんも、本職の選手にしか見えない。選んだスタッフも、選ばれた女優達も見事だった。

男優の阿部サダヲも役柄通り。彼の目が素晴らしい。非常識でどこか違うところに行ってしまっている人間を演じるには最適な目。グループ魂の公演で見せる「中村屋」のギャグで知っていたが、役者としてのほうが知れ渡ってしまった。ただし、この役ではもう少し演技を抑えても良かったかも知れない。

演じる役者によっては別の個性も考えられる。例えばの話、豊川悦司のような俳優が演じて、実際に女性が好きになりそうな色気を強調する手もあったと思う。もっとリアルになる効果は期待できる。でも、実際に詐欺を達成する男は私には意外に魅力の感じられない、ナヨナヨした小男のことが多い印象もあるので、二枚目が演じる必要はないのかも。

結婚詐欺を身近で知らないので、やられる女性の気持ちはよく解らない。田中麗奈の場合を例にとると、涙を見せるタイミングを見計らって取り入った計略が効果的だったようだ。別に計画する必要もない。その場に上手く居合わせたら、タイミングよくハンカチを出すことは出来る。(ただし、私のハンカチのように子供の鼻水がついていたら逆効果だが)

その後、悩みを聞いてあげる段取りも必要らしい。話を聞いて「なんて下らないことに悩むの。」などと正直な印象を言ってしまう私のようなアホウでは、一生不倫はできない。腹に何か隠した狙いがあるなら、我慢して相手をすることは必要。忍耐できるのは、狙いが大きいからだ。

そう考えると、話に乗ってくれる異性は必ず何かの狙いがあると考えたほうが正しいかも。良いヤツ、話の解る人は、即ち詐欺の意図があるか真からの暇人。だから、夜の街や二人きりの部屋で駄弁る場合には、「この相手の真の意図は何か?」という視点に切り替えてみることも考えるべき。

考え過ぎると、一生独身で孤独という事態に陥る可能性も高いが、どっちが良いのか解らない。麗奈嬢も、一時の夢を持てたんだから、全くの最悪ではないと・・・・でも、そんなこと言ったらヒールのかかとで殴られそう。

 

 

2011年11月 4日

ユナイテッド93(2006)

- 真摯な描き方 -

同時多発テロでハイジャックされた航空機の、乗客と乗務員、テロリスト達の行動、感情、判断をリアルに描いた作品。

テロリストが悪人としてではなく、敬虔なイスラム教信者として描かれていた点が、米国の作品としては異質。航空管制に関わる人達が、何が起こったのか判断に失敗する様子も非常にリアルで、説得力がある。おそらく本人達へのインタビューなどで、詳細に確認していたのだろう。勝手に描いたら、訴訟沙汰になりそうな内容。

航空管制局らしき職場と軍の連絡が上手く行かない状況が描かれていた。軍の担当官がいない、いても明確な判断は上層部待ちという対応で、戦闘機を発進できない。対応が万事遅れてしまう。あのシーンは、日本の事故対応でもありそうな感じだった。

実際の現場が映画と全く同じだったとは思えない。人は、過去の記憶を自分に都合の良いように加工して記憶しがちである。行動に移れなかった人間がいても。彼には彼なりの言い訳があるはず。インタビューで詳細に真実を聞こうとしても、本人の認識のベールを経た内容しか得ることはできない。

確かに想定外の事件だった。いっぺんに複数のハイジャックが発生し、しかもビルに突っ込むなど、当時の現場で瞬時に予想し、速やかに対応できた人はいなかったろう。ベテランの管制官たちでさえ、事を理解し適切に対応することは難しかったと思う。

私も一機目のニュースの段階では、パイロットの発狂だろうと考え、まあテロの可能性も否定はできないな、くらいの認識だった。見ていたテレビの画像に、いきなり2機めが突入し、その段階で初めて理解できた程度。一般人の想像を絶する大きな計画だった。

この作品の特徴は、とにかくリアルに描いてあること。演出もされてはいるが、根本となる姿勢が真摯な感じ。誇張をまじえて何か商業的な成功につなげようというのではなく、言わば「ドラッガー的」というか、本来の立場に立って意欲を持って仕事をこなし、評価を高めることで成功につなげようという姿勢。

家族一緒に観るタイプの映画ではないと思う。恋人といっしょに観て、いわゆる「楽しむ」といった作品ではない。ドキュメンタリー作品だから、覚悟して観るタイプの映画。NHKの特別番組的な内容。

(民間人への攻撃に関して)

日本人の一員としては、テロリストに独特の感情が沸く。単純な敵、絶対的な悪人として見ることはできない。特攻隊などは、欧米からすれば元祖テロリストのような存在だったと思うから。

ただし、民間人を巻き添えにする点が共感できない。特攻隊も自爆攻撃だったが、敵は明らかな兵隊だったはず。テロという性格ではなかった。一般の航空機に乗り合わせた乗客の都合は無視というのは、特攻隊員でも納得できない話ではないか?

ただ、欧米流の覇権は、イスラム圏の民間人を奴隷的立場に置いているという主張も一定の真実ではあるので、既にイスラム圏の民間人は巻き込まれている、欧米のやることに軍人と民間人の区別はないという理屈も、彼らの頭の中では成り立つのかも知れない。

民間人を戦闘に巻き込まないというルールは、欧米が勝手に定めたもの。実際には祖国の一般人たちは経済的に支配(=攻撃)されている。商売と経済的覇権、影響力には密接な関係にあるので、欧米が何かの影響力を発揮し、実質的に支配することが、攻撃に他ならないという感覚は間違いではない。

(TTP)

最近問題になっているTTP。正直なところ、どういった交渉内容で、どんな契約になるのか、さっぱり解らない。報道規制されているような気もする。影響力を行使し、情報を管理し・・・それは支配の手法。

常識的に考えればTTPに加入して喜ぶのは、明らかに米国側の企業だと思われ、おそらく民主党の首脳部が参加に前向きなのは、強力な脅しがあるからだと思う。関税を撤廃すれば、どう考えても農業には大きな打撃があるし、圧力がかかって、アメリカ流の保険、貯金、医療、年金しか条約に合致しない、法規制をアメリカに合わせないと条約に違反するという事態も懸念される。

つまり、かなりの部分で主権を失うということ。

歴史も地理も無視して経済的障壁を撤廃すべきとは思えない。関税権を手放すと、自国の産業を守る手段を失う。国が政策でもって産業を育成~保護するという政策が、初めから実施不可能になる。高い税率に一定の制限を設けることは理にかなっていると思うが、いっさいの撤廃は最初からありえない。

農業経営の大規模化で対処しようという意見をはく人がいるが、山だらけの日本では最初から限界が見えている。対処できるはずがない。見渡す限りの広大な農地がある国と、棚田が美しい国土の日本とで商品を並べさせることは、明らかに不平等。

輸出企業にとってアメリカとの関税撤廃はありがたい話だろうが、農業を犠牲にすると、安全保障を度外視することになる。食料を半年でも止められたら、どんな国でも耐えるのは難しい。抵抗の可能性すら手放すことになる。それに輸出企業は、もともと国外に出てグローバル企業にならないと生きていけないのが時代の潮流。グローバル企業がどれだけ繁栄しても、国家が破綻して良いことにはならない。

関税撤廃は、国境の撤廃、国の合併を目指すEU的な方向とセットになっていなければならない。その必要性があるのかどうか、自分には解らない。アメリカが合併を意図しているとは、ちょっと思えない。単なる市場としか見ていないはず。

話を戻してイスラム社会。

共産主義が去った今日、欧米の援助は必須ではない。仮に欧米の強い影響がなくてもイスラム圏はやっていけるし、石油がある地域は豊か。石油がない地域は貧乏でも宗教的には幸せな状態で生きていける。欧米流の価値観を持ち込まれることで、精神的には不幸になることも多い。出て行って欲しいと願える状態。

歴史的な根深い対立がある。自爆テロさせるほどの対立。アサシンの伝統がある地域に特有の、過激な戦法も独特の影響を与えているのかも知れない。解決に向かうことは、今の時点では考えにくい。

イスラム圏が急速に社会構造を変化させ、経済活動に熱中し、利害が一致して欧米との対立を避ける方向に向かうとすれば、経済的に順調な状態が続かないといけない。ところが欧米経済の先行きは恐慌さえ予想され、順調とは言いがたい。何か働きかけをしようにも、欧米諸国、投資家ともに余裕がないのでは?

ユーロ圏は、金融安定が最優先で、恐慌を阻止すること以外に予算を使えるかどうか?投資家は、儲けにつながりそうもない国への援助を支持するはずがない。ドバイのような特殊な地域を除き、イスラム圏に資金が流入し続ける可能性は、ちょっと考えにくい。

政府が大きな力を持っている国の場合は、政府を管理すれば国を支配できるが、部族に分かれている地域、軍閥が跋扈する国は管理が難しい。投資の対象ではないと考える。したがって何か大きな事件が起こらない限り、働きかけには慎重になり、効果も不充分な状態が続くのでは?個別のテロを、全て排除することは難しいだろう。

逆にアメリカ側が戦争でもって経済的な問題を解決しようとする動きも、ありえないとは思えない。例をとるなら、恐慌後のアメリカはニューディール政策が成功したとは必ずしも言えない。でも、その後の戦争で失業者対策が成立し、愛国心から予算が動いて好況を確立できた歴史がある。同様の成功を狙う動きがありえるかも。

乗客たちは本当にテロリスト達に立ち向かったと思えるが、最終的には操縦していた人間が飛行機の操縦に失敗しただけの可能性はないのだろうか?どの程度の記録が残っているのか?真相は知らない。

実際に機内にいたら、はたして抵抗しようと考えたかどうか?ハイジャック犯が本当にビルに突っ込むつもりと断定するのは難しい。他のハイジャック機が突っ込んだらしい・・・でも、らしいだけで行動するのか?ガセネタではないのか?・・・そんなふうに考えると、行動に出るのは自殺行為の可能性もある。

何か金銭を要求するだけで、何もしなければ救出されていたのに、余計なことをして全員を死なせてしまう可能性は怖い。今までに体験したこともない、想定外の事件で、思い切って立ち向かうことができた乗客達は非常に勇敢で、勘も優れた人たちだったんだろう。

自分が乗客だったら、おそらく何が起こっているのか理解できないままだったかも。 

 

 

2009年3月10日

ユア・アイズ・オンリー(1981)

Kitui

- 懐かしいテンポ -

ギリシャで、イギリスの情報収集船が沈没し、秘密機器が海の底に沈んでしまった。イギリス政府は引き上げを海洋考古学者に依頼した。しかし、何者かによって学者は殺されてしまう。学者の娘は超美人のキャロル・ブーケ嬢(写真)。復讐を誓う。

いっぽうジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、犯人を調査するためスペインに飛んだ。しかし犯人は殺され、ボンドはブーケ嬢とともに激しいカーチェイスで殺し屋から逃げる。

今度は殺し屋の正体を探るべく、イタリアのスキー場に行く。そして、なぜかスケーターのリン・ホリー・ジョンソンとブーケ嬢までが集まる。今度はスキー場でバトルが繰り広げられる。KGBのスキーヤーなどと激しい追走劇の合い間には、いつものように女性達とデート。

さらにはギリシアに登場し、そこでギリシアの富豪クリスタトスと密輸業者コロンボのいずれかが悪玉と判明する。ついでに伯爵夫人とデートし大忙し。しかし、伯爵夫人は殺されてしまう。

美しい水着姿を披露するブーケ嬢と海に潜ったボンドは、ついに問題の秘密機器を見つけ出すが、クリスタトス達が待ち受けていた・・・

・・・テレビで観賞。懐かしいロジャー・ムーアが主演。階段を駆け上がって敵の殺し屋を撃つ場面があったが、明らかに動きが遅い。あんなんじゃ、逃げられてしまう。でも、ロケ地はよく考えてあった。ロジャー・ムーアの体力に合わせて、車が遅れてくるような場所だった。

ただし、万事がそうなので、テンポが遅い。今のボンドはかなり身のこなしがいいのでスピーディーな展開が可能だが、ロジャー・ムーアは確かショーン・コネリーよりも年上なので、無茶はできない。顔はボンド役にピッタリなんだが。

それと‘モジョ’が足りない。欧米女性の感覚は私には解らないが、彼は紳士的すぎるようなイメージがある。胸毛はあったかな?

キャロル・ブーケ嬢(写真)は眼がきついが美人でスタイルもいい。あの眼は懐かしい。昔、医局の補助員をしていた女性の目つきだ。じっと見つめられると「何か要求されているのかな?」と、勝手に勘違いする男が出そうな眼だった。でも、眼がきつすぎて、彼女の表情は読みにくい。女優には向かないと思う。

リン・ホリー・ジョンソンも懐かしい。この映画におけるキャラクター設定が解りにくいが、かわいい印象だけは残った。もとがプロのスケーターなんで、スケートをするシーンくらいしかなかったが、あの時点でラブシーンなんかやれないキャラクターだった。

プールのシーンでは今のボンドガールよりも明らかに太目の女性達が目立つ。あれが私としては好ましいと思う。皆がモデルスタイルではつまらない。

スケートで逃げる場面が最高のできだった。演じたスタントマン氏の腕は素晴らしい。ボブスレーかリュージュのコースをスケートやバイクですべるなんて、オドロキの技術だ。今観ても感心する。

テンポが遅いが、懐かしいテンポもいいのでは?ただし、この作品は恋人と観てはいけない。テンポが遅いとシラケル人も出る可能性があるからだ。スパイ映画でシラケたら最悪だ。ハラハラしないといけない。スピードはハラハラの大事な要素だ。

2008年10月22日

夕陽のガンマン

- 気取ってる  -

リオ・ブラボーの街には、大きな銀行がある。この銀行の金庫は巨大で、しかも番人がライフルを持って立てこもり、まさか強盗が成立するような可能性はない・・・はずだった。

脱獄囚の悪人は、仲間を引き連れて銀行を襲う。どうやって?ありえない手段を使うのである。

いっぽう賞金稼ぎが二人、この町にやってくる。ひとりはクリント・イーストウッド、もうひとりはリー・バン・クリーフ。俺の邪魔すんな!ってな理由で二人は対決する。二人の銃の腕は信じられないくらい凄い。空中で帽子が落ちないように撃って、しかも帽子を遠距離に飛ばさないなんて、物理的にありえない。

とにかく、ふたりは共同で敵の襲撃を撃退し、賞金を稼ごうと考える。敵の仲間入りを果たして、まんまと騙したつもりが、敵もさるもの、逆に利用しようとする。

騙しあいの末に、敵と対決することになった二人の賞金稼ぎ。リー・バン・クリーフは、何か敵とは過去の経緯がありそうである。オルゴールの女は、いったい誰か?

これはマカロニウエスタンの代表作だ。日本のヤクザ映画、大衆演劇に近い雰囲気を感じる。必要以上にカッコづけた表情、身振りが、実にサマになっている。

なぜ東洋の島国と、ヨーロッパの起源と言える歴史のイタリアが、似たような演技を好むのか解らないが、食べてるお魚に関係があるのか?(あるわけない)

クリント・イーストウッドはスマートな体型で、殴り合いで敵を圧倒するような力があるようには見えないが、すぐ人を殴っていた。しかも、動きが素早いわけでもないのに、並んだ敵が銃を発射する前に、一方的に撃ち殺していた。ありえない話である。

ありえない話が、いとも簡単に、堂々と行われていた。主人公は敵に捕まって集団で殴られても、翌朝にはシャキっとしてすぐ反撃できていたし、顔の腫れもほとんどなかった。普通なら打撲や骨折だらけで、2週間ぐらい寝てないと動けないのではないか?ありえない~。

ありえない部分は、カッコづけでごまかして、すぐに銃に弾を込め、あっさり復讐できる。全身筋肉痛で困るようなところは微塵も見せずに、しゃきっと走る。リアリズムなんか、くそっくらえだ!

絵になることを最優先に映画を作っている。ニヒルな表情を浮かべた登場人物が、意味のない動作でキメのポーズとキメぜりふをはく。いやあ、しびれますなあ。

音楽も最高にニヒル。エンニオ・モリコーネが若い頃に手がけている。ギターがビヨンビヨン鳴るのが、なんとも不快なようで、意外に映画の雰囲気に合っている。

この作品は、結構いろんな映画人に参考にされた関係で、今の若い人達は古臭く感じるかも知れない。昔はタフな男と思えたイーストウッドの表情も、あまりに目を細め過ぎるんじゃないか?視力が落ちたのか?と心配されるかもしれない。

最近のタフガイのブルース・ウイリスも似たような表情をする。でも日本人のタフガイは、ちょっと違う表情が多い。ガンをとばす時には、上目、横目が中心である。この辺の違いは何でだろうか?

恋人といっしょに観る映画ではなくなった。子供にも、もはや流行の作風ではないので勧められない。懐かしい映画が好きなヤツラが、唯一この作品のターゲットかな?

全体の話の流れ、途中のエピソードなどが実に適切に配置され、敵の脇役達の気味の悪い個性、ちょっと登場する少年や店の女に至るまで、皆の役割分担が実に上手く機能している。皆が個性的と感じられるから、もうそれだけで作品の成功は疑いない。

独特のキメの約束事に慣れてくれれば、この作品は今でも面白いんだが・・・

 

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