もしも昨日が選べたら(2006)
- 手慣れた手腕を感じました -
始まった途端に結末が解りました。でも、この作品に限り悪いことではないと思います。陳腐なストーリーの映画は、安心して観れるという良い面もあります。ホームドラマを観ているような感覚で、お約束のギャグで笑い、ラストでは泣けました。
脚本家が「ブルース・オールマイティ」と同じで、そう言えば作品の雰囲気も同じで、夢のような力を手に入れた主人公がまき起こす冒険、トラブルをギャグを織り交ぜて映像化していました。こちらの作品のほうが特撮効果は練ってあったようで、肥満体になる時のメーキャップ、過去の場面を見るときのCG画像の処理は非常に進んでいました。スピルバーグ監督の作品と差がないくらいの高い完成度だったように感じました。
この作品は、でも大人向けでしょう。ぬいぐるみに犬が挑んでいる姿が頻繁にでていましたが、小さい子供への影響は「?」です。恋人と観るには、最高の作品かも知れません。ギャグが汚すぎないし、テンポ良く話が進みますから、ほとんどのカップルが退屈しないで楽しめると思います。
主人公のアダム・サンドラーがサタデー・ナイト・ライブ出身のためか、共演者が喜劇映画で頻繁に見かける人達でした。主人公の奥さんの友人役ジェニファー・クーリッジと社長秘書のスタイルの良い女の子は、「最愛絶叫計画」で共演していました。スタイルの良い女優はソフィー・モンクという娘ですが、目つきが厳しくて色っぽいけど喜劇的でネコのような雰囲気が、いかにもエッチな雰囲気を出しています。
アダム・サンドラーのギャグの時の力は素晴らしいものでした。ジム・キャリーのような顔芸はないかもしれませんが、総合的には彼よりも上かも知れません。何となくいい人じゃないかという雰囲気がにじみ出て、非常に魅力的でした。やや毒が少なめなのは、最近のコメディアンには珍しいキャラクターです。下手すると簡単に消えてしまう可能性もありますが・・・。
奥さん役は好感度の高い旬の女優を選んでありました。良いキャスティングでした。色っぽすぎても勇ましすぎてもダメで、好感を持ってもらわないといけない難しい役でしたが、うまく演じていました。
コメディアンが毒々しくなく、しかもラストでしんみりさせるのは、ちょうどチャップリン映画のパターンです。笑わせて親近感を充分持った観客は、コメディアンの不幸に心から同情します。あまりにも毒々しい俳優には難しいことです。将来、彼の主演で凄い傑作な悲劇~喜劇を作れそうな予感がします。
特殊メイクは、有名なリック・ベイカーが担当していましたが、太った時の肉のつけ方、肉質などは本当に見事でした。しかもメイキングビデオを見ていたら、必要に応じてデブの実写に顔だけ合成したりしていたそうで、恐れ入りました。主人公以外の人が止まった状態の映像も、実に自然でした。
SF大作ではないマイナー気味の映画、と言ったら失礼ですが、このような作品に、素晴らしいテクニックを導入して、見事な映像を作り出せることに感動します。技術者の底力があるから、できることでしょう。
