映画評

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カテゴリー「み」の26件の記事

2017年5月 8日

ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影 <シャドウズ> (2016)

-Out of the Shadows, Paramount Nickelodeon etc-

前作で逮捕した犯罪者集団のボスが脱走した。ボスは謎の宇宙人と結託し、地球を征服する作戦が始まる・・・・

・・・・DVDで鑑賞。このシリーズを劇場で観ようとは思えない。小学生くらいの子供がいて、他に適当な映画がない、時間が合わない、そんな条件がある時くらいしか観ないだろうと思う。

でも、出来映えに問題があるわけではない。アクションのレベル、CG技術に関しては、第一級の凄さがあると思う。愉快なアクション映画として、完成度は高い。お子様映画というだけのことだ。

今回は敵の側に新たなキャラクターが登場していた。イノシシやサイの姿をした悪役は、ユーモアたっぷりで存在感があった。妙な宇宙人も、普通に考えると弱そうなんだが、独特の気味悪さがあって、なかなか面白い。敵としての魅力は充分だったろう。

タートル達の冒険も、空中を飛んで別な飛行機に移るなど、派手で迫力があった。昔なら、あの画像を見て感動してしまったかも知れない。でも今は、他にも凄い映像を見せてくれる映画は多いので、特別に凄いと感じなかった。

愉快なアクションという路線に関しては、このシリーズは結構よい線いっていると思う。マヌケなヒーローが活躍する「デッド・プール」なども、路線としては同じと思うが、タートルズ達は各々が個性豊かで、ラッパー調の会話も面白く、他に代えがたい魅力がある。

ただし、劇場主だけだろうか?既に、このシリーズの趣向には慣れてしまっており、次の作品を是非みたいとは感じなくなっている。タートル達のアクションはそりゃあ素晴らしかろうし、彼らの会話はひねりが効いてておかしいことも分かっている。マヌケな失敗も笑わせてくれるし、最後はきっと敵をへこますだろう。

でも、たぶん感動することはない。感動するのは、本当のヒーローを感じさせる暗さ、自己犠牲、悲しい運命、別れ・・・そんな要素が大きい時に多い。あるいは、本当に画期的な展開、もしくは敵が素晴らしく魅力的だった場合もそうだ。このシリーズには、そこらの要素が欠けていると思う。

だから、このシリーズの映画化の企画は、既に曲がり角に立っているはず。

 

 

2017年2月19日

ミュータント・タートルズ(2014)

Mutantturtles


- 安心して鑑賞 -

ある実験でカメ達が高い知能と運動能力を得た。彼らは地下に潜んで、ひそかに犯罪者組織と戦っていたのだったあ・・・・

・・・・有名アニメの実写化作品。実写と言ってもCG技術をたっぷり使ったCG映画に近い。トランスフォーマー・シリーズのスタッフが再結集した感じで、ヒロインもその一人だった。

ストーリーは適当に作られたような印象を受けた。元のコミックではどんな流れだったのだろうか?この作品のウリは、忍者達の会話、そして派手なアクションだと思う。セリフはラッパー達のそれを参考にしていたのだろう、よくは知らなかったが、声優がおそらくラッパーかコメディアンだったようだ。

格闘のシーンは出来が良かったと思う。動きがダイナミックで、しかも本物のカンフー映画のように美しい。ラスト近くのビルの屋上でのシーンなどは、建物の立体感、高さの表現なども素晴らしかった。

子供と安心して見ていられる作品と思う。お色気女優のミーガン・フォックス嬢がヒロインだが、それほど色気は出していない。彼女もさすがに年増アイドルのような立場になってきたので、今回は立場が苦しい勤労者として同情を買う方針だったようだ。お色気封印の路線が良かったかどうかは分からない。

片思いらしい相手役の人間は、今ひとつ目立たなかった。とことんドジで善良な人間というキャラクターに徹してはいなかったようだ。彼はもっと目立ってよかったのではなかろうか?情けなさで笑いが取れる役柄だったはず。

そもそもニンジャで、しかもカメ、そして若々しい未熟者という設定に感心する。人間の忍者だと、笑いの要素は減ってしまう。カメのアイディアがどこから出てきたのか分からないが、素晴らしいアイディアだと思う。だから制作者は代っても、長く作り続けられているのだろう。

この作品以外にも、アニメ版などでは様々なキャラクターが出ているらしい。既に続編ができているそうだが、もっとシリーズ化されるなら、そんなキャラクターが次々登場してくるに違いない。制作のスタイルは決まっているだろう。どんなキャラクターでも、得意のCG技術で見事に描けるに違いない。

2017年2月 2日

ミラクル・ニール(2015)

Absolutly_anything

- 快作 -

平凡な教師ニールは、宇宙人によって地球人のテスト対象として選ばれ、全能の力を得る。彼は、その力を上手く生かせるのだろうか?・・・・

・・・DVDで鑑賞。快作と思った。監督や原案は、モンティ・パイソン・グループのテリー・ジョーンズという方らしい。作品中に展開されるギャグ的な部分は、どれも何度か観たようなアイディアだが、描き方やストーリー展開が面白い作品だった。

おおがかりなSF大作ではない。その点は、観る側にとっては気楽に鑑賞できるという良い面もある。スター・ウォーズ最新作となると、こちら側も時間を確保しなきゃ、用事を済ませておこうと、結構準備が必要になる。お気楽作品も便利である。

主人公は、人気の高いサイモン・ペグで、ヒロインはなぜかケイト・ベッキンセール。でも、両者とも上手く演じていたので好感を持った。ただ、彼らのキャラクターが充分に生かせていたかどうかは分からない。他の俳優でも構わなかったかも知れない。そうなると、この作品の人物像の表現には何か欠けるものがあったかも知れないと言える。「はまり役だねえ」と感じないなら、たぶん何かが問題なのだ。

ラストがすぐ読めてしまった。他に話を終わらせる展開は考えにくいから、当然だろう。大多数の人がハラハラしてくれないと、映画は印象が薄いままに終わる。したがって、宇宙人達のキャラクターや、彼らが評価する内容を少し変えるべきだったかも知れないと思う。

主人公が必死になることも、作品の盛り上がりのためには必要ではなかったか?観客が同情し、共感するためには、敵役が非常に陰険で、ずる賢く、強敵であることが必要。その点を考えると、能力をいったん恋敵に奪われてしまうことが望ましかったのではないかと思う。「能力を敵役に移す」と主人公に言わせれば良いのだから。

 

 

2016年12月 7日

ミスター・ノーボディ(1973)

My_name_is_nobody


- 引退 -

老境にさしかかったガンマンは、引退と移住を計画中。しかし、彼に付きまとい、盗賊団との対決をそそのかす変な若者が登場。彼は困惑する・・・

・・・ユーモアたっぷりの破天覧な若者が活躍する西部劇。制作の中心はセルジオ・レオーネ監督らしいが、従来のどぎつい復讐劇とは全く違った作風。ギャグのシーンが多く、B級映画のふざけっぷりが目立つ。

そのふざけた中で、従来同様の立場をとるのが、もう一人の主役と言える老ガンマンで、演じていたヘンリー・フォンダは、途中ほとんど笑うシーンがなく、ニヒルに演じきっていた。皆がコメディアンだとかえって面白くない。ニヒルさも必要。

そういえばヘンリー・フォンダは、およそ荒くれ者の体格をしていないが、演じた役柄はタフネスか理論派ばかり。その中でも、この老ガンマン役はなかなか恰好いい。颯爽としていない所が良い。ハリウッド製の映画でジョン・ウェインがやっていたように、去り行く者の哀愁が感じられる。

敵の一派で、鉱山を管理する社長らしき人物も、従来の映画と同じ演じ方。クールなワルだった。その他の、やられる側の町のガンマン達は完全にコメディアンの役割。ウエスタン映画も、同じ路線ばかりでは飽きられてしまうから、コメディに路線を振ったのだろう。香港映画のようなアクションシーンは、結構面白く感じた。ただし、こんな路線もやはり飽きられてしまうのだろうけど。

敵の集団をダイナマイトで吹っ飛ばすシーンは、かなりの危険を冒している。死人が出ていても不思議じゃないくらいの大きな爆発が繰り返され、迫力のある美しいシーンになっていた。芸術的なシーン、叙情性、ギャグ、非現実的なガンアクションなど、雑多な内容が詰め込まれた作品。

この作品は、おそらく当時の子供にウケが良かった気がする。ギャグのアクションシーンが多いからだ。大人の恋人同士で今後鑑賞する場合、この作品に満足できるかは分からないが、ある程度は笑えるのでは?家族で鑑賞するのも悪くはないと思う。大爆笑、大満足とはいかないだろうけど。

老ガンマンがどのように引退するか、そこがポイントだった。その点に関しては非常に真面目に扱っていたようで、それで後味の良い作品になっている。引退は叙情的な感情を生むからだろう。ラストの朗読の手紙は、良い文章だった。

劇場主は、自分の引退も考えないといけない年齢になってきた。今後は頭の回転がどんどん落ちてくるはずなので、失敗が多くなって自然と仕事が減ってくるのかも知れない。体力的にも、忙しい日は今でさえ苦労しているくらいだから、10年後は辛いだろう。

劇場主に、年金の連絡が最近届いた。通知葉書は、どうも理解が難しい。葉書だけでは分からないように記載されているから、デザインとしてはレベルが低いと思う。意図的に難しく書いてあるのかと疑う。こちらの理解力の問題かも知れないが・・・。読み取れた範囲で解釈すれば、今後頑張って働いても、年間で200万程度にしかならないようだ。自分は高給取りのほうだと思っていたが、勘違いだった。

昔と違って、今後の年金は凄く少ない。最初からずっと公務員で出世できた人間でも、昔のような額は出ない仕組みになっている。今はまだ豊かな年金額の人が多いけれど、今後は老人ホームの入居費が出せない人が増えるはずだ。そうなると、施設の経営は苦しくなるばかりと思える。

劇場主の場合は住居があるので、当面は生きられるとしても、生活は非常に厳しくなるだろう。今から貯金を頑張らないと、楽しみのない生活になりそうだ。あと二十年は働かざるを得ない、そう考えると、なんだか気が重くなってしまう。今でも体力の低下を自覚してるのに・・・

名誉ある有名なガンマンでない一般人である自分の場合は、引退に際してどんな感情が生まれるだろうか?名誉どころじゃなく、老後の金の心配ばかりだと悲しい。あるいは女房が金を要求して来て、酷い目に遭っているかも知れない。彼女は思いやりに欠けているから、どんな酷い言動も簡単にやること確実。すんなりと引退できれば、それは幸せなことだろう。

 

2016年7月31日

ミケランジェロ・プロジェクト(2014)

Columbia

- 狙いは・・・ -

第二次大戦中、ナチスが強奪した美術品を保護し、持ち主に返す作戦があった。作戦に参加した隊員の物語。実話が元になっているそうだ。DVDで鑑賞。

この作品の狙いがよく分からなかった。大ヒットを期待して制作したのだろうか?もし大ヒットを予想するなら、何か圧倒的な魅力が必要と思う。魅力的な主人公のキャラクターか、あるいは涙を誘う大悲劇か、圧倒的なスターの魅力か、画期的な映像か。確かにスターは出ていたが、役割としては魅力的だったかどうか?

盛り上げる手法に問題があったように思う。仲間が殺され、彼が命を賭けて守ろうとしたマリア像の行方が重要になる話は良かったので、そこをもっと協調するほうが良かったと思う。映画の冒頭からマリア像を写し、セリフでも繰り返し像の重要性を訴え、仲間が殺される時は実に無残に表現したほうが良かった。演出が上手かったと思えない。

この作品は娯楽作品としての方向性は間違っていなかったように感じる。盛り上げのために、過剰な悲劇、残忍さを強調しておらず、子供でも鑑賞できそうな表現に徹していたから。適度にユーモラスな場面もある。退屈な作品とは感じない。ただ、ウリになる魅力も不足しているように思う。

「オーシャンズ・イレブン」の場合は、特殊な能力の仲間達が、各々の力を生かして作戦を成功させる話が元になっていた。ジョージ・クルーニーの狙いは、それと同じ路線だったのではないか?でも、この作品では各自の能力が生きていないように感じる。それでは話として面白みがない。

面白みを出すための手のひとつは、好敵手を作ること。この作品には、美術品を集めてドイツ本国に送った将校がいたから、彼が憎らしい敵となると良かった。でも、比較的あっさりと見つかってしまい、盛り上げようがなかったと思う。仲間を殺した将校も、手強い逃げ方はしていなかった。

そもそも、こんな作戦が考えられた理由は、おそらく米国のユダヤ人達からの依頼が一因ではないかと想像する。米国に逃れていた欧州出身者達は、本国に残した美術品をナチスに奪われ、奪還して欲しいと強く願っていたはず。直接政府に働きかけていたのではないか?

学者が中心になって運動が起こったようなストーリーだったが、本当かどうかは分からない。支援した人達のほうが中心で、画面では隠れていただけでは?

なんとなく感じるのだが、昨今では第二次大戦を舞台にした映画は、流行らない傾向があるようだ。若者の興味を引く時代ではなくなっているからかも知れない。戦後の体制・・・米国中心の勝者から、欧州で大きく力を回復したドイツ、経済力が増した中国、徐々に発展しつつある南~東南アジアなど、パワーが移動しつつあるからかも知れない。

要するに飽きて、興味が薄れてしまったのか?米国がドイツを懲らしめても、だから今更どうした?それよりイギリスとEUの関係や難民問題のほうが大事だよ、といった雰囲気かも。 

 

 

2015年12月24日

三つ数えろ(1946)

Warner

- 主人公と女のみ -

私立探偵マーロウは、脅迫と失踪に関して捜査を依頼される。美しい姉妹、本屋、ギャングらが何かを隠していると考えたマーロウだったが、ワナにはまってしまう・・・・

・・・・DVDで鑑賞。`三つ数えろ’という邦題のセンスが素晴らしい。

オリエント急行殺人事件を久しぶりに鑑賞したら、ローレン・バコールが出演していて、そう言えば彼女の映画を観ていなかったことに気がつき、この作品に思い当たったという次第。彼女は悪女役に最適だが、好感の持てる悪女だった。昨今の悪女役ナンバーワンの菜々緒嬢は、バコールよりワルで、怖さが凄い。細身で端正な顔の悪役は、なんとなく共感を得やすいのだろうか?

この作品は44年頃には出来上がっていたそうだが、大戦の関係で公開が遅れ、撮り直しなどを経て46年に公開されたと解説されていた。でも、手直しの後も非常に効果的な表現に変わっていたのかは分からなかった。ストーリーが難解だった。

おそらく、前知識として原作の小説を読んでいれば話の流れが直ぐ分かったかも知れないのだが、前半部で登場人物の名前をうわの空で聞いていた劇場主は、セリフで誰のことを話しているのか分からなくて頭が混乱したまま、理解に時間がかかってしまった。ひょっとすると作り方次第で、もうちょっと分かりやすいストーリーにできたようにも思った。

原作小説のストーリーをいじることは難しいので、映画化の際に、映画でないとできないような解説めいたテロップ、台詞で復習させるような表現が、もしできていたらどうだったろうかと、ちょっと思った。邦訳テロップの場合に、「運転手の誰それ」「本屋の誰々」「店員の誰々」と言ってもらえると覚えられる。

映画独特の表現方法はたくさんある。人物が怪しい行動をとるシーンを演出で強調すれば、主人公が感づいていない段階で観客は「あいつが犯人だ!」と気づき、主人公の行動にやきもきする効果が出る。そうすると、流れを理解しやすいという効果もある。複雑なストーリーでは、そんな手法も有効ではないか?本とは違った解説が可能だ。

この作品には無理が多々ある。主人公らが待ち合わせに先に来て隠れていることを知らない部下の連中は、家から最初に出る人間を殺すことはできない。必ず自分らの親分を殺すことになるはずだから、設定がおかしい。原作でもそうなっていたのだろうか?運転手や本屋の殺され方も曖昧な点が多く、真相が分からないままのように思う。

おそらく、現代の子供達がこの作品を観ても、印象は似ているのでは?なんだかよく分からない印象のまま終わると思う。それに、この作品は恋人と観るのに最適な雰囲気とも思えない。とことんスリルがあるとは言えないし、恋が盛り上がって良い結果が待っていたとも言えない。

でもアイディアは素晴らしいと感じた。黒幕がなかなか分からない展開。姉妹の役割や、秘密が分かりそうで分からないことなど、謎を解くために興味が維持される作り方は良かった。

後年の「動く標的」「チャイナタウン」「LAコンフィデンシャル」などは、ずっと洗練された作品だった。不可解な事件の謎解きの部分は似ていても、敵が何をどうやったのかという細かい設定に無理がないように、周到な検討をやったかどうかが違う。そして、後になるほど残虐なシーンが多いような気もした。

この作品の場合は、主人公と女達が格好良く収まるシーンを撮影するほうが大事で、細かい点は後でつじつまを合わせりゃいいやといった適当なノリを感じる。当時の観客の興味を考えると、それで正解だったのかも。

平成27年12月22日に、新国立競技場のプランが決まったらしい。決定に至る経緯がよく分からなかったが、ABふたつの案の選択をどこかの会議で決めて、政府も了承した。大成建設が中心となったグループが担当するのは、過去の流れから有利だったのだろう。既定路線があったが、そこをカモフラージュしたように見える。清水建設側にも、おそらく仕事は回ってくるのでは?

時間の制限があるので、今回は全く新しいグループが参入することは避けようと、おそらく役人も政治家も結束していたのだろう。今後は、路線が決まった以上、追加で予算をどれだけ取るかが重要になってくると思う。東京都も3割くらい負担するらしいので、国が独断で追加工事をするのは難しいだろうが、都との談合めいた交渉でなんとでもできるように思う。

大きなことをやる場合、既定路線を作って流れの中で反論が現実的でないような雰囲気にしないといけない。流れができれば、仕事は異常に早く進む。欲に目がくらめば、突貫工事が可能だからだ。1500億円というと気が遠くなるような金額だが、おそらく誰も案に反対することができない。責任を問われることもないだろう。

2015年12月21日

ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション(2015)

Paramountetc

- 第一級 -

スパイ組織IMFはCIAから敵視され、活動停止処分となる。しかし、その間にも謎の組織が、各国でテロ行為を進行させていた。メンバーはCIAに追われつつ、独自の行動を始める・・・・

・・・・DVDで鑑賞。冒頭で輸送機にトム・クルーズが実際にへばりつくシーンが、この作品のメインだったと思う。最初に度肝を抜くアクションシーンを持ってくるのは、後が尻つぼみにならないか心配じゃなかったろうかと考えたが、この作品では他にも様々なアクションシーンがあったので、杞憂だったようだ。

シリーズ第一作はデ・パルマ監督スタイルで、サスペンス映画の王道を行くような緊迫感が特徴だったが、その後はアクションが売りになっていて、これは観客の支持の動向から考えての選択だと思うが、今のところ成功していると思う。信じられないような高度のアクションを見れる。

トム・クルーズには本当に感心する。体をはって危険きわまりないアクションをこなし、飽きが来ないように毎回違ったものを作り上げることに成功している。おそらく複数の優秀なアクション部門の協力を得ているのだろう。元々肉体派じゃないのに、キン肉マン俳優達も敵わない活躍を続けている。

今回はバイクでの追撃シーンが素晴らしかった。スピード感の表現が上手い。スタントマン達が念入りに計算して、車の間をバイクがすり抜けて行けるように工夫していたに違いない。事前に小石などを入念に除去し、バイクが転倒しないようにもやっていたはず。おそらく遅めのスピードで撮影して少し早回しで再生したのだろうが、迫力が出ていた。

水冷型コンピューター室内部の作業も面白かった。邪魔が入ったり、協力を受けたり、展開が面白くなるようによく考えてあった。

そんな工夫が随所にあるので、この作品は家族皆が楽しめると思う。第一級のアクション映画だ。小さな子供にまずそうに思えるシーンは少ない。冒頭で若い女性が銃殺されるシーンがあったが、血は出ていなかったようだ。あまり無残な死に方は写していない。

ボンドガール的な女スパイ役は、イギリスの女優らしい。クールそうな美人で、色気に偏りすぎてないので適役だった。敵役の冷酷そうな俳優も非常に感じが出ていた。無駄にマッチョでない点が良かった。007シリーズよりも、キャスティングに優れていると思う。

中国系、香港系らしき会社が制作に関与していたようだ。資金面での信頼があるせいだろう。このシリーズは必ずヒットすると考えてくれているのだろう。実際にも相当ヒットしたらしい。

ストーリーのために無理したと感じる設定はいくつかあった。冒頭で飛び乗った輸送機で、後のドアが開いていたら、真っ先に人間が落ちそうに思う。風の具合などに不自然さが感じられた。録音を聞く段階で敵の工作が既に仕込んであるというのは意表をついたが、IMFの組織の特性を考えると、良いアイディアではないかも知れない。

細かい設定の面でも観客が疑問を抱かないようにできれば、作品のレベルはもっと上がると思う。

 

 

2015年9月 4日

ミニオンズ (2015)

Universal

- ストーリーに無理 -

最高に強く悪い者に従う習性を持つミニオンズが、凶悪犯罪者とともに英国女王の王冠を狙うストーリー。末っ子の要望により、仕方なく劇場で鑑賞。

・・・観ながら、情けない思いをした。ストーリーに無理があったと思う。

この作品は、怪盗グルーシリーズのスピンオフ作品。怪盗グルーは大変なヒット作だったらしいので、予算も簡単に集まったのかも知れない。でも、プランの練り方が雑だったように感じた。

ミニオンズのキャラクターは素晴らしい。主人の命令に従いながら、トンチンカンな行動をとって大失敗を生んでしまうところがおかしい。前作「怪盗グルーとミニオン危機一髪」でも、悪人の手先らしくない行動をとって、ほとんど常に失敗していた。失敗が仕事のようなもの。

いわば、チャップリンに近いキャラクター。ドジばかりやって、懸命に頑張っても成果が得られない、でも陽気さを失わないで、調子に乗って歌ったり踊ったりする。悪いイメージを抱く観客が少ないパターン。

英国女王の王冠を狙うという話が、そもそも無理だったのかも。全く架空の財宝のほうが良かったはず。女王が登場する必然性があるなら、このストーリーも仕方ないかも知れないが、そうは思えない。自由に扱える、壮大な財宝を対象にすべきだったと思う。

観客層は、意外に大人に近い若者が多かった。つまり前作までのファンと思える。子供も少なくはなかったが、数割はいた程度。非常に受けた様子はなく、大声の笑い声はなかった。小さな子に向く話とは、確かに思えない。

悪役に、もう少し迫力が欲しかった。グルーとは違った個性の、嫌われそうなキャラクターが良い。きざな二枚目の悪党などが最適だったのでは?

 

 

 

2014年11月21日

ミセス・ダウト(1993)

Fox

- 伝統的 -

離婚した後も子供に会いたい主人公が、特殊メイクと声色を使って家政婦になりすます話。10月26日のBS放送で鑑賞。有名なんだが、そう言えば今まで観てなかった作品。公開当時はくだらないギャグの映画だろうと思っていた。

実際に観てみると、心温まる話をギャグ風な設定で描いた名作といった印象。単純なアイディアの話で、最初から筋書きも読めてしまうんだが、それでも構わない、そんな話。昔からのハリウッド映画の伝統を感じる。まとまっていて、起承転結もはっきりしている。

伝統の雰囲気は、人によっては嫌悪感や退屈な印象を生むかも知れない。いまどきの子供に受けるかどうか判らないのだが、小さい子には笑ってもらえるかも。ただし、途中で際どい会話も多少あるのだが。恋人と観るのは悪くないように思うが、さすがに少し古いので、ギャグの古さで笑えない可能性はある。

ギャグの一つ一つが懐かしい。昔のギャグ番組のテンポ、決まったパターンの表情、演じるのに最適な俳優、色彩や音響、ピントの合わせ方までが懐かしい。法廷の場面で妻の代理人の女性弁護士の顔!いかにも強気で攻めてきそうだし、立場が良い時の勝ち誇った表情がピントをぼかしても分かり、ぼかしたことでかえって目立つようにちゃんと考えてあった。

この手のストーリーの場合、結局のところ「いつ嘘がばれるのか?」が大事。バレそうでバレずに何度か危機を乗り越えるシーンがおかしく、最終的には派手な失敗、ドタバタ劇でバレてしまう、その展開がいかに見事にいくかが重要。この作品は、レストランのシーンが山場になっていたが、最高の出来だったと思う。派手すぎてもいけない。

主人公を演じていたロビン・ウイリアムスは、この作品の頃が最も活きのよさを感じる。もっと齢をとると、こんな役では可哀相になりすぎる。若い時代だからこそ。主人公が不幸でも観ていられる。

声色は、たぶん本人の声を使っているように感じたので、技術屋が作った音声ではなく、本物の芸人の力で演じていたのでは?少し異常さを感じるくらいの素晴らしい芸だった。

ヒロイン役のサリー・フィールドも実に魅力的に写った。彼女も色々な作品で観てきたが、この頃が最も魅力的に感じる。非常に美人とは思わないが、やはり適度に美しいし、人好きのする印象。不幸な出来事における困ったような表情が実に素晴らしい。喜劇では俳優が笑っていては始まらない。困った表情が上手い俳優が大事で、彼女の魅力は困り顔にあるようだ。

古いギャグが多いのだが、それでも笑わせる。別人になりすました人物が、自分のセックスの印象を聞くと、大したことないと返答されガッカリするシーンは、よく使われるパターン。その返事を聞いた時に、大げさにガッカリしたらおかしいので、表情が微妙になる。そこを写すと大抵は笑いを誘う。期待通りで、お約束のようなシーンだが、でも必要。

この作品のメーキャップ技術は本当に凄い。たぶん本当のところ、一回外したマスクは、繰り返しの利用は困難ではないかと思うのだが、見事な変身のシーンが何度かあって、その表現も上手かった。

監督のクリス・コロンバスの仕事ぶりもソツがない印象。でもテンポの面で多少の違和感は感じる。その後のハリー・ポッター・シリーズでもそうだった。

 

 

2014年10月25日

ミスター・ベースボール(1982)

Universal_2


- 後味良し -

MVPを獲ったこともあるメジャーリーガーが主人公。トレードで中日に移籍するが、成績不良、喧嘩も絶えず最悪の状況。しかし恋人が出来、周囲との理解も進んで、ついにリーグ優勝戦に挑むことになる・・・

・・・10月7日BS放送で鑑賞。公開当時も評判は悪くなかったと記憶するが、実際に観てみても、まとまりのある後味の良い作品。家族で楽しめる作品とは言えないかも知れないが、子供が観てもそこそこ理解できるし、恋人と観るのも悪くないテーマではないか?今でも鑑賞に耐えうると思う。

ただし大きな盛り上がりがあったとは言えない。肝心な勝負でホームランをかっ飛ばすような歓喜の場面はなかった。その点はいただけない。やっぱ興奮するようなシーンもあったほうが良い。何か起承転結の流れに欠けている面があったのでは?

類似したストーリーのマンガを観た記憶がある。同じようなストーリーであったが、マンガの方は主人公がメジャーに復帰したら、厳しい日本の監督もいっしょにメジャーに来ていたというオチがついていた。

80年代の風俗がおかしい。松田聖子か飯島直子のような髪型の女史、安全地帯のような男子がうろついて、西武球団が強く、クロマティより前の馴染まないタイプの選手が問題を起こしていた時代。たぶん、日本の球団の評判が米国選手のほうから漏れ出て、映画化のアイディアが生まれたんだろう。

赤鬼マニュエルの印象は強烈だった。80年頃のホームラン王だったろうか。田淵選手が活躍しても、マニュエルが打ちまくるのでホームラン王になれないという話を描いた「頑張れタブチ君」というギャグマンガもあった。おそらく彼はメジャーでは活躍できないタイプの選手だったようだが、日本の球種には対応できていた。メジャーで凄かった選手が逆に日本では弱点を突かれることもあるので、何か特色があったのだろう。

もしかすると日本の球界の特徴を分析し、自分の対処法を考え出す対処の能力、元々の体力や技術力の違いが、アメリカと日本の状況の違いに適合できるかどうかを分けているのかも知れない。そのへんの力を見抜くことができれば、助っ人の選択も間違いが少なくなるだろう。

マニュエルは日本での経験を生かしてか、バッチングコーチや監督としてかなりの好成績を残している。まさに、この映画の主人公のこれからをイメージさせる選手。それならクールで手厳しい管理野球の広岡監督は、映画の敵役にはうってつけの個性。良い材料だった。

この作品での監督は高倉健で、かなりの熱血漢。広岡のようなクールさはなく、その点で言えば面白くない。映画は王や長島監督をイメージしているのかもしれない。広岡氏のような個性は海外では理解しにくいと判断されたのか?激情型で、人間的な魅力があるから、海外からも理解されやすい点では正解だった。

監督の娘役は日系ハリウッド女優かと思ったが、高梨亜矢という方で、全く記憶にないのは直ぐ引退して行った才媛だったからのようだ。黒人選手役のデニス・ヘイスバートは、最近では大統領役で有名になった体格の良い俳優で、デンゼル・ワシントンによく似ている。上手い演技をしていると分かる。

音楽もよく考えてあったようだ。球場のBGMを楽曲に取り込んでいるのか?小品ながら、手の込んだ職人によって作られたような印象。斬新さはないけど、良い作品だなあと感じる。

 

 

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