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カテゴリー「た」の58件の記事

2018年1月13日

たかが世界の終わり(2016)

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- Entertainment One etc. -

 

自分の死を家族に告げるために家を訪ねた主人公。しかし、家族を前にすると話を切り出せない。家族の間にギクシャクした空気が流れる・・・・DVDで鑑賞。

監督と原作はグザヴィエ・ドランという方で、フランスの有名な俳優がごっそり出演したか?と思えるほど豪華な出演者が演技合戦をやっていた。特に強い印象を受けたのは母親役。子供達から敬意をはらってもらっていなかったが、それに対抗できている点がよく表現されていた。

 

遠近を強調した映像、小津安次郎ばりのアップを使った会話のシーンが印象的だった。でも、失敗作では?という印象も強い。アイディアは良かったはずだが、少しテンポに問題があって、観客が観ていて耐えられなくなる間合いではなかったかと思う。

 

しっくりいっていない家族の関係はよく分かった。表現が良かったからだろう。主人公が家出同様に都会に出て以後が疎遠であること、性的な問題により理解されていないことが大きな原因らしいが、残った家族の間でも諍いが多い元々の家風のようなものが、妙な雰囲気からよく分かった。実際にも、あんな感じになるのかもしれない。

 

でも、それでストーリーが転ぶ流れ、帰結に至るまでの必然の経過は表現できていないと思う。観客が、「ああ、こんな家族関係なら、こんな結末になるだろうね。それでも、こんな家族は好きだなあ。」と納得できないと、満足感に浸れないはずだ。

 

深刻な内容の話であるから、基本はアップテンポなほうが、鑑賞に堪えやすいという点では好ましい。基本は喜劇タッチであるべきだ。それに時々テンポを遅くして涙を誘ったり、時々笑える話を持ち込むといった調子の変化は必要だろう。気まずい家族の雰囲気を延々と演じられると、観客も気まずいというものだ。

 

家族の関係とは、なんと難しいものだろうか。許されるなら、人は自由に人生の選択ができるべきで、何を選んでも批判されないほうが良いのだが、私の父も兄の生き方を激しく、しかも執拗に批判していた。兄夫婦もしまいには腹を立てて絶縁状態になってしまったが、わが家があんな風になるとは子供の頃は考えていなかった。仲が良く、希望に満ちているような感覚だったから。

 

おそらく成長していくに従って、親の希望と子供の現実の違いが明らかになり、憤懣が募って悪い関係がどんどん重症化していくのだろう。劇場主自身も子供に大きな期待を持っていたが、障害が明らかになってからは無理なことは言えないと悟った。でも障害が軽かったら、もっと腹が立っていただろう。どうしてできないんだ!などと怒っていたに違いない。

 

子供を誇れないことは悲しいが、もちろん世界の終わりを意味するほどのことではない。子供だってなんとか生きていけるだろう。常に尊敬されながら雄々しくとはいかなくても、それなりには生きていけると信じる。諦めというのだろうか、自分ができることやるべきことには限りがあるように思う。

 

 

 

2018年1月 7日

太陽にかける橋/ペーパー・タイガー(1975)

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- NBCuni -

 

第二次大戦の英雄が日本領事の子供の家庭教師として採用された。しかし、彼は子供とともに反政府グループに誘拐されてしまう・・・・12月3日、衛星放送で鑑賞。

 

主演はデビッド・ニーブン。当時の彼は65歳。相手役として三船敏郎が大使を演じていたが、アクションを演じるわけではなく、ただ素振りを一瞬やるだけの、あんまり活躍しない相手役だった。東洋のスターを使ったことに意味があり、特に三船独特の迫力を求めていたわけではないように感じた。

 

撮影の舞台となったのはシンガポールか香港かどこかで、特定の国ではなく東南アジアの架空の国を想定しているようだ。大臣が白人で、やたら外人が多い妙な国だった。カンフーアクションも少し出てくるし、一応はカーチェイスも少しあるのだが、迫力の点ではまったくいただけなかった。

 

演出の方法にもおおいに疑問を感じた。古いテレビドラマのような適当な演出だと感じる。十分に計算して、時間やタイミングを練った様子がなく、スタントマンや俳優たちの体力に任せて撮影されたのではないだろうか?そのかわり、俳優たちの動きは機敏だった。

 

良い話だった。戦争の英雄が実はそうではなく、嘘とホラ話に満ちた虚言癖の人物という設定が良い。そんな人物が必要に迫られて本物の勇気を出さざるを得ない・・・そんな物語はたくさん見てきた。この作品も、全体の流れは悪くないと思う。ちょっとした演出のセンスが、何か足りないような気はしたが・・・。  

 

太陽に・・・という邦題は、戦場にかける橋にひっかけ、東洋の日出る国に親近感を示す意味合いがあったのかもしれない。張り子のトラのままでも良くなかったろうか?

 

少年役はなかなか利発そうで、役柄にあったキャスティングをしていた。しかし、残念ながら演出がテレビタッチなので、「チャコちゃん、ケンちゃん」レベルの演技になっている印象。子供が自分の恐ろしい運命に恐れおののくような不安げな表情を見せたほうが、作品全体のイメージとしては良くなったと思う。ヒーローものとは違った味わいが望まれたはずだ。

 

 

 

2017年10月11日

タンゴ・レッスン(1997)

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- Tango,Sally Potter -

次回作の構想を練る監督は、タンゴのダンサーに弟子入りし、ダンスを扱った映画作りを目指すが、互いの関係は・・・・という流れの話。

この作品は私小説的な作り方をしたらしく、監督自身の体験と、創作された部分と、実際のダンス、本物のダンサーが演技もするし、演出もするという、実験的かつ芸術的な方向性のようだ。

監督自身のダンスは確かに上手かった。完全な素人の動きではなく、ちゃんとバレーなどの素養がありそうな美しい動きをしていた。でも、本職のダンサーほどの体力、動きの切れ、優雅さは感じられなかった。ダンスは、やはり本職に任せるべきではなかったろうか?ダンス映画は、基本としてはダンスを見るために客は来るので、圧倒的な踊りが必要と思う。

監督の演技も悪くなかった。悩みや怒りを上手く表現し、気持ちを分かりやすい。でも若々しくないし、見た目だけで観客を惹き付けるような魅力は感じられなかった。仮に踊りが下手でも、スタイルだけ素晴らしければ、男性客は怒らない。監督は、見た目で損をしていた。

相手役は本物のダンサーだそうだが、テレビで見る本職のダンサーは、もっと動きが速いように感じた。世界大会の映像を見ると、もっと体の細いダンサーが、目にも止まらぬステップを披露している。今回の相手役は優雅に踊っていたが、体格や素早さをウリにしたダンサーではないようだ。その点、ちょっと不満に思えた。

ラスト近くで、ヒロインを交えて4人のダンサーが踊るシーンは、非常に優雅で味があった。二人で川べりを踊るシーンも美しい。踊りを美しく撮影するセンスが素晴らしかった。そのいっぽうで、突然主人公が歌い出すシーンは、中途半端なミュージカルのようでチグハグな印象を受けた。途中で調子が変わるのは、学生映画のようなノリに思える。

この作品は、女性用の映画だろうと思う。芸術映画を好む男性でも、おそらくヒロインが替わらないなら作品に対する評価は低めになる。ヒロインが本職のダンサーか、本職の女優なら男性からも評価される。ストーリーも、あえてヒロインを映画監督に設定する必要などない。

基本として、私小説は小説だから許されると思う。映画では好ましくない。チャップリンやウディ・アレンはよく自作自演しているが、ダンスをウリにしたりはしていない。ダンスを見せる際は、多少上手い程度ではダメなんだ。圧倒的な巧さが必要なのだ。

 

 

2017年9月29日

大西部への道(1967)

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- MGM -

カーク・ダグラス主演の西部劇。DVDで鑑賞。西部を目指して旅する集団の物語。3人のヒーローが登場し、それぞれが個性豊かに、各々の役割を持って演じていた。

主人公は結局死んでしまう。しかも、わりとあっさりした死に方だった。大活躍するとは言えない活躍ぶりで、ヒーロー的に描かれていない。そこが狙いだったのかも知れない。ただ活躍するだけの底の浅いヒーローでは、話が軽くなってしまう傾向があるから。

リチャード・ウィドマークは、劇場主の感覚では悪役のほうが向いているように思う。この作品なら、主人公のほうを演じると良かったかも知れない。ヒネた役を好むカーク・ダグラスが、役を取ったのだろうか?

ロバート・ミッチャムはタフネスと、病気による弱さが混在した人物を演じていた。こちらは彼のキャラクターに合致していたように思えた。本当のヒーローのように、アクション面で活躍していたのは彼だった。その彼も、過去の経緯のせいで暗い部分がある。奥の深さを狙ったキャラクターのようだ。

サリー・フィールドが目立つキャラクターを演じていた。この作品でデビューしたそうだが、お色気や幼さ、たくましさなどが混在した娘を上手く演じていて感心した。良い人物とは言えないのだが、共感してしまう。よく彼女のような魅力的なタレントを探してきたものだ。

各々のキャラクターが、かなり問題を抱えており、リアルで複雑な話になっていた。よく考えられた物語。原作が、深く考えて作られていたのだろう。ただ、鑑賞を終えた後に、奥の深い感動が残ったかと言えば、そうでもなかった。主人公が死ぬタイミングはもっと後のほうが良いし、死に方も皆の犠牲になってといった、味わいに通じるものが欲しい。盛り上げ方に、何か問題があったと思う。

クライマックスと言えるのは、断崖絶壁を降りるシーン。実際に映画のような道具をその場で作ったりしたのだろうか?装置を作るには数日かかりそうな気がする。遠回りすれば、危険度は段違いに下がる。物語用の設定ではなかったのか?大河が作った巨大な断崖は、米国の場合は少なくはないと思う。でも崖に出会う度に装置を作るのでは、日数を短縮することにならないのでは?

カーク・ダグラス演じた男のキャラクターは、ずるいし、嘘つきでもあり、完全無欠にはほど遠い。でも目的のために手段を選ばないから、行動力、指導力があるとも言える。無茶な旅を企画する人間は、こんな個性でないと無理かも知れない。成長、発展を狙う時の指導者像であろうか。

逆に安定成長を狙うべき時期には、無茶なキャラクターは危険。さて日本の現首脳はどうだろうか?

 

 

2017年9月17日

タッカーとデイル 史上最高にツイてないヤツら(2010)

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- Magnet,Earth Star,etc -

中年2人組の男と大学生グループが、キャンプ場でふとしたことから残虐な殺し合いをする話。ブラック・ジョークに満ちたホラー・コメディ。DVDで鑑賞。

作品の存在は知っていた。でも、今日まで観ていなかった。非常に有名な作品とは言えないかも知れない。おそらく日本の劇場ではあまり公開されていないはずだ。R指定もついている。主人公らが切断された足を持って立ちすくむ姿は、趣味の良いものではない。家族でいっしょに鑑賞するタイプの映画ではない。

それでも、非常に面白かった。ギャグ満載の作品にすぎないと思っていたが、話のつじつまが合うように、ちゃんと計算して作られていたようだ。監督、脚本のイーライ・クレイグ氏は、サリー・フィールドの息子さんらしい。小さい頃から映画作りに興味を持っていたのだろう。

タッカーを演じていたアラン・テュディックは見たことのある顔。もう一人は記憶にない顔。でも、二人とも役柄に完全にマッチし、いかにも勘違いされそうな雰囲気がした。

勘違いは、思い込みから発生していたようだ。二人組の妖しげな目つきの男は、娘を襲おうとしているのではないか?それとも男女に関係なく、人を殺すことしか考えていない異常者ではないか?疑いを持たないと危ないので、実社会ではそんな用心も必要だろう。それが結果的に殺し合いを生むこともあるかも知れない。

(北朝鮮をめぐって)

北朝鮮の核ミサイルをめぐる緊張が高まっている。マスコミの報道通りだと、言葉の応酬が尋常でないほど激しいらしい。本当にあんな内容なのだろうか?勘違いも影響していないだろうか?翻訳の際に、意図が介入して過剰な表現に変わっていないのか?互いの言い回しは、本当は意外に紳士的で穏やかなものかも知れない。

北朝鮮は核武装を拡充するに違いない。そうしないと、米国によって政府を転覆される可能性が高い。実際、米国は政権転覆計画を練っているはずだ。核武装していれば、簡単に政府転覆の陰謀は進められない。北朝鮮政権の方針は、彼らとしては間違っていないと思う。自国の政権を、米国によって操作されるのは本来おかしな話だ。米国の長年の姿勢が、北側の過敏な態度を生んでいると言える。

米国は豊かで強い国だが、政策が常に正しかったかどうか分からない。もしかすると太平洋戦争も間違いだったかも知れない。日本と協力して、ソ連と対抗する方針のほうが無駄は少なかったろう。日本に中国を監視させたほうが、今日の状況を考えれば都合は良かったろう。長期的な方針は、もしかすると常に間違っていたのかも知れない。

今後、どのように両国の関係が進むのかは、かなり不安定で予測不能。評論家達の意見は、あまり当てにならないと思う。偶然の事件やちょっとした勘違いによって、殺し合いが発生しかねない。クーデターが起こったら、実態はどうあれ米軍の仕業と言われるだろう。一気にヒートアップするかも知れない。

ロシアや中国は、米国に協力するはずがない。北朝鮮は、彼らが米国と交渉する材料になる。便利な手先として使えるから、緊張が続いてくれることを願っているかも知れない。そもそもミサイル技術は、ロシアの企業を介して伝えられ、ロシア政府が関与していたのかも知れないと思う。証拠は出てこないだろうが、そう考えると自然だからだ。

米側が起こすクーデターは、非常に危険な、綱渡りのような作戦になるだろう。内戦が発生したら、暴発も覚悟する必要がある。したがって現政権の転覆を米側は計画しないと約束することは、双方の利益になるかも知れない。北朝鮮は、そう考えているはずだ。だから裏取り引きが進みつつあるかも知れない。

北のICBMが揃ったら、米側は表立って北朝鮮を非難しないほうが良いと思う。かってソ連が多数のミサイルを保有していた状況と、基本的にはあまり変わらないわけだから、勝手にさせたほうが利口だろう。北が長期的に経済を維持し、政権が安泰なまま続くのは簡単なことじゃない。にらみあっても交流し、手を出さずに自然崩壊を待つのが原則。

北朝鮮としては、ロシアの手先になって国土を戦場にしないこと、政権が安定したまま経済発展することが望ましい。でも発展は諸刃の剣でもある。豊かになった後の不景気は、余計に怒りを生む。発展し続ける国などありえないから、長期的には崩壊も確実と言える。それくらいなら、経済発展せず、貧国のままのほうが良い場合もある。問題は、自然に民政に移行できるかどうかだが、予想できない。中国に政変が起こったら、おそらく波及するだろう。

経済制裁についても、やるべきかどうか分からない。北朝鮮はいろんな国と貿易しているから、完全なシャットアウトは無理だろう。仮に北側が経済発展したとして、米側に大きな不利益があるだろうか?北の軍備の拡充は進むだろうが、かの国はどうせ拡充する方針である。経済発展しても、それで政権が永遠に続くはずはない。国民が何かの理由で怒り出せば崩壊する。貧しくても豊かでも、不満は起こるものだ。対外交流で外国を知った国民は我慢できないから、むしろ積極的に交流したほうが良いのかも知れない。

軍隊を派遣したら、米側の被害も凄いだろうし、中東諸国の例を見ても想像できるが、戦後の管理は確実に難しいものになる。悲惨な道が待つだけだろう。日本にもミサイルは飛んでくるかも知れない。ミサイルで脅迫して何か要求される事態も考えられる。互いに軍事予算を増やさないほうが良いが、そんな意見を聞いてくれそうにない。

予測が難しい状況が続く、それが予測になる。

 

 

2017年8月21日

ダーティ・グランパ(2016)

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- Lions Gate -

妻を亡くした祖父を思いやって孫がいっしょに旅に出た・・・・が、この祖父はとんでもない人物で、孫は振り回されてしまう。DVDで鑑賞。

「ウィー・アー・ユア・フレンズ」で久しぶりに観たザック・エフロン君が気になって、鑑賞する気になった。この作品は、おそらく熊本市では公開されていないと思う。タイトルを見た記憶がない。そもそも劇場公開して良い内容か、ちょっと疑問のハチャメチャ映画ではあった。本国でもR指定がついていたのではないか?ただし、暴れぶりは酷くても、内容には真面目な部分もあった。

主役のエフロン君が覚醒剤で騒ぎを起こすシーンが非常におかしい。覚醒剤を推奨しているかのような酷い描き方だとは思う。「ハングオーバー!」シリーズもそうだったが、ハリウッド映画は、麻薬類の取り扱いに関して寛容すぎる気がする。依存性、副作用に関して何も問題ないと言えるはずはないので、描き方には注意がいるだろう。

その関係で、この作品は子供には全く不向き。恋人と観る分には、あまり悪影響はないように思うが、勧めた側の人格を疑われても仕方ないかも知れない。相手を選ぶタイプの作品のような気がする。

祖父役のロバート・デ・ニーロは、乱闘できそうな動きではなかった。もともとアクションスターではない。したがって、他の俳優のほうが、適役だったかも知れない。肉体派で殴り合いに強そうな俳優か、あるいはカンフーアクションができそうな細身の俳優でも良い。

劇場主は祖父、祖母の記憶があまりない。母方の祖父はたまに遊びに行くこともあったが、入院していたりして、いっしょに連れだってどこかに行くことはできなかった。会話の内容もあまり覚えていない。もし、いっしょに旅行したりできていたら、心の結びつきは随分違ったものになったと思う。

病室でサボテンを眺めていたので、宮崎市のサボテン公園に修学旅行に行った時は、一番小さな品だったが、お土産に買って帰った。差し出した時、大喜びじゃなかったので少し残念に思った記憶があるが、「一番安いので気に障ったのかな?もう一段大きな品が良かったかも。」と、その時は反省した。でも生まれついての貧乏性だから、安物を買うのは仕方ないのである。

劇場主の子供達には、祖父や祖母と旅行する機会を充分に持たせることができた。かなり無理はしているが、自分が祖父母との思い出が少ないことが気になって、なるべく思い出を作ってもらいたいと考える。でも、この作品のように、それで彼らの生き方が変わることは滅多にないと思う。どう影響するのかは分からない・・・・

 

2017年4月29日

宝島(1950)

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- Disney -

少年が瀕死の老人から預かった地図には、海賊の宝物の場所が記されていた。宝を探しに、少年と町の有力者が旅に出るが・・・

・・・DVDで鑑賞。ディズニー最初の長編実写版作品らしい。印象としては、戦前の冒険映画のような古い作り方で、明らかにスタジオでの撮影と分かるシーンも多く、技術的に優れている印象はなかった。でも、クセのない演出で家族が楽しめるように作られていて、今でも子供が鑑賞可能な作品かも知れないと感じる。非常に受けるだろうとは言えないが・・・

主人公を演じていたのはボビー・ドリスコールという少年で、特別利口そうな顔つきとは感じなかったが、笑顔がかわいらしかった。当時の有名子役だそうだ。早世したらしいのも、当時の子役らしい。

悪役のジョン・シルバーを演じた俳優は、目つきを思い切り怪しく演じていて、なかなか良い表情だったと思う。今なら、おそらくもっと怖い顔をした俳優が演じて、もう少しリアルな方向で演じるのではないかと思うが、この作品の当時だとオーバーな表情が要求されたんだろう。

この悪役の個性が大事だった。単純な殺し屋では面白くない。利己的な面と友情にあつい部分、少年との独特な関係、頭の回転の良さ、度胸、度量。それらが独特な魅力になるよう、作者が意図して作り上げた個性だと思う。後年の「トレジャー・プラネット」などでも、その点は守られていたようだ。つまり、キャラクターが愛されていたということだろう。

映画についてよく思うのだが、悪役の出来は作品の出来映えに直結するようだ。主役の魅力ももちろん大事だが、悪役にクセがあって、悪いやつだが愛すべき点もある場合、作品の魅力はかなり増す。このジョン・シルバーこそ、その点で代表選手と言えるだろう。

魅力的なジョン・シルバーに対し、先日辞任した今村雅弘・前復興相は、魅力に欠ける印象を受けた。

政治家には悪役の顔をした人が多いが、魅力ある悪役顔の人もいる。今村氏は、そういったタイプではなくて真面目で、腹黒くない人物ではないか?東北地方の人々に対して、深い同情を持っていたのかどうか?そこは簡単には分からないが、テレビで表情を見る限りは、あまりなかったようだ。それを、そのまま吐露したに過ぎないのかも知れない。

氏が東北を目の敵にしよう、復興させまいといった本物の悪い意図で行動していたはずはない。自分に課せられた仕事はちゃんとこなそう、復興支援しようと考えていたはず。ただ、心から同情して献身したいような素振りはなく、淡々と職務をこなそうという程度の姿勢だったのでは?それだけなら、他の政治家も役人もおそらくそうで、際だって酷い人物とは言えない。

氏はJRの管理職だったそうで、日本会議に賛同(所属?)しているせいか、出世が非常に早い。勝手に想像すると、管理する側のイメージが思考の中心にある人物かも知れない。管理させたら優秀。役人タイプで権益を小出しにして大盤振る舞いはしない、情にほだされない、そんな個性を期待されて就任した面もあったのかも知れない。

しかし、復興は情をともなう分野だ。悲しみや怒り、絶望、そして復興にかこつけた欲が渦巻く怖い世界だから、情に対する配慮も必要。無茶な要求も多いと思うけど、それを端的に無茶だと指摘してはいけない。お茶をにごさざるを得ない場合もあるだろう。

要は、嘘が下手だったのでは?・・・もう遅いかも知れないが、悪役ジョン・シルバーの演技を観て、参考にして欲しい。魅力ある悪役、それが目指すべき(?)道かも。

 

2017年4月14日

ターザン:REBORN (2016)

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- Villageroadshow, Warner, etc -

コンゴの支配をもくろむベルギー王室は、ターザンを取り引き材料に、ダイヤの入手を狙う。ワナにはまったターザンは、妻を誘拐されてしまう・・・

・・・・DVDで鑑賞。この作品はハリー・ポッター・シリーズのデビッド・イェーツが監督していて、それをウリにしていた。・・・ということは、あんまり期待しないほうが良い、他にウリがないのだろうねと考えて鑑賞を遅らせていたわけだが、概ねその期待通りの出来映えだった。同じジャングルを舞台にしても、「ジャングル・ブック」と比べ、明らかに暗い話。

3D作品も作られていたらしい。おそらく意図は、ジャングルの中をツタを使って行き来する様子を立体的に表現することにあったと思うが、2Dでも充分に迫力を感じた。映像の技術に関しては本当に素晴らしい。動物も景色も、迫力、美しさともに満点だ。

敵役のクリストフ・ヴァルツが、なかなか素晴らしい役割を果たしていた。セリフの中で、自身が何に価値を見いだしているのかをはっきり語り、単純な悪役ではなく、いかにも考えそうなことと納得できる悪役だった。

ターザンは、この作品の中ではあまり重要ではなかったようだ。セリフも少なめだし、元々のキャラクターが寡黙な人のイメージがあるので、ハンサムで体格が良く、動きに無駄がないことのほうが優先される役柄。モデルかスポーツ選手が演じれば良い。脇役が大事だった。

奥さん役は、マーゴット・ロビー嬢で、「スーサイド・スクワット」の悪人ヒロインと真逆の個性だったのだが、充分に品格のある女性を演じていて、非常に存在感を感じた。既にスターになったようだが若いし、今後もっと大作に出てきそうな予感がした。凄い名作を残しそうな気配がする。大スターの予感が。

この作品は、たぶん家族で鑑賞できる内容と思う。暴力シーンもあるが、血みどろの表現はかなりカットされていたようだ。恋人と観ても悪い内容ではないと思う。でも大ヒットはしていない。作り方に、何か問題があったのかも知れないと感じた。

悪名高いレオポルド2世のコンゴ支配を扱った点は、物語の重みを考えると良いアイディアだったと思う。しかし、見ていて辛くなる弊害もある。当時のアフリカ支配は、欧米諸国共通の原罪である。そして、今日もグローバリズムの中心地のひとつがベルギーである。欲に目がくらんだ連中が、今も現実に徘徊している世の中で、その先輩にあたる奴等の話をすると、なんだか辛くなる。

「コンゴ人の次のターゲットは、俺たち一般国民だったのかなあ・・・。」「俺たちの祖先も、この暴虐に荷担していたんだよなあ・・・。」そんなことも、気になるかも知れない。もちろん、気にしない人も多いだろうが。

経済活動には、一定の傾向がある。利益を追求しないといけない。安価な労働力が眠っていれば、それを使って安価な製品を大量に作る。支配力の空白を狙って資源を確保する。マーケットを増やし、もし国外市場が減れば、購買しやすい政策を作ってでも国内市場を再開拓。国民を愛国の兵士、ある時は購買者、または安価な労働力として使う。それらが、共通した手法だった。今もそうだ。

そこを連想させず、自然賛歌、愛と融和の精神に徹して作品を描けば、たぶん観た後の印象が良く、満足感を与えてヒットもしたのではないだろうか?問題からの逃避である。だから、敵は密猟者のほうが良かったと思う。

 

2016年2月12日

誰よりも疑われた男(2014)

Presidioetc

- スリルたっぷり -

イスラム過激派の青年がハンブルクに出現。ドイツ諜報組織が彼を泳がせ、さらに大物の過激派逮捕を狙うが、他の組織との対立を生む・・・・

・・・・派手な撃ち合いはいっさいないのだが、スリルに満ちたスパイ映画。トム・クルーズのスパイ映画とは全く違った路線で、おそらくは興行的にマイナーな映画。でもDVDで静かに観るなら、これは素晴らしい作品と思う。

ジョン・ル・カレの作品は、「裏切りのサーカス」もそうだったが、本物の諜報員が体験しているかのような、リアルなドラマ展開が特徴だと思う。基本的には静かなシーンが長く、カーチェイスや殺人のシーンが中心になるようなことはない。頭能戦が中心だから、子供には受けないし、恋人と観るタイプの映画でもないと思う。

スリルたっぷり、でも、スリルのみだったと言うこともできる。タイトルにも改善の余地ありと思う。

主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの演技、存在感が光る。肥満体で、追跡などが苦手な様子が、この役には似合っていた。おそらく独身と思える主人公が、一人部屋で過ごす様子が悲しい。あれが二枚目俳優だったら、逆に絵にならない。少し狂気が感じられるのは、本物のヤク中だったからだろうか?

ハードボイルドタッチになりすぎた感はあった。少し笑えるシーンもあったほうが良いはず。無言で何か考えているシーン、ちょっと気味の悪い目線の使い方など、迫力や怖さを演出するための演出が、テンポを損なったり、娯楽的な要素を失わせたりしたかも知れない。テンポを計算に入れながら、時々ユーモアや追跡や暴力、脅しや罵りあいを入れたほうが良いと思う。

それと、主人公のキャラクターを理解しやすくするためには、生い立ちやトラウマを念入りに解説したほうが良い。ベイルートで作戦が失敗した話は設定されていたが、それが彼の行動に与えた影響が、やや希薄にしか表現されていなかったように感じた。涙ながらに、過去の経緯を許せない!と、激しく表現したほうが良かったと思う。

この作品ではドイツスパイと警察とCIAと、もしかするとイギリス諜報部も連携していたようだったが、実際はどうなんだろうか?直ぐ近くで影響しそうなフランスだって介入していないはずはないようにも思えるし、ロシアの連中がウロウロしていないのも妙だ。

協力して行動することもあるはずだが、顔を始終合わせているなんて、本当だろうか?おそらく街中で食事などやっていたら、敵対勢力に連携ぶりが漏れてしまい、行動パターンを解析される。元々利害が完全に合致した国などありえないので、最低限の情報交換しかしないのでは?ドラマのための設定ではないだろうか?

もしかすると、主人公をヒロインの女性弁護士にしたらどうだったろうか?ホフマン君は悪役になれば良い。つけ狙って脅し、だまし、ひどい行動をとるが、それなりの倫理感に燃えており、情報源を守ろうとするなど、一概に言えない人物像はそのままで、少し視点を変えれば良い。

それによって、話が美しくなる。ヒロインが体験する恐怖に、皆が共感できる。残念ながら太った工作員に共感する人は普通は少ない。立派なヒップを持つ真面目な弁護士のほうが、一般的には同情されやすいと思う。それにしても立派すぎるヒップだった。少しシェイプアップを考えるべきかも。

また、今日の状況では、いかに本人が亡命を望もうと、過去にテロリストと認定された人物がすんなりパスポートをもらえるはずがない。拷問を自作自演でやって入国してくる犯罪者だって多いだろう。その人物が完全にシロと認定することは、ほとんど無理だと思う。監視を完璧にこなし続けることも無理。よって泳がせることなど、実際には許されないと思う。

 

 

2016年1月10日

ターミネーター:新起動/ジェネシス(2015)

Paramount

- 安っぽく -

時空を越えて殺人機械集団と戦う人類だが、機械側も人類の首領を襲い、歴史を変えようとしてくる。互いの駆け引き、攻防を描いた作品。シリーズ第5作。

・・・・DVDで鑑賞。劇場で鑑賞したのは最初の二作だけだったろうか?最初の作品でのターミネーターのしぶとさや、第二作の形状記憶金属のインパクトは凄かった。

この作品の特徴は、老ターミネーターのシュワヌゼネッガーが復帰して、長時間人類と一緒に戦っていること。ヒロインのサラ・コナー役が、代替わりしてカワイ子ちゃん女優になっていたこと。それに今回のストーリー展開により、今後は今までの作品のストーリーが自由に変えられ、こじつけのような解説で納得させられるという流れも特異な点。

だんだん安っぽくなっている印象がある。液体金属の敵の役がなぜかイ・ビョンホンに変わっていたが、あまり意味のある変化ではなかったと思う。分子レベルで人を機械化するという話も、他のSF映画やゾンビ映画から拝借したもので、リアルさは損なわれる。あまり進化しすぎないほうが、かえってリアルになったのでは?

ヒーロー役は、ダイハードでも戦士役を演じていた俳優。たくましいが、特に強い印象を感じる俳優とは感じない。他にたくさん個性的な役者はいると思う。シュワルゼネッガーに注目が集まっても仕方ないので、他のタレントが欲しいと思った。

ヒロイン役はエミリア・クラークという女優だそうで、非常に可愛らしい。日本人にも似たような顔の娘がいそうな気がするので、人種を越えて受け入れられる魅力を感じた。でも、戦士の役柄には合致しておらず、キャスティングが成功していたのか疑問。恋愛映画、コメディに向きそうな女優さんのように思う。

第一作の冒頭シーンが繰り返されていて、CGも使ったのだろう、上手く再現しつつ、新しい展開に向かわせていた。その技術には感嘆した。

この作品が子供に良い影響を与えるとは到底思えない。それなりに楽しんでくれそうには思うが、一級品のSFアクション映画とは言えないように思う。凄くグロテスクなシーンが多いわけではないので、いちおう家族で楽しむことも可能とは思うけど。

このシリーズは、もはやストーリーに関しての一貫性が必要なくなった。敵のターミネーターの能力も、自由自在になりつつある。次回作では、小さな粒子に分裂したり集合したり、壁をすり抜けたりの超能力が可能になるかも知れない。マトリックス・シリーズと混同し、そしてどんどん安っぽくなりそうな、そんな印象を持った。

 

 

 

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