さよなら。いつかわかること(2007)
- 家族で観れる -
監督 ? 主演 ジョン・キューザック
妻が出征した家族の物語。スーパーに勤務する父親に、ある日妻が亡くなったという知らせが来る。妻は軍曹で湾岸戦争に出征していたのだ。まだ小さい子供たちにどのように説明していいか分からない父親は、遠いテーマパークに行くことを決める。車で延々と旅をした父娘らは、憧れの遊園地に到着・・・・
・・・・湾岸戦争を題材にした新しめの作品。変わっているのは、母親が最後まで登場しないこと。普通なら回想シーンににこやかに登場して悲劇を際立たせる効果を狙うと思うが、あえて安易な道を捨てて父親と娘達だけにしぼった物語にしている。これは話が短くなる効果はあったが、良かったのかどうか判らない。母親との関係を表現したければ、ご登場いただいたほうが明快である。
母親が死んだことを子供に説明するシーンも、結局話の細かい言い回しはわからない。聞いている娘達の涙の顔で判断できる仕組みである。この辺のセンスはなかなか洒落ている。言葉に替えないほうが、かえって訴える力があることもある。
昔から背中、もしくは影などを見せて観客の想像力に任せる手法は多かった。汽車の轟音で何を話したのか判らないが、内容は想像できるってな話もあった。この作品も、それに準じてやっているのだろうが、タイミングが素晴らしいので、非常に効果的だった。下の娘さんが泣き出すタイミングは、何か指示があってのことだろうか?素晴らしい泣き顔だった。
もし可能なら、妻が死んだ通知を我々にも明らかにせず、ただ目的不明のまま旅する物語にしたらどうだったろうか?「この父親は頭がおかしいのか?」「なんで急に遊園地に行くんだ?」「もしかして妻と離婚か?」などと観客に想像させる謎かけも面白かったかもしれない。
この作品は家族で見てよいと思う。子供でもかなり泣けるのではないか?ちょっと静かで間延びした感じがあるかもしれないが、悪くはないと思う。恋人といっしょに見るのにも悪くはないと思う。
大仰に構えたテーマを持った作品ではなく、普通の家族に起きた不幸を淡々と描くことに徹しようという作風。最初から涙を誘うエピソードを散りばめると、あざとくなってしまうので、これは正解だった。
淡々としすぎたためか、車で移動する途中のエピソードが少なすぎるように感じた。ロードムービーでは、いろんな出来事が重なって心に何かの影響が出る話が多い。でも、この作品では話そうとしてためらっていること、上の娘が薄々状況に気がつくこと、親離れしようとしていることなどがちょっと表現されていただけのようだ。少しもったいなかったかもしれない。
ロードムービーの行き先は憧れの土地であることが多かったが、この作品の目的地には重要な意味はなかったようだ。子供たちも、そんなに感動したわけではなく、すぐに帰ろうという気持ちになっていた。このへんは自然な反応かも。
憧れの地が意外に期待はずれか、もしくは楽しくても感動的とは言えないことは多い。そんなことより家族で暮らすほうがずっと大事だ・・・ってな調子に持っていくときの筋がきであるが、今回もそのような意図だった様子。
主演のジョン・キューザック(太ったなあ)が背中を丸めながら演じていたのは、家族を愛する良きパパ像であった。もっとデブな喜劇役者のほうが適していたのではないかと思えた。ダン・エイクロイドなんか、どうだろう?こういう役は喜劇役者のほうが悲しくなるもんだ。




