- なぞの多い映画 -
メキシコのある町に流れ着いたハンフリー・ボガートは、金がなくなってお恵みをねだる状況。偶然知り合った若者と、鉱山に詳しい老人といっしょに、一攫千金を狙ってシエラマドレ山地の奥深く、誰も知らない金の鉱脈を探すことになる。
山に入ると、老人のほうが健脚で、ボガートと若者はフラフラ状態。しかも山の知識、金の知識に関しても老人頼り。
ついに金を見つける。三人は協力して砂金を集め、数万ドル分を集めることに成功する。しかし、金が目の前にあると猜疑心が芽生える。互いに金を隠し、銃を持って互いを看視するようになる。
分け前を狙って、また一人の流れ者がやってくる。加えて銃を狙った山賊まで登場し、撃ち合いになる。からくも敵が去ってくれるが、犠牲者が出る。
若者と老人は犠牲者の家族に金を送ろうと話す人の良いところもある。いっぽう、ボガートは完全に人が変わって独語を話し、スキあらば独り占めしようかと考え出す。
インディオの子供を助けたことから老人は足止めをくらう。老人の分も含めて、残りの二人で金を町に持っていくことになるが、意見の食い違いから、ついに二人は対決することになる・・。
ジョン・ヒューストン監督の作品
いくつかの疑問がある。
その1:なぜハンフリー・ボガード(正しくはボガートらしい)は、この映画に出演したのか? その2:ボガート以外の人物の描き方 その3:金は回収できたのでは?
その1について
ボガートは、本来なら悪役顔である。恋を語るような顔つきではない。なんでクールな2枚目役を続けられたのか、さっぱり解らない。この映画の役は、彼の声や顔つきにピッタリで、はまり役だと思う。だから、なんで恋の相手として映画に出ていたかのほうが不思議と言ったほうが正解かも。
ギャングの後ろ盾でもあったのか?
この作品は「カサブランカ」の6年後、彼は公開時に49歳だったことになる。私に近い年齢の割には、元気である。ラストでは埃だらけのブザマな姿をさらしているが、大スターなのに平気なようだ。たぶんアカデミー賞を狙ってたからか?
その2について
この映画の中の、ウォルター・ヒューストン老人と若者の性格はキレイすぎないか?実際にはボガートと同様に金に目がくらんで殺し合いをしてしまうほうが、より現実的ではないか?
金を他の人間に預けて、老人がゆっくりハンモックで眠るのは可笑しくないか?私なら不安になって、ソワソワする。
この設定では、二人の強欲者が互いに相手を騙し合い、殺しあって最後には無欲のじいさんが独り占めという結末もありえた。そうなると途中の二人の騙しあいが面白くなるが、この時代の映画では陰惨な光景はご法度なので、悪人は少数でないといけなかったのか?
主人公のキャラクターは強烈であった。もう一人のヒューストン爺さんも、いい人すぎたが存在感があった。しかし、若者は今述べたように不自然。子供の頃に何かエピソードがあって、悪人になりきれないという説明が必要だった。
その3について
風が吹いても、金は重いので飛ばないで残るのではないか?少なくとも高純度の砂金が、そこらに散らばっているはずだから、時間をかけて集めればいいのでは?
変なことをやっているのを見られると警察に捕まるからか?そのへんの感覚が解らなかった。
1927年になぜかドイツにて?原作は作られている。作者がドイツ語と英語のバイリンガルだったからか?シエラマドレの宝というタイトルの原作も結構ヒットしたらしい。邦題の「黄金」は、良いコピーであるが、誰が考えたのか?糸井重里のご先祖か?
とにかく、ストーリーの展開は自然で、基本的にはシンプル、しかしエピソードには起伏があって、次々と難問が襲い、思いのままにならないところが実によくできていた。この話は最初から映画用に作られたのだろうか?
途中で出てくる列車強盗団の首領も面白かった。愉快な話しっぷり、そのくせ抜け目がないところは結構な存在感。若者の後を追って、金の分け前にあずかろうとするチョイ役もしぶとそうな感じがあって、話を盛り上げていた。
この映画では、殺人のシーンはきちんと隠されていた。何か規制があったのか?同じ時代に、インディアン達はどんどん撃ち殺されるシーンがあったはずなのに、これは差別ではないか?
ゴールドラッシュは昔のことと思っていたら、南米では今も新しく発見される鉱山があるそうで、昔ながらの山男達が一攫千金をねらって集まってくると報道されていた。自分も「金が出た!」と聞いたら、ちょっと休暇を取って行きたいような気もする。
だが、暑い中で作業するのは嫌いなので、軟弱な山師にしかなれない。砂金取りは、きっと欲に目がくらんで無茶なことをやれる男達でないと無理だろう。私は自分の健康を優先するから金持ちにはなれないんだな。
でも実際に砂の中から金が出てきたら、たぶん眼の色が変るだろう。正気を保てるか自信がない。銃を持っていたら、何をするか解らない。