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カテゴリー「あ」の85件の記事

2020年9月 4日

安倍総理の会見(2020)

(報道) 
令和2年8月28日に、安倍総理が辞意を表明した。事前に記者会見をやるという報道があった時点で、発表内容はそうだろうと思っていた。既にここ2カ月くらい、あまり活動していないと報道され、体調不良が噂されていた。テレビの画面でも覇気がなかった。 

(理由)
御本人の説明によれば潰瘍性大腸炎の病状が悪化したのが理由だという。本当は大腸癌なのかも知れない。あるいは次の選挙への不安などから、身を引くべきと思っただけで、実は病状は関係ない可能性もある。

新型コロナウイルスの流行は、明らかに大きく影響したと思う。対応が難しかったので仕方ない面もあるが、トンチンカンなこともやったので、自分で自分に不満だったに違いない。経済面の落ち込みも激しく、自信も失っていただろう。どうしたらよいのか、もう分からなくなっていた可能性もある。

(功績)
安倍政権の実績は、株価が安定し、雇用の状況が良くなったことにつきると思う。好景気は米国経済が好調だったからに過ぎないだろうが、なんにせよ結果的に失業者が減るのは良いことなので、成果を認めるべきと思う。

総裁に復帰した時、好景気がやって来そうな予感はあった。あのイメージは大事だ。非正規雇用が増えて格差が広がった点や、成長戦略が現実的でなかったなど、施策の内容に問題があっても、夢は抱けた。それには感謝したい。

企業に対して、給与を増やしてくださいと真顔で要請する総理は初めてだったのでは? CEO連中は苦笑したろうが、劇場主も総理と同感だった。

(罪)
その成果が、新型コロナの流行で吹き飛んでしまった。飲食業や観光業、航空業界などは、総じて経営危機に陥ったはずだ。

ところがモリカケ問題などで、もともと安倍氏に対する信頼が失われていたので、共に乗り越えようと言いだせない状況にある。人間的に信用できないのに、共に…などと言われてもおかしい。腹が立つだけだ。信頼回復は難しい状況。

そして財政の悪化が著しい。将来にツケを残し、破綻の危険度を高めてしまった。アベノミクスも、成功したとは言えない。どうやら大騒ぎした結果、功罪相半ばする施策だったようだ。予想通りの結果だった。 

(総理という立場)
総理を7年間も続けたのは、たいへんなストレスに耐えてのことだったと思う。病気のせいでの辞任となると気の毒ではあるが、本来は気の毒では済まされない。

総理は、国民の命や財産に関わる重要な立場だ。世間では人間だから、病気だから・・という評価が主流のようだが、それは勘違いが多数派を占める事を意味するだけで、正当な評価を意味しない。

もちろん難病を持っていても、社長や議員にはなって良い。でも総理は違う。国家的難題に対処するためには、健康であることも必要。総理は、時には国民に生命や財産の提供を求める職である。

自衛官に死を命じながら、自分が職を投げ出すようなことは許されない。それが許されるなら、自衛官たちが逃亡しても文句は言えない。何でもありの世界になり、寝たきりの重病人や生死をさまよう患者が総理に就いても良いことになる。それで国が機能するはずはない。 

職の重要さに鑑みれば、あらゆる言い訳が通用しない。二回も辞職するなど、恥を知る人間ならできることではない。彼を支持する人達も、恥の概念が欠けている。心構えの点で、安倍氏は不適格だった(気の毒だが)と言わざるを得ない。それが総理という職だ。 

(新首相) 
次の首相は、まだ分からない。菅官房長官が有力だと言う。でも選挙の事を考えると、石破氏のほうが国民受けが良いので、より望ましいかも知れないと思う。話しぶりには辟易するが。

菅氏は実務に関しては、そつがないだろう。ただ、選挙の顔になれるかどうか分からない。人相やイメージの面で、党の利益に結びつくかどうか? 国民が夢を感じられる政治家だろうか? 

安倍政権の負の面がそのまま引き継がれることになるなら弊害が大きいし、非民主的な選出方法には嫌悪感を感じる。 米国からは、誰がなっても安倍氏ほどは歓迎されないと思う。したがって次の総理は無茶な要求をされ、党内からも足を引っ張られるかもしれない。

 

2020年9月 3日

アメリカは日本経済の復活を知っている(2013)

Koudannsya 

- アベノミクス論 -

・・・以下は、2013年2月に書いた文章で、安倍内閣に期待が集まっていた頃の記事だ。

(正しい政策があるのか?)

自民党政権が提唱する経済政策、アベノミクスに期待が集まっている。株価が上がり、円安傾向が出ているのは、株屋の株価上昇への期待感があること、彼らが一定時期の円安を予測したことの表れと思う。

素人の劇場主には、なるようになるのを眺めるくらいしかできない。できれば社会全体が活気を取り戻し、豊かになったほうが良いと願っているが、身内優先で考える人が政権を占めると、願いとは違った結果が出るかもしれない。

正しい経済政策というものがあるのか、また誰がそれを知っているのかが解らない。なにしろ経済の授業など受けたことがないし、本を読んだこともほとんどない。でも、専門家達がいっぱいいるのに、恐慌や国家財政破綻が実際に起こるのだから、学問はたいして役に立たない。専門家がそもそも一番怖いのは、先の震災の時にも明らかだった。

プレゼンテーションでの印象度を考えたような、意欲的なタイトル。かなり商売的な受けを狙ったのでは?学者バカの生真面目なタイトルでは本が売れない。よく考えてあった。

この本を読んで、今の政策に期待すべきように思えた。短期的には景気は必ず改善しそうな気がする。素人考えながらも、景気刺激、デフレ対策のためには、安倍総理らが進める経済政策が基本だと思う。手段はいろいろあるだろうが、金の流通量を増やし、円が安くならないと、製造業が物を作って海外で売る路線を維持できないのは確か。円安への誘導を試みるべき。

ただし、著者が過去にどのような意見を述べ、予想がどの程度的確で、過去にどのような実際的な功績があったのは気になる。優秀な学者で専門家だとしても、実際には役に立たない人も多い。本を読んだかぎり氏の過去の実務能力は解らなかったので、あくまで学者の意見と考えないといけないだろう。

文章には感嘆した。隙のない文脈で、テニオハの怪しい私の文章とはレベルが違う。でも、内容の重複や同じ言い回しの繰り返しは多いし、根拠が書かれていない部分も多い。それが年齢のためか強調のためか、過去の文章をまとめた関係によるのかは解らない。

(日銀の考えは?)

今まで日銀が今回のような対策を採らなかった理由は、おそらく国債価格や財政が心配だったからと思う。欧米諸国は、公式には認めない国もあるそうだが、かなりの操作をやっていると聞く。日銀の内情を全く知らないので彼らの思考内容はさっぱり解らないが、極めて優秀な集団が考えることだから、ちゃんとした理由のある心配だろう。

最悪を避けるのも大事なこと。いったん多量の金を流通させたはいいが、単に円や国債の価値が下がっただけで、思ったほど税収は伸びず、財政赤字は悪化、破綻、もしくは抑制不能のインフレになったとなると、日銀でも対処できないという怖れがあったのでは?

それに財政規律を守る姿勢を提示しておかないと国際的に批判され、通商取引の際に不利になるという懸念も大きいかも。国際会議のたびに不利な取り決めをされて、輸出にブレーキをかけるのが諸外国共通の方針。一人負けにならないために、外国とも仲良くしたい・・・そんな感覚はなかったろうか?

実際、財政破綻のほうが怖ろしいとは言える。何とか低空飛行でも財政が持てば、好景気の時に諸問題は解決するという目論みもありうる。国際的な孤立も非常に怖い。勝手に日本だけ円を安くしたら、当然諸外国は怒る。対抗措置として日本だけ狙い撃ちした通商協定をやられると、財政も安全保障も破綻する。最悪は避けたい。

金融緩和しないことで急変動を避け、政府の放漫経営を許さず、財政を健全化したかったのでは?今の政府の施策でも一時的効果だけで、財政をいっそう悪化させただけに終わる可能性も高い。経済状況を好転させ、財政も健全化する方法は、結局のところ誰もうまく説明しきれていない。政府の方針にも不安を持って見ている人が大半ではないか?日銀だって、そうだろう。

(株価上昇の意味)

今後もまだ株価は上がる気がする。輸出産業に良い影響があることは私でさえ解る。実際に今のように株価が上がり、追加の方針が決定し、自動車や電器関係の業績が良くなると、乗り遅れたくない人達の注文が殺到するかも。

問題は、その後の長期的な展開。海外からは必ず圧力がかかる。急に円高にしないでくれ、韓国やEUの輸出が減ったから対抗措置を取るぞといった脅しや、相手国の為替操作が次々出てくるかも。外国にいっそう貨幣を出されたら、円高が再来しかねない。株価も一本調子で上がりっぱなしということはないはず。先行きへの不安が襲ってきたら、怖いこともある。

財政赤字は進んで、税収はまだ増えてない段階で株価は再び低迷となると、いったいどうやって対処するのだろうか?しかも消費税は強力な景気冷え込みの要素。ほとんど確実に悪い効果が現れるはず。「株価が上がった。勝負あった。」といった首相のコメントは、選挙向けとはいえ安易過ぎる。効果が出なかった場合の対策も用意しておく必要はある。

用意は、学者や役人がすべきであろう。著者は当然その点を解説し、対策は完璧にできると保障すべき。それが不安感の払拭には必要。提言するからには、そして専門家であるからには、リスクへの対応にも責任がある。それがないと、原発や地震の専門家と変わるところがない。

(リスクメネジメント)

経済政策、何かの誘導に関しては、リスク管理という考え方は普通しないのだろうか?責任を取って何かするといっても、責任の取りようがない気もする。経済運営が失敗したら死者も多数出る事態になるから、一々その責任を取っていたら財務省と日銀スタッフが次々死なないといけなくなる。そうなってないから、基本が無責任で良いのかも。

でも、学者にはリスクマネジネントに関しての解説がもっと欲しい。つまり失敗する可能性の公平な記載や、その対処法を解説し、安心だよと言って欲しいわけだ。その解説も外れていたらどうするかだが、べつに死ぬ必要はない。学問に限れば、基本が無責任で良いのだろうから。

政権を放り出す人物が返り咲けるのだから、責任や恥という観点は今の時代は気にする必要がない。予想は外れました、想定外でしたアハハ、で良い・・・・世の中がそうでも個人的には、そんなわけないと思うが。

何かのテロ、中国のバブル崩壊、暴動、天変地異、諸外国からの反発、日本を狙い撃ちにした協定などなど、いろんなリスクはある。さて、どう対処するというのか?日本には資産があるから大丈夫と本に書かれていた論理は、説得力に欠ける。資産が減ることは如何な金持ちでも嫌だろうから、消費マインド、株取引の中止など、悪い変化は絶対にある。安心である理由を示さないといけない。

(円安が解らない)

適切な円の相場が解らない。著者はテレビで、リーマンショックの前のレベルが目標と言っていたが、それに根拠があるかどうか、さっぱり解らない。適当な‘専門家の意見’にすぎないのかも。根拠を述べない理由も解らない。

どこの国にとっても急激な為替変動は望ましくない。急激に円安が進むと、軋轢を覚悟しないといけない。政権も、こっそり日銀に圧力をかけたらいけなかったのだろうか?わざわざ政権が責任を取る必要はない。日銀がやったとシラを切ったほうが安全。「オラオラ、日銀法改正すっぞ、テメエ。」と脅し、表立っては「日銀との相互理解どえす。」とコメントするのが利巧。

既にドイツなどから円安誘導を批判する声明が出ているそうだ。諸外国の輸出には悪影響があるから当然の話。アメリカの自動車業界も素早く批判を表明しているらしい。アメリカが円安を認めなければ、政権転覆が現実的になる。日本だけの対策で安定成長は狙えない。

アメリカは許すが中国は困る状況なら、政権には追い風。日本の一人勝ちはないと思うが、もしそうなら一気に圧力がかかって転覆。中国も変動要因。尖閣での戦闘や、中国政府が傾くような暴動が起こったら、経済活動自体が止まる。外国が何かの断固たる措置をとって来たら、方針転換を余儀なくされる場合もありえる。

円安になって直ぐ輸出が伸びるかどうかも解らない。生産ラインが直ちに回復する業種もあれば、条件が良くなっても実力の回復に時間を要する業種もきっとある。順調に需要が伸びると解れば設備を増やし求人するだろうが、判断を慎重にする業種もあるはず。

思惑ほど投資や雇用が生まれなければ、消費も伸びない。伸びたとしても、個々人が安定した気持ちになり、購買意欲が生まれるにはタイムラグが必ずある。10の財政支出で、消費の伸びが印象として2~3程度だったら、やはり単に財政を悪化させただけとなり、政府の旗色が悪くなる。選挙の争点にされると、政策を維持するのも難しくなる。

反応の遅れは、投資家たちの不安も生む。今は円安による儲けを狙う株屋が注文をするから株価が上がるが、安定したら直ぐ回収に走るだろう。不安が不安を呼ぶと、収拾がつかなくなる。よほど上手く運ばない限り、良い経済循環は生まれない。

なんとなくだが、効果が限定される可能性のほうが今の時点では高いと思う。来年以降に消費税が上がると、間違いなく消費を減らし、経済を停滞させる。今回の策を総て吹き飛ばすマイナス要因になりかねない。だから、おそらく円安誘導だけでは不足。それは誰もが指摘していること。

(製造業の意味)

無駄な事業を減らして財政を健全化すべし、これは財務省の考え方の基本だと思う。でも田舎の場合は、公共事業がないと苦しい。既に依存した産業構造になってしまっているから仕方ない。だから構造改革は、田舎にとっては深刻。財政と田舎の経済は、薬物中毒のような構造的病態に陥っていたように思う。

これがもし都会に職があふれていれば、人を吸収して問題を解消できる。製造現場が国内に戻ってこない限り、求人数を回復させることはなく、景気も回復しないはず。税収も落ち込む。価格競争力を回復し、輸出できるよう円を適正価格にすることは絶対の条件。製造業が圧倒的な技術を持って、価格差をものともせずに売れまくる製品を作り続けるなど難しいから。

製造業も建設工事も落ち込むと、いかんともし難い。小泉家の地盤のような都会は本社機能があるから軽く済んでも、田舎は壊滅的。それに気がついたことこそ、政権が交代した主因なんだろう。かといって、公共事業に再び依存させるのは本末転倒。公共事業が減ることによる障害を緩和し、事態のソフトランディングを図るべきではあるが。

外国に生産現場が移ったことが、雇用不足の根本的な要因。生産現場が急激に海外に出たので、雇用を確保できない状況になったのが圧倒的な病態。介護などの業種で職を確保できているのは奇跡的な緩衝材だったが、介護は内向きの産業だから、発展性はない。それだけでは国力を落とす。サービス業は総てそうだろう。

介護保険制度の導入は、介護体制の遅れを取り戻すために必要だったが、経済的には小手先の間に合わせ。壮大だが限りなく無駄に近く、発展性ない事業。もちろん介護職は非常に意味のある仕事だが、若者の夢があふれる職では決してない。社会補償のひとつだから当然だ。経済的には、やはり製造業が大事。

製造業が回復したとして、消費税が上がった後でも国内で物が売れるかどうかは、非常に厳しいと思わざるを得ないが、品目を限定するなど税のかけ方などを工夫して、壊滅的な消費控えを避けることはできると思う。ただ、その具体案が私には解らない。

(優遇税制)

製造現場を国内に復帰させる手として、円安以外の優遇策も考えられる。海外から国内に生産ラインを戻した企業が優遇されるような企業減税が考えられる。

新聞を見たら、既に雇用対策案は政府も発表しているらしい。でも政府案では、小さな補助を考えているだけのようだ。せいぜい一人の雇用に数十万円程度の援助らしいので話にならない。私の印象では企業経営者は、よほど景気回復に確信がないと、大胆な採用は見送るだろう。

何といっても税制は国の意志を示す最高の手段。企業が国内に戻らないといかんなあと思えるような極端な規定を作れば、利潤が多少減っても国内に戻そうかと考えるから、ぜひそう定めるべき。

安易な企業減税は最悪だった。減税して企業を守り、海外との競争力を維持するといった理屈が過去にまかり通ったように思えるが、国内の職場を維持する大前提は守らないといけない。企業減税は、雇用に関係しない分野にはいっさいやってはいけなかった。選挙目当てで企業減税を続けると、やはり税収は不足する。いかに消費税でまかなおうとしても限界がある。

企業収益も大事ではある。でも税制の長期的目標は、製造現場と雇用の確保、妊娠出産を増やすことに焦点を当てないといけない。その前提の上で、企業を保護するのが道理。企業が生き残って国民が疲弊する規定は、愚策の極みだったとしか思えないんだが・・・

(脅迫的税制)

紛争ネタになるかもしれないが、さらに踏み込んで、現在海外に生産拠点を抱える企業に一種の「海外拠点税」を設ける手もある。国内の生産拠点に比重を移さないと、やがてひどい税金をとるぞと規定し、脅迫するわけである。

企業は日本に残るか、いっそ日本から完全に去るか決断を迫られるが、去ってしまわない程度に税率を低めに調整すれば、真綿でクビを締めるがごとく、いやでも国内に復帰してくるはず。

もちろん、これはユニクロつぶしを狙ったものではない。極端に海外に比重を移されるのをコントロールするのが目標。現時点の内外の生産割合を考慮して、ある程度だけ国内に復帰させ、少しずつ誘導するのが目標。

税制に円安が絡めば、あっさり国内復帰は達成される。円安が維持されないと、国内生産過剰になってしまう。一気に国内に現場を復帰させると海外での事業展開が難しくなるから、為替の推移を見ながら税率を調整して国内外のバランスをとれば良い。急激に資本を引揚げようとすると、進出先の雇用に悪影響があるので、税率で変化のスピードを制限しないといけないが、手として意味があると思う。

せっかく進出してきた海外企業にまで、これはやれない。投資を引揚げられてしまう。だから業種や会社の規模を限定する必要はある。でも、上手く使えば切れ味鋭い政策。もちろん万全の策ではないが、コントロールする力にはなる。いずれにせよ円安誘導や財政出動だけではヘボ将棋と同じ。税制面のアメとムチが絶対に必要。

(少子化)

本では、少子化で景気は後退しないと書かれていた。でも解説はない。経済学の常識としてそうだと書いてあるだけ。根拠は省略。したがって、この問題に関して説得力あるとは感じない。

なぜだか解らないのだが、国は少子化対策が必要といいつつも、有効そうな案は決して出さない。少子化は、経済が低迷する決定的な要因。長期的な安定を考えるなら、とにかく子供が増えるまで出産育児を補助するしかない。その危機感が足りないのでは?

出産したら、問答無用で年間50万円くらい金を出すべきと思う。そこにこそ投資する意味がある。極端に言えば、原発問題や東北の復興よりも、子供増やしのほうが長期的には重要。これは私が思うか思わないかの問題ではなく、これ以外の考え方は危険とすら言うべき。

借金や無茶な頑張りも、基本は子供の将来への期待があるから。子供が少ないと意欲が落ち、社会全体が失活する。消費だってそうだ。他の策が総て上手くいっても、少子化が続くならジリ貧は確実。衰退が確実な社会に投資するバカはいないから、景気も悪化するはず。

氏の述べる意見は、おそらく過去の欧米の場合がそうだったという意味で、過去に例のない急激な高齢化や少子化、特に欧米と歴史が異なる日本に関しては、要するに‘想定外’で例はあんまり役立たないので、慎重に判断すべき。経済学より一般常識で考えるべきかと思う。氏の勘違いの可能性を否定しないで議論を進めるべき。

将来ジリ貧と納得しつつ待機するなんて、いかに優秀なる経済学者、財務専門の官僚といえど、ありえない。絶対に有効だと確信できる策は、まず少子化に向けるべき。その点は、本では強調が足りなかったと思う。

したがって、アベノミクスはこのままでは一時しのぎに終わるはず。株屋の心理によっては相当な景気回復もありえるが、逆に腰砕けや制御不能な財政悪化、国債価格と株価暴落の危険性は常に付きまとう。そういった懸念をも払拭する名著とは言えないように思う。

 

 

 

 

2020年7月20日

アド・アストラ(2019)

Ad-astra

- 20th Cent.Studios, -

海王星から謎のサージが地球を襲い、被害が出る。対策のために呼ばれた主人公は、父親を探索する道をたどるが・・・DVDで鑑賞。アド・アストラという言葉はラテン語で、宇宙の彼方へ(困難を超えて)という意味だそうだ。

この作品を劇場で観なくて良かったと思えた。そう感じたということは、失敗作と言えるだろう。ただし、まるきりの駄作ではなかった。主人公の悩みや心の動きを理解することはできた。優秀で仕事熱心だが、自分以外の人への思いやりに欠けていることに主人公が気づいていく流れは、良く表現されていたと思う。  

優れたアイディアもいろいろあった。巨大なアンテナから落下するシーンは緊迫感があった。スピード感がリアルに再現されていた。 月面で資源開発競争が起こり、西部劇のように襲われるというくだりも面白かったし、映像での表現もなかなか良かった。実験動物に襲われるシーンもスリルがあった。

月面での重力はもう少し弱めに設定すべきだったのではないかと思ったが、あんなものだろうか? アポロ計画の頃の映像のイメージとは合わない。月面では、もっと飛び跳ねる感覚じゃないだろうか? 基地内での重力の表現も、手抜きじゃないかと感じた。  

劇場主が集中して観ていなかったせいか、父親の考え方が理解できなかった。サージの元となる宇宙船の修理はなぜできなかったのか? 地球を恨んで意図的にサージを放つなら分かるが、はっきりしない。彼の行動原理が不可解な印象を受けた。

父親の個性次第では、この作品の質は大きく変わっていたのではないかと思う。父親がどう間違っているか、あるいは父は正しく軍がどう間違っているか、明解な表現が欲しかった。たとえばの話、電磁サージによって未知の生命を探り続けていたなら、話は分かりやすいのだが・・・  

映像技術を見せながら、主人公の心情の変化を描くというのが、この作品の基本路線だと思う。だが、心理面の表現というのは、どんな映画でも難しいものだ。場所が宇宙である場合は特に、荒唐無稽な話の中にリアルなドラマを持ちこむという、最初から難しい条件をクリアしないといけない。フィクションの中で、それがフィクションじゃないという雰囲気を出すのは、最初から無理がある。なかなか成功しないものだろう。 

そのためか、SF映画は楽しいものでないと満足できないことを経験で知っている。「惑星ソラリス」や「2001年、宇宙の旅」は有名な作品だし、素晴らしいアイディアを感じることはできたが、面白くはなかった。泣けるSFである「インターステラー」なら、料金以上の価値はあったと思うが、あれは稀な例だ。ほかの映画、静かで哲学的な内容を含むSF映画は、もうそれだけでドツボにはまりそうな路線である。

単純明快な「スターウォーズ」の第一作、あんな作品でないと金を払ったことを後悔することが多い。空前の、感動宇宙SF映画を観てみたいと期待している。 

 

 

2020年1月13日

アルファ 帰還リし者たち(2018)

Alpha

- Sony -

原始時代、狩りに出かけた主人公は仲間から取り残されてしまい、一人で故郷を目指すが、オオカミに襲われてしまう・・・・DVDで鑑賞。 

あまり大手の作品ではなく、大作でもなかったはずで、大スターが出演しているわけではなく、ストーリーにも映像技術にも取り立てて斬新なものはなかった。でも、そんな単純な作りながら、納得できる作品に仕上がっていたと思う。身の程をわきまえていたのだろうか、予算と技術、スタッフの質やマンパワーを考えて、うまくまとめられていたのかも知れない。 

CGではなかったようだが、スタジオでの撮影と屋外の光景が、かなり緻密に合成されていたようだ。メイキングを紹介する部分で、上手く合成された映像を確認することができた。 

オオカミ役の犬の表情が非常に良かった。何かを与えようといても警戒して唸り声をあげる時に、いかにもオオカミらしい敵意を持つ表情、声質だったが、もともとオオカミに近い品種の犬だからできたことだろう。よく選んで来ていたし、調教も非常に上手くできていた。 

主人公の演技がとても良かったとは感じなかったが、酷いものでもなかった。この作品は人間の演技力を問われるタイプのものではなかったのだろう、普通のテレビドラマのような演技でも特に大きな問題を感じなかった。

BBCのドキュメンタリー映像などで感じられるような、荘厳な雰囲気はなかった。苦しい旅を表現するためには、もう少し演出に工夫が必要だったのかもしれない。 

人間たちの来ている衣類には大きな欠陥があったはず。どうみても、この作品の時代のものとは思えない、縫製の痕が見えそうな布だった。あの当時、機織り機のようなものがあったとは考えにくい。当時なら、獣の皮を単純につないだり、重ねたりしかできなかったと思う。獣を素材にしていない物もあったかもしれないが、それは布というより、紐をより合わせて体に結びつけるような物だったはずだ。すこし興ざめする衣装だった。 

犬と人間の結びつきが、この作品のテーマだった。非常に単純で、分かりやすい。大きな感動を生む内容だとは思えない。作った意義や、何を目指して作ろうと思ったのか、そこも分からない。でも、犬の名演技を見るだけでも、この作品には意味があると思う。俳優たちの演技や衣装に足を引っ張られても、犬や猫の姿には、見るだけで心を和ませるものがある。

あのワンちゃんにはアカデミー賞を与えたい。

 

2019年11月18日

アラジン(2019)

Aladdin

- Disney -

ウィル・スミス主演のCG実写版アラジン。歌はアニメ版とかなり共通していたが、ダンスは最近の流行を取り入れており、少しインド映画も意識したような作り方だった。DVDで鑑賞。

CGの出来栄えは素晴らしかった。街並みや、その上空を飛ぶ絨毯の動き、風の抵抗の表現など、細かい部分の処理が丁寧で、観ていて無理が感じられなかった。ダンスも素晴らしい。インド映画とのレベルの違いを感じる。なんといってもディズニーは毎日パレードをやって鍛えられている会社だ。伝統が違う。 

設定に違和感は感じられなかった。大まかな点では伝統に従っていて、安心して観られる作品だ。この作品を劇場で観るのは、親子連れだけではないかと思うが、今の親子はウィル・スミスに満足してくれるだろうか? その点を少し疑問に思った。

たしかにウィル・スミスは順調にキャリアを重ねている。スキャンダルも聞かない。アクション俳優には違いないはずだが、コメディ俳優の要素も大きい。今回の魔人役は、コメディアンが演じるべき役柄だから、キャスティングはスムーズに進んだのかもしれない。でも劇場主の感覚では、ミスキャストではなかったかと思えた。微妙なところかもしれない。

おそらく、本来ならもっと肥満体の、悪役の顔つきの俳優が一番おかしく、魅力的に感じられるだろう。キャラクターとしては、いかにも無茶なことをやりそうな、乱暴者の雰囲気の役者が良いだろう。ジョン・ベルーシやジャック・ブラックのような体形が欲しい。ひねた個性を売っているロバート・ダウニー・Jrやジョニー・デップでも面白かったかも知れない。ラップ調の曲には合わないかも知れないが、歌が外れても、この作品の個性を考えると問題ないと思う。

あるいは有名俳優でないほうが良いかも知れない。その代わり、アラジンや王女役をアイドルにしたら良いだろう。アラジン役は、もっと背の高い、王子役をやれそうな役者のほうが良かったはず。そのほうが昔ながらのディズニー映画の雰囲気に近くなる。子供が喜んでくれることは第一の目標なので、子供受けするための配役、ストーリーにすべきである。少し、ピントがずれていたのかもしれない。

劇場主の記憶では、本来の物語ではランプの魔人と、指輪の魔人が出て来て、指輪の魔人のおかげでアラジンが戦える話だったような気がするのだが、映画用に設定が変えられているようだ。この作品を見る限り、魔人が複数出て来る必要はないかも知れない。そもそもアラジンの話は、もともとは中国あたりの話かも知れないそうだ。アラビアンナイトの原典に、この物語はないという。いかにもアラビアチックな話だが、途中で加えられた話らしい。

 

2019年10月29日

アリータ:バトルエンジェル(2019)

Alita-battle-angel

- Fox -

空中都市から吐き出されたサイボーグ少女アリータは、賞金稼ぎやプロスポーツ選手として活躍し、自分の秘密に迫る・・・DVDで鑑賞。これは、おそらく大人が劇場で鑑賞するタイプの映画ではないだろうと思うが、恋人といっしょになら、悪い作品ではないはずだ。純愛路線の物語だった。 

主役の少女の目はCGで描かれていたが、体の動きは主にキャプチャーモーション技術による実写だったようだ。処理が丁寧なので、表情などに関して違和感はなかった。でも、目をCGにしなくても別に構わないような気もした。ヒロインを特色ある姿にすることや、アニメの感じを出すためには目を大きくした方が良いと判断したのだろうが、違和感はどうしても残った。

この作品は日本人の木城ゆきと氏という、どちらかと言えば知る人ぞ知る漫画家の作品や、そのアニメ化作品が原作になっているそうだ。劇場主は原作漫画を全く知らなかった。 

格闘シーンは素晴らしい。劇場主は、タイの少女格闘家が主演した「チョコレート・ファイター」を思い出した。体格から考えて、少女役はあの映画の主役が演じているのかと思ったが、別の女優が演じていたようだ。動きはなめらかで、美しかった。 

ストーリーは、特に斬新な感じではないと思う。似たような話は色々あったのではないか? 記憶を失った戦士の話、支配階級の世界とスラム街で暮らす下層の世界の間で対立する話など、元になった設定が似た作品は多数あった。独特な点は、失われた古代の格闘技術と武器を扱う点と、少女の顔くらいか? 特色の面で、もっと新しい感覚が必要だと思う。 

悪役には素晴らしいキャラクターがいた。ヒロインには簡単に負けるし、刀も取られてしまうが、嫌らしい性格で執拗に追って来る賞金稼ぎは実に魅力的なキャラクターだった。すぐ負けるが、弱いものを執拗に迫って残虐行為をはたらく、世の中で最悪の嫌われ者キャラである。彼だけは、この作品がシリーズ化されたら、また活躍して欲しい。

できればヒロインと交代して、彼が主役になると面白いかも知れない。逆説的だが、彼の視点でヒロインをいかに追い詰めるか、罠をどう仕掛けるか、ヒロインの仲間をどのように殺してゆくか、いかに汚い手を使うか、その工夫を延々と描くと面白い。そんな彼が家に帰れば、ささやかな家庭を持っていて、よきパパだったりすると、話が複雑になって来ると思う。

 

2019年9月 7日

アクアマン(2018)

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- Warner Bros -

海の女王と人間との間に生まれた子供が成長し、アクアマンとして活躍する話。DCコミックシリーズの中で一番売れた作品で、ダークナイトよりも興行収入が上だと聞いて、DVDで鑑賞。劇場には行かなかったが、そもそも上映されていたのかどうかも知らなかった。  

この作品は、中国系のジェームズ・ワン氏が監督していて、彼のセンスが生きていたようだ。美術的な面が素晴らしい。海底都市の映像は、今までにも様々な映画で描かれてきたが、この作品の都市像は特に見事なものだった。おそらく、東洋系や中南米、アフリカ系など、センスが異なる監督を連れて来ると、作品に新しい魅力が生まれる。今後は、マイノリティーが映画界の主流になるべきなのかもしれない。 

センスとともに、技術も進んできたからだろう、海中で移動する際の髪の毛の流れ方、周囲の浮遊物の動きが実に自然に表現されていて、CGの手が感じられないほどの完成度だった。少しでも不自然な動きがあれば、たちまちのうちに二級品の、マンガをただ映画化した作品という評価につながってしまう。圧倒的な技術が、この種の映画では必要とされるようだ。 

主人公を演じていたのはハワイ原住民の血が入ったモデル出身のジェイソン・モモア。演技力はよく分からなかったが、体格や顔つきが素晴らしく、一見しただけで海のヒーローにぴったりだった。彼は今後、イメージを変えて俳優を続けることは難しいかも知れないが、こんな役に出合えたなら、それで十分なのかも知れない。相手役のアンバー・ハード嬢も目つきがきつく、勇敢そうな印象が役柄に上手く合致していた。こちらのほうは、スパイ映画やヒーロー映画、SFからメロドラマまで、ヒロインも悪役も、いろんな役柄を演じられそうだ。総じてキャスティングが成功していた。 

ストーリーは省略されていて、主人公が戦いの技術を学ぶシーン、途中の成長の場面はほとんどカットされており、いきなり大人になって激しい戦いぶりを展開する。順番的には逆になってしまっていたが、冒頭部分で主人公の強さが大変なものと分かり、一気にヒーローとしての魅力を訴えかけられるので、観客の心をつかむ効果があったと思う。時間通りに成長のシーンを延々やられたら、観客は退屈してしまっただろうから、上手い展開だった。  

主人公が一方的に勝ち続けないことも常識的な判断だし、家族愛がストーリーの根底を成しているし、仲間や恋人が主人公を助ける友情、恋愛の要素もちゃんと織り込まれているし、ストーリーの完成度が非常に高かった。そしてCG技術が凄いし、俳優たちも有名な人が多かった。かなり資金的にも力が入っていたように想像する。

 

 

2019年6月19日

アリー/スター誕生(2018) 

A-star-in-born   

- Warner Bros. -

場末のバーの歌手アリーは、スター歌手のジャクソンに見いだされ、デビューする。アリーがスターになるとともに、ジャックは薬物依存症の泥沼に陥る・・・・この作品、映画館では観なかった。 それほどヒットした報道がなかったからだ。でも、興行的には成功した作品らしい。何度目かのリメイクで、レディー・ガガが映画に進出した作品。

監督を兼ねていたブラッドリー・クーパーは、意外に歌もうまかった。本物の歌手に近い雰囲気が出ていて、それが作品のリアリティーにつながっていた。レディー・ガガの迫力も役立っていた。やはり、この種の映画では歌の上手さが前提になるようだ。俳優が歌手を真似て演じても、ステージシーンで学芸会なみのレベルでは、作品のレベルが落ちる。歌唱力は絶対条件だ。

ただし、ヒロインは他の人で良かったのかも知れない。この企画は、もともとはビヨンセがヒロインの予定だったそうなので、実力のある歌手なら他の人でも良かったと考えられる。若くて美しい新人歌手でも、要するに歌の実力があるなら通用する可能性はあったと思う。レディー・ガガで良かった点は、スタイルが良すぎないこと、浮世離れした美人でないことで、それによって実在感、生活感が感じられた。いろんな曲調にそつなく対応できる歌い手であることも、キャスティングの理由ではないかと思う。演技も自然だった。もともと奇抜なパフォーマンスで売っていた彼女なので、歌だけじゃなく、演技をしていたようなものだ。違和感がない。

鼻のことを気にしたのは、もしかしてバーブラ・ストライサンドのことが影響していたかもしれない。バラードの出来栄えが勝負になる映画だから、旧作でヒロインだったバーブラは自然と連想される。きっと相当意識していたはずだ。ジュディ・ガーランド版を観ていないが、昔から鼻の話は使われていたのだろうか?

ヒロインの境遇は、映画的にはどうだったか、少し不満を感じた。ドライバー業を営む父親と、その仲間たちと暮らしているという設定だったようだが、今までの映画なら、もっと汚い家に暮らし、イザコザややっかいごとに辟易としながら幸せを夢見る女といった演出が常道だと思う。亡くなった母親の話で涙を流す、そんなシーンも必ずあったろう。でも、このヒロインは不幸そうに見えない。仕事が気に入ってないことと、自分の鼻にコンプレックスがあることだけが不満のようだ。不幸な境遇から、一転してスターになり、そして悲しい別れ・・・その流れを際立たせることは、今の時代だとあざといと考えたのだろうか?

確かに、そうかも知れない。あまりにメロドラマ路線に走りすぎると、韓流映画みたいになってしまう。今どきの映画は、ステージの迫力で勝負するべきなのかもしれない。でも、歌だけで感動させるのに、限界はあると思う。献身的な妻の話だけでも、やはり感動は限られる。さらなる要素、心揺さぶられる要素が欲しかった。もしかして、主役の二人に子供ができて、その子も絡む展開になったらどうだったろうかと、少し考えた。

 

 

 

 

 

2019年6月 7日

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)

Mavel

- Dizney -

生物の半数が殺された後、生き残ったアベンジャーズは傷つき、後遺症を抱えていたが、時空を超えて戦う方法を見出す・・・6月2日、劇場で鑑賞。
 
鑑賞した理由は、この作品が歴代一位の観客動員数に迫っていると聞いたからだ。一位になるからには、出来が悪いはずはない。そう期待して行ってみたのだが、意外にも劇場はガラガラだった。日本人の趣味に合わないのだろうか? 

確かに米国人とでは、感じ方に違いがあるはずだ。
 
①キャプテン・アメリカは主役の一人だが、日本人にとっては妙な衣装を着ただけで、特殊能力があるわけではないので、弱小キャラにしか見えない。滑稽だ。 
②キックや銃だけで宇宙人と戦えるなんておかしい。ブラック・ウィドウの力量にも違和感がある。 
③キャプテン・マーベルなんて、取って付けたようなキャラクターではないか? もう少し違った名前があろうし、宇宙船を簡単に破壊する力があるなら、ついでに敵の全部を一発で退治することもできるだろうから、設定に無理がある。 ・・・他にも妙なところがたくさんある。それらが気になって、最後まで満足できなかった。この作品はブルーレイを借りて、家で鑑賞するのがお勧めだろう。劇場鑑賞が良い点は、迫力の点かな?と思えるだけ。  

ストーリーは工夫してあった。タイムトラベルを持ち出して来たが、最初はなかなか上手くいかないので失敗するギャグのシーンが何度かあって笑えた。途中で敵がこちらの計画に気づき、罠を仕掛けて反撃を喰らう展開も良かった。逆転に次ぐ逆転の流れになっていて、よく考えてあったと思う。 

でも、この作品の難しい点は、基本が大きな悲劇の克服、戦いがテーマなので、どこまでギャグを盛り込んでよいかのセンスが問われる点である。各キャラクターごとの映画の場合は、ギャグを中心にしたり、戦い中心にしたりできるが、様々なヒーロー達が共同で戦う場合、それが非常に難しくなる。 神であるはずのソーが、精神的に参ってアル中体形になった点は笑えたが、太ったままで普通に戦えるのはおかしい。作品全体の趣向が曖昧な印象を受けた。

米国人なら、そして子供なら、そういった点は気にならないかも知れない。仲間が集まり復活し、敵を倒す工夫をこらし、作戦の成功が危機に陥り、勝利は厳しいかと思われたが、最後には勝利をおさめる。貴重な犠牲をはらいつつ・・・・伝統的な物語だったと思う。細かい点を気にしない人達になら、大うけしても不思議ではない。日本やドイツ、ソ連さえ打ち負かし、今は中国やイランと戦っている国の国民は、こんな作品が大好きなのだろう。劇場主としては、断然「アバター」のほうが映画的価値は高いと思う。米国の特別な事情がないなら、アバターこそが最高観客動員数だったろう。

 

 

 

 

2019年5月26日

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018)

Under-the-silver-lake

- David Robert Mitchell -

主人公が恋心を抱いた美貌の隣人が失踪したことで、隠れた謎を調べる主人公。しかし、謎ときには都市伝説がからんで、展開は複雑になって行く・・・DVDで鑑賞。 

アンドリュー・ガーフィールドが主演していたが、作品自体はかなりマイナーな路線だったようで、大々的に興行した様子はない。ビデオ屋に並ぶ前は、作品のことを何も知らなかった。セクシー女優がたくさん出演していて、妙な友人、怪しい伝説の話も絡み、怖い話だが笑えるシーンも多いという独特の魅力を持つ作品。でも編集に失敗したのか、話が長くて回りくどい印象も受けた。結局の真相も、説得力には欠ける印象で、全体として観客を納得させる力に欠けていたように思う。もっとコンパクトな作り方もできたのではないだろうか? 

ストーリーに幅を持たせる味付けに関しても、検討が不足していたように思う。たとえば、通常の映画ではアパートの大家さんは主人公を絶えず追い詰め、部屋代を払えと督促してくる悪役でありながら、意外に人情深くて主人公の将来を心配しているなど、ちょっとした味付けがなされていることが多い。それが観客の心の落ち着きに影響したりして、観終わった後の心象も違ってくるものだ。この作品には、そのような心の救いが不足していた。庶民的な描写も、奇想天外な話の基礎には必要と思う。  

パトリック・フィッシュラーという俳優がオカルトに詳しい漫画家か作家?の役で出演していた。独特の風貌が、この作品には実に合っていた。もっとも映画的な魅力を感じる役者だった。主人公の恋人役で女優を演じていた方、こちらも役柄と個性が非常にマッチしていたと思う。ハリウッドでは、おそらく彼女が演じたような端役の女優たちがたくさんいると思う。その雰囲気が実に自然だった。

この二人以外にも、脇役に素晴らしい存在感を感じた。 失踪したヒロイン役はライリー・キーオという方で、マリリン・モンローを真似たメイクをして、同じようなポーズをしていたようだ。

ジェームズ・ディーンや、ヒチコックなど、古い映画に関わる人々、その墓などがたびたび登場し、オマージュを感じさせるとともに、急死した有名人の謎をも連想させる、そんな意図も感じられた。オカルト趣味に満ちた記号も登場していた。子供映画などに使われる場合はインチキくさい印象を与えるに過ぎないが、この作品の雰囲気の中では怪しい雰囲気につながり、良い材料になっていた。

 

 

 

 

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