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2020年9月26日

スキャンダル(2019)

Bombshell

- Annapurna Pic. -

FOXニュースを支配するCEOのロジャー・エイルズに対し、セクシャルハラスメント訴訟が起こる。エイルズの権力を怖れる社員は、一様に口をつぐむ。しかし、徐々に展開が変わる・・・DVDで鑑賞。

特殊メイクで、実在の人物に似せたシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマンが出演し、コメディアンの印象が強いジョン・リスゴーが、怪人物をリアルに演じていた。若手のマーゴット・ロビーが、自分の行為を告白するシーンは見事な迫力で、表現力の凄さを感じた。

映画は静かに話が進み、特に山場らしいシーンがなかった。劇場主は、そのために拍子抜けというか、盛り上がりに欠けた作品という印象を持った。

映像作品としては、法廷などで敵と面と向かって戦うシーンが欲しい。弁護士同士が丁々発止のやりとりをしても良い。対決がないと、印象に残りにくい。それは劇場主に限らず、一般的な感覚だろうと思う。

この作品には、盛り上げの工夫が足りなかった。ただ、エイルズ氏は亡くなったとしても、御家族は存命中のはずだから、あまり派手な演出をやって、今度は製作者側が訴えられでもしたら困る。限界はあったかもしれない。

エイルズ氏の考え方が分からない。多くの女性に手を出せば、誰かは告白しようとするはず。出世や雇用を餌に、自分への反発を抑えるといっても、なかには自爆覚悟で来る人間もいるはず。優秀な弁護士を雇ったとしても、告発者だって法律の専門家を雇うだろう。証拠を残そうと工夫する人間も、きっといる。起こりうるリスクを考えずに、自分の運や力を過信していたに違いない。

訴訟が起こった時、会社内部の女性達の多くは口をつぐんだように描かれていた。米国のように権利意識が強い国でも、自分の立場を考えて黙秘し、被害女性に協力しない人は多いのかも知れない。まず自分の利益を優先し、裁判の経過を見守る対応に出たとしても、彼女らも生活がかかっているのだから、非難はできない。 

2016年に結果が明らかになった事件だったが、その頃は他にもニュースがあって、特にトランプ候補が色々な話題を提供していた時期であり、「セクハラで訴訟」と聞くと、真っ先にトランプ氏を思い浮かべる状況だった。そのせいで、「あれ、トランプじゃないのか、なあんだ。」と、興味が湧かない結果になってしまった。会社のCEOだと、けして一般人ではないが、スターではない。特に注目すべき人物ではないと思った。

このスキャンダルに対し、FOXニュースは、和解金や慰謝料を数十億円支払ったらしいが、問題を起こしたエイルズ達の退職金はもっと大きな金額だったというから、理屈はともかく、呆れる。道義的には納得できない。億単位の金額をもらうのなら、個人として慰謝料を払う能力はあるはずだ。それなのに、金は会社から出ている。その方が責任を追及しやすい、あるいは高額の賠償金を得やすいというテクニカルな理由があったのかも知れない。

 

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