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2020年9月 6日

キャッツ(2019)

Cats

- Universal -

ロイド=ウェーバーのミュージカルの実写映画化作品。監督はトム・フーパ―。DVDで鑑賞。歌手のテイラー・スウィフトやジェニファー・ハドソン、ジェイソン・デルーロなどが出演していた。

主人公は捨てネコ役のフランチェスカ・ヘイワード嬢で、本物のプリンシパルらしい。バレエの踊りが美しく、猫のような動作、ヒロインにふさわしい表情も素晴らしかった。彼女のキャラクターが問題になる。個性がはっきりしていなかった。

子猫役だから、イタズラ好き、甘えん坊など、観客が彼女に好意を抱くような性格は欲しい。踊りはもっと下手でも良いから、可愛らしいコメディエンヌがヒロインを演じると良かった。彼女が何を経てどう成長するかも、共感を得るためには必須だったはずだ。 

ずいぶん前に、舞台を映画化した作品を観たことがある。役者が汚そうな着ぐるみを着て演技する記録映画ふうの作品だった。技術的には、今回の作品のほうが数段優れている。

この作品のCGの技法は徹底している。あらかじめ着ぐるみを着て演技するのではなく、撮影の段階ではモーションキャプチャー用のタイツを着ており、後でCG処理によって耳や尻尾、毛並みまで追加して描くという方法のようだ。尻尾や耳の動きに無理がない。そのために失敗もあったらしく、腕時計をはめたままの画像が残ってしまい、公開後に修正したらしい。

着ぐるみを必要としないためか、ダンサーたちの動きが制限されなかったようで、踊りに関しては非常に高いレベルを感じた。主にバレエの動きで優雅に踊り、途中ではヒップポップ系や、タップダンスも交え、退屈させないようにバラエティ豊かにする工夫を感じた。

ただし、映画でバレエを観たい人がどれだけいるかは疑問。それに、目で追えないほどの踊りは、観ていて疲れる。踊りの動作の早さ、カメラワークに注意が必要だった。

ダンサーの全体的な配置や、演出の計画性に関しても疑問を感じた。人間の目の性能を考えると、プリンシパルが踊る時は彼女の動きに目が行くものであり、それと同時に他のダンサーが目立つ動きをされても困る。「あれ? 他のダンサーに焦点が移ったのか?彼を観よう。」と思ってた所で、またプリンシパルが何か大事な動きをすると、どこを見て良いのか分からなくなる。観客の目の動きを考え、どこかが動くときは他のダンサーは止まるくらいのメリハリが必要だ。そこの管理ができていなかった。 

歌に関しては、本職のテイラー・スウィフトのシーンは完成されていた。彼女は自分のMVでも似たようなことをしているから、踊りに関してもサマになっていた。ただし、この役はもう少し色気を強調するタレントのほうが向いていたかもしれない。

また、ジェニファー・ハドソン嬢は、せっかくの声質が生きていないように思えた。「メモリー」は古いタイプの曲だ。クラシック系の歌手に向く曲調であり、ハドソン嬢に向くのは、もっとソウルフルな曲だと思う。ミスキャストだったのではないだろうか? 

ジュディ・デンチにいたっては声が聞き取れなかった。音響に関して問題があったかもしれない。生の声を生かす手法は、同じ監督の「レ・ミゼラブル」でも使われていたが、まったく感心できない。明瞭に聴こえないと話にならない。

この作品は興行的には大コケだったらしい。一億ドルの赤字を出したというから、もはや想像を絶する金額だ。巨大セットに金をかけすぎたのだろうか? 技術面に野心を感じるから残念だ。 既に舞台で大勢の人がキャッツを観ているから、ストーリーで客を呼ぶことはできない。音響や表現の面で問題もあり、当然の結果かもしれない。アニメにすると良かっただろう。

ただし、セットは豪華で、踊りに関しては素晴らしい。踊りだけなら、何度でも鑑賞したい。

 

 

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