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2020年9月28日

グエムル -漢江の怪物-(2006)

The-host

- The Host -

漢江に怪物が現れ、住民を襲う。娘をさらわれた主人公は、家族と一緒に娘を探すが、政府や米軍は彼らを逮捕しようとする・・・DVDで鑑賞。 

「パラサイト」でアカデミー賞を取ったポン・ジュノ監督の作品。有名な作品だったが、ハリウッド映画ほどの完成度には至っていないだろうと勝手に予想して、今日まで観ていなかった。監督がアカデミー賞を取ったので、どうやら勘違いだったようだと気づいて、借りてみた。

怪物が現れて右往左往する人々、暗躍する米軍、役立たずの警察や韓国軍の在り様が描かれていた。 怪物は米軍が廃棄した毒物が影響して生まれたようだし、米軍が主人公の脳を傷つけようとしたり、抗ウイルス剤を散布するなど、数々の悪行を犯している。どうやら怪物は、米軍や、それに付随する韓国内の弊害を象徴しているように感じられる。少なくとも米軍に対して好意的な表現ではなかった。監督は、朴政権からも敵視されていたと聞く。政治的には微妙な立場なのかも知れない。

主演はソン・ガンホ。表情が分かりにくい。劇場主は彼のどこが良いのか理解に苦しむところがあるが、有名な作品には必ずのように出演している。ビートたけしのような個性だろうか? 今回は金髪の、少し頭の足りない父親役だったが、違和感は感じられなかったから、うまく演じていたのだろう。でも、観客が自然と彼に同情しないといけないのだから、もっと細身で小柄な、弱々しい俳優ではいけなかったのだろうか? 

怪物の映像はニュージーランドの会社が制作していたらしい。橋の下を上手に移動していく動きや、重量の表現などが素晴らしかった。怪物は、ゴジラのように巨大なものではなく、放射能を吐き出すような怖ろしい能力も持っていなかったが、それでも充分に気味が悪くて力強く、しぶとそうな感じで、敵役としての個性が非常に優れていた。

展開がスピーディーでない点は気になった。家族が景気や政治的混乱で酷い目に遭ってきた点を表現するためだろう、休憩や睡眠の時間帯が長くなっていた。娘を救いたい人達の行動としてはリアルさを損ないかねないが、仕方ない面もあったと思う。家族の問題を描かないと、ただのドンパチ映画になってしまう。戦い続ける中で端的に、さりげない表現で、社会問題を盛り込むことが理想だが、それはなかなか難しい。 

この作品の監督が、やがてアカデミー賞をとるようになるとは、正直なところ思えない。この作品の当時はまだ粗削りだったのかも知れない。でも、画像のように少女の背後に怪物が迫って来るシーンなど、印象的な表現がいくつもあった。

 

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