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2020年9月 3日

アメリカは日本経済の復活を知っている(2013)

Koudannsya 

- アベノミクス論 -

・・・以下は、2013年2月に書いた文章で、安倍内閣に期待が集まっていた頃の記事だ。

(正しい政策があるのか?)

自民党政権が提唱する経済政策、アベノミクスに期待が集まっている。株価が上がり、円安傾向が出ているのは、株屋の株価上昇への期待感があること、彼らが一定時期の円安を予測したことの表れと思う。

素人の劇場主には、なるようになるのを眺めるくらいしかできない。できれば社会全体が活気を取り戻し、豊かになったほうが良いと願っているが、身内優先で考える人が政権を占めると、願いとは違った結果が出るかもしれない。

正しい経済政策というものがあるのか、また誰がそれを知っているのかが解らない。なにしろ経済の授業など受けたことがないし、本を読んだこともほとんどない。でも、専門家達がいっぱいいるのに、恐慌や国家財政破綻が実際に起こるのだから、学問はたいして役に立たない。専門家がそもそも一番怖いのは、先の震災の時にも明らかだった。

プレゼンテーションでの印象度を考えたような、意欲的なタイトル。かなり商売的な受けを狙ったのでは?学者バカの生真面目なタイトルでは本が売れない。よく考えてあった。

この本を読んで、今の政策に期待すべきように思えた。短期的には景気は必ず改善しそうな気がする。素人考えながらも、景気刺激、デフレ対策のためには、安倍総理らが進める経済政策が基本だと思う。手段はいろいろあるだろうが、金の流通量を増やし、円が安くならないと、製造業が物を作って海外で売る路線を維持できないのは確か。円安への誘導を試みるべき。

ただし、著者が過去にどのような意見を述べ、予想がどの程度的確で、過去にどのような実際的な功績があったのは気になる。優秀な学者で専門家だとしても、実際には役に立たない人も多い。本を読んだかぎり氏の過去の実務能力は解らなかったので、あくまで学者の意見と考えないといけないだろう。

文章には感嘆した。隙のない文脈で、テニオハの怪しい私の文章とはレベルが違う。でも、内容の重複や同じ言い回しの繰り返しは多いし、根拠が書かれていない部分も多い。それが年齢のためか強調のためか、過去の文章をまとめた関係によるのかは解らない。

(日銀の考えは?)

今まで日銀が今回のような対策を採らなかった理由は、おそらく国債価格や財政が心配だったからと思う。欧米諸国は、公式には認めない国もあるそうだが、かなりの操作をやっていると聞く。日銀の内情を全く知らないので彼らの思考内容はさっぱり解らないが、極めて優秀な集団が考えることだから、ちゃんとした理由のある心配だろう。

最悪を避けるのも大事なこと。いったん多量の金を流通させたはいいが、単に円や国債の価値が下がっただけで、思ったほど税収は伸びず、財政赤字は悪化、破綻、もしくは抑制不能のインフレになったとなると、日銀でも対処できないという怖れがあったのでは?

それに財政規律を守る姿勢を提示しておかないと国際的に批判され、通商取引の際に不利になるという懸念も大きいかも。国際会議のたびに不利な取り決めをされて、輸出にブレーキをかけるのが諸外国共通の方針。一人負けにならないために、外国とも仲良くしたい・・・そんな感覚はなかったろうか?

実際、財政破綻のほうが怖ろしいとは言える。何とか低空飛行でも財政が持てば、好景気の時に諸問題は解決するという目論みもありうる。国際的な孤立も非常に怖い。勝手に日本だけ円を安くしたら、当然諸外国は怒る。対抗措置として日本だけ狙い撃ちした通商協定をやられると、財政も安全保障も破綻する。最悪は避けたい。

金融緩和しないことで急変動を避け、政府の放漫経営を許さず、財政を健全化したかったのでは?今の政府の施策でも一時的効果だけで、財政をいっそう悪化させただけに終わる可能性も高い。経済状況を好転させ、財政も健全化する方法は、結局のところ誰もうまく説明しきれていない。政府の方針にも不安を持って見ている人が大半ではないか?日銀だって、そうだろう。

(株価上昇の意味)

今後もまだ株価は上がる気がする。輸出産業に良い影響があることは私でさえ解る。実際に今のように株価が上がり、追加の方針が決定し、自動車や電器関係の業績が良くなると、乗り遅れたくない人達の注文が殺到するかも。

問題は、その後の長期的な展開。海外からは必ず圧力がかかる。急に円高にしないでくれ、韓国やEUの輸出が減ったから対抗措置を取るぞといった脅しや、相手国の為替操作が次々出てくるかも。外国にいっそう貨幣を出されたら、円高が再来しかねない。株価も一本調子で上がりっぱなしということはないはず。先行きへの不安が襲ってきたら、怖いこともある。

財政赤字は進んで、税収はまだ増えてない段階で株価は再び低迷となると、いったいどうやって対処するのだろうか?しかも消費税は強力な景気冷え込みの要素。ほとんど確実に悪い効果が現れるはず。「株価が上がった。勝負あった。」といった首相のコメントは、選挙向けとはいえ安易過ぎる。効果が出なかった場合の対策も用意しておく必要はある。

用意は、学者や役人がすべきであろう。著者は当然その点を解説し、対策は完璧にできると保障すべき。それが不安感の払拭には必要。提言するからには、そして専門家であるからには、リスクへの対応にも責任がある。それがないと、原発や地震の専門家と変わるところがない。

(リスクメネジメント)

経済政策、何かの誘導に関しては、リスク管理という考え方は普通しないのだろうか?責任を取って何かするといっても、責任の取りようがない気もする。経済運営が失敗したら死者も多数出る事態になるから、一々その責任を取っていたら財務省と日銀スタッフが次々死なないといけなくなる。そうなってないから、基本が無責任で良いのかも。

でも、学者にはリスクマネジネントに関しての解説がもっと欲しい。つまり失敗する可能性の公平な記載や、その対処法を解説し、安心だよと言って欲しいわけだ。その解説も外れていたらどうするかだが、べつに死ぬ必要はない。学問に限れば、基本が無責任で良いのだろうから。

政権を放り出す人物が返り咲けるのだから、責任や恥という観点は今の時代は気にする必要がない。予想は外れました、想定外でしたアハハ、で良い・・・・世の中がそうでも個人的には、そんなわけないと思うが。

何かのテロ、中国のバブル崩壊、暴動、天変地異、諸外国からの反発、日本を狙い撃ちにした協定などなど、いろんなリスクはある。さて、どう対処するというのか?日本には資産があるから大丈夫と本に書かれていた論理は、説得力に欠ける。資産が減ることは如何な金持ちでも嫌だろうから、消費マインド、株取引の中止など、悪い変化は絶対にある。安心である理由を示さないといけない。

(円安が解らない)

適切な円の相場が解らない。著者はテレビで、リーマンショックの前のレベルが目標と言っていたが、それに根拠があるかどうか、さっぱり解らない。適当な‘専門家の意見’にすぎないのかも。根拠を述べない理由も解らない。

どこの国にとっても急激な為替変動は望ましくない。急激に円安が進むと、軋轢を覚悟しないといけない。政権も、こっそり日銀に圧力をかけたらいけなかったのだろうか?わざわざ政権が責任を取る必要はない。日銀がやったとシラを切ったほうが安全。「オラオラ、日銀法改正すっぞ、テメエ。」と脅し、表立っては「日銀との相互理解どえす。」とコメントするのが利巧。

既にドイツなどから円安誘導を批判する声明が出ているそうだ。諸外国の輸出には悪影響があるから当然の話。アメリカの自動車業界も素早く批判を表明しているらしい。アメリカが円安を認めなければ、政権転覆が現実的になる。日本だけの対策で安定成長は狙えない。

アメリカは許すが中国は困る状況なら、政権には追い風。日本の一人勝ちはないと思うが、もしそうなら一気に圧力がかかって転覆。中国も変動要因。尖閣での戦闘や、中国政府が傾くような暴動が起こったら、経済活動自体が止まる。外国が何かの断固たる措置をとって来たら、方針転換を余儀なくされる場合もありえる。

円安になって直ぐ輸出が伸びるかどうかも解らない。生産ラインが直ちに回復する業種もあれば、条件が良くなっても実力の回復に時間を要する業種もきっとある。順調に需要が伸びると解れば設備を増やし求人するだろうが、判断を慎重にする業種もあるはず。

思惑ほど投資や雇用が生まれなければ、消費も伸びない。伸びたとしても、個々人が安定した気持ちになり、購買意欲が生まれるにはタイムラグが必ずある。10の財政支出で、消費の伸びが印象として2~3程度だったら、やはり単に財政を悪化させただけとなり、政府の旗色が悪くなる。選挙の争点にされると、政策を維持するのも難しくなる。

反応の遅れは、投資家たちの不安も生む。今は円安による儲けを狙う株屋が注文をするから株価が上がるが、安定したら直ぐ回収に走るだろう。不安が不安を呼ぶと、収拾がつかなくなる。よほど上手く運ばない限り、良い経済循環は生まれない。

なんとなくだが、効果が限定される可能性のほうが今の時点では高いと思う。来年以降に消費税が上がると、間違いなく消費を減らし、経済を停滞させる。今回の策を総て吹き飛ばすマイナス要因になりかねない。だから、おそらく円安誘導だけでは不足。それは誰もが指摘していること。

(製造業の意味)

無駄な事業を減らして財政を健全化すべし、これは財務省の考え方の基本だと思う。でも田舎の場合は、公共事業がないと苦しい。既に依存した産業構造になってしまっているから仕方ない。だから構造改革は、田舎にとっては深刻。財政と田舎の経済は、薬物中毒のような構造的病態に陥っていたように思う。

これがもし都会に職があふれていれば、人を吸収して問題を解消できる。製造現場が国内に戻ってこない限り、求人数を回復させることはなく、景気も回復しないはず。税収も落ち込む。価格競争力を回復し、輸出できるよう円を適正価格にすることは絶対の条件。製造業が圧倒的な技術を持って、価格差をものともせずに売れまくる製品を作り続けるなど難しいから。

製造業も建設工事も落ち込むと、いかんともし難い。小泉家の地盤のような都会は本社機能があるから軽く済んでも、田舎は壊滅的。それに気がついたことこそ、政権が交代した主因なんだろう。かといって、公共事業に再び依存させるのは本末転倒。公共事業が減ることによる障害を緩和し、事態のソフトランディングを図るべきではあるが。

外国に生産現場が移ったことが、雇用不足の根本的な要因。生産現場が急激に海外に出たので、雇用を確保できない状況になったのが圧倒的な病態。介護などの業種で職を確保できているのは奇跡的な緩衝材だったが、介護は内向きの産業だから、発展性はない。それだけでは国力を落とす。サービス業は総てそうだろう。

介護保険制度の導入は、介護体制の遅れを取り戻すために必要だったが、経済的には小手先の間に合わせ。壮大だが限りなく無駄に近く、発展性ない事業。もちろん介護職は非常に意味のある仕事だが、若者の夢があふれる職では決してない。社会補償のひとつだから当然だ。経済的には、やはり製造業が大事。

製造業が回復したとして、消費税が上がった後でも国内で物が売れるかどうかは、非常に厳しいと思わざるを得ないが、品目を限定するなど税のかけ方などを工夫して、壊滅的な消費控えを避けることはできると思う。ただ、その具体案が私には解らない。

(優遇税制)

製造現場を国内に復帰させる手として、円安以外の優遇策も考えられる。海外から国内に生産ラインを戻した企業が優遇されるような企業減税が考えられる。

新聞を見たら、既に雇用対策案は政府も発表しているらしい。でも政府案では、小さな補助を考えているだけのようだ。せいぜい一人の雇用に数十万円程度の援助らしいので話にならない。私の印象では企業経営者は、よほど景気回復に確信がないと、大胆な採用は見送るだろう。

何といっても税制は国の意志を示す最高の手段。企業が国内に戻らないといかんなあと思えるような極端な規定を作れば、利潤が多少減っても国内に戻そうかと考えるから、ぜひそう定めるべき。

安易な企業減税は最悪だった。減税して企業を守り、海外との競争力を維持するといった理屈が過去にまかり通ったように思えるが、国内の職場を維持する大前提は守らないといけない。企業減税は、雇用に関係しない分野にはいっさいやってはいけなかった。選挙目当てで企業減税を続けると、やはり税収は不足する。いかに消費税でまかなおうとしても限界がある。

企業収益も大事ではある。でも税制の長期的目標は、製造現場と雇用の確保、妊娠出産を増やすことに焦点を当てないといけない。その前提の上で、企業を保護するのが道理。企業が生き残って国民が疲弊する規定は、愚策の極みだったとしか思えないんだが・・・

(脅迫的税制)

紛争ネタになるかもしれないが、さらに踏み込んで、現在海外に生産拠点を抱える企業に一種の「海外拠点税」を設ける手もある。国内の生産拠点に比重を移さないと、やがてひどい税金をとるぞと規定し、脅迫するわけである。

企業は日本に残るか、いっそ日本から完全に去るか決断を迫られるが、去ってしまわない程度に税率を低めに調整すれば、真綿でクビを締めるがごとく、いやでも国内に復帰してくるはず。

もちろん、これはユニクロつぶしを狙ったものではない。極端に海外に比重を移されるのをコントロールするのが目標。現時点の内外の生産割合を考慮して、ある程度だけ国内に復帰させ、少しずつ誘導するのが目標。

税制に円安が絡めば、あっさり国内復帰は達成される。円安が維持されないと、国内生産過剰になってしまう。一気に国内に現場を復帰させると海外での事業展開が難しくなるから、為替の推移を見ながら税率を調整して国内外のバランスをとれば良い。急激に資本を引揚げようとすると、進出先の雇用に悪影響があるので、税率で変化のスピードを制限しないといけないが、手として意味があると思う。

せっかく進出してきた海外企業にまで、これはやれない。投資を引揚げられてしまう。だから業種や会社の規模を限定する必要はある。でも、上手く使えば切れ味鋭い政策。もちろん万全の策ではないが、コントロールする力にはなる。いずれにせよ円安誘導や財政出動だけではヘボ将棋と同じ。税制面のアメとムチが絶対に必要。

(少子化)

本では、少子化で景気は後退しないと書かれていた。でも解説はない。経済学の常識としてそうだと書いてあるだけ。根拠は省略。したがって、この問題に関して説得力あるとは感じない。

なぜだか解らないのだが、国は少子化対策が必要といいつつも、有効そうな案は決して出さない。少子化は、経済が低迷する決定的な要因。長期的な安定を考えるなら、とにかく子供が増えるまで出産育児を補助するしかない。その危機感が足りないのでは?

出産したら、問答無用で年間50万円くらい金を出すべきと思う。そこにこそ投資する意味がある。極端に言えば、原発問題や東北の復興よりも、子供増やしのほうが長期的には重要。これは私が思うか思わないかの問題ではなく、これ以外の考え方は危険とすら言うべき。

借金や無茶な頑張りも、基本は子供の将来への期待があるから。子供が少ないと意欲が落ち、社会全体が失活する。消費だってそうだ。他の策が総て上手くいっても、少子化が続くならジリ貧は確実。衰退が確実な社会に投資するバカはいないから、景気も悪化するはず。

氏の述べる意見は、おそらく過去の欧米の場合がそうだったという意味で、過去に例のない急激な高齢化や少子化、特に欧米と歴史が異なる日本に関しては、要するに‘想定外’で例はあんまり役立たないので、慎重に判断すべき。経済学より一般常識で考えるべきかと思う。氏の勘違いの可能性を否定しないで議論を進めるべき。

将来ジリ貧と納得しつつ待機するなんて、いかに優秀なる経済学者、財務専門の官僚といえど、ありえない。絶対に有効だと確信できる策は、まず少子化に向けるべき。その点は、本では強調が足りなかったと思う。

したがって、アベノミクスはこのままでは一時しのぎに終わるはず。株屋の心理によっては相当な景気回復もありえるが、逆に腰砕けや制御不能な財政悪化、国債価格と株価暴落の危険性は常に付きまとう。そういった懸念をも払拭する名著とは言えないように思う。

 

 

 

 

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