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2020年8月25日

空気を読む脳(2020)

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- 中野信子著 -

脳科学者の中野氏が、日本人の脳の特色にからめて、不倫、バッシング、婚活、生きづらさ、幸福度などについて論じた書籍。面白い内容で、定価860円だったが、安いと感じた。 

脳科学は最近の流行りだ。タレントのように頻繁にテレビに出演し、いつ研究しているの?と、心配になる人もいる。中野氏は研究機関に所属してはいないようだから、すでに学者を卒業したタレントといって良いのかも知れない。書籍をたくさん出していて、どれも面白く、分かりやすい。文章が美しく、元々の基礎的言語能力やセンスが優れていることがうかがえる。

本職の学者の文章は、理屈が勝り過ぎるのか、分かりにくいことがある。研究に必要な能力と、解説する能力は別物だ。だから中野氏本人が研究を続ける必要はなく、学術研究の成果をまとめ、伝道する役目を果たしていただけたら良いのかも知れない。御本人も、あとがきでそのような事を書いておられた。

この本のあとがきは凄い。毒々しさを感じる人がいるかも知れない。理解できる人間は限られているだろう。おそらく彼女は真摯に、自分の特徴を吐露する必要があると考えたはず。読者に対して真摯でないと、ものを書く資格がない、そんな覚悟を感じる文章だった。 

最近、お笑いタレントの渡部や俳優の東出が不倫をしでかして、仕事を失った。ネットでのバッシングは酷かった。昭和の時代の有名人、たとえば松方弘樹などとは、騒がれ方が違った。松方の場合は、もともとが芸能界一家の一員で、普通の家庭出身ではない。浮気しないほうが不自然なくらいのイメージがあった。

東出や渡部は、それぞれが人気タレントだが、昔の映画スターのような大御所、大スターと言える立場ではない。イメージ的にも、松方のような豪快な人間とは違う。そして各々、奥さんの方がより有名な印象もある。イメージと行為の違いが、酷いバッシングの主要な理由のように思える。 

それに、バッシングするのは、昔なら新聞や芸能誌の記者や評論家だけだったのが、今は誰でもできる。誰もが公的な意見表明をできる。情報が伝わるスピードも段違いに早いから、批判の拡がりが早く、そのために勢いも激しく感じられる。盛り上がってしまうのだ。そこらへんが、あの二人にしてみれば、不利な点かも知れない。脳の関与がどれくらいあるのかは分からない。脳内のことより、イメージと通信技術の影響の方が強いかも知れない。 

劇場主も空気を読みながら生きている。学生時代は特にそうだった。親とは良好な関係だったが、顔色をうかがいながら、とんでもなく怒られるようなことはしないように気を使っていた。学校では先輩のいびりを避けないと、何をされるか分からなかった。大怪我はしないようにしないといけない。

社会に出てらからも、病院長や部長、先輩の顔色を無視することはできない。「こんな治療はおかしいんじゃないか?」と言いでもしたら、たいていの場合は「お前の頭がおかしいんだ!」と言われる。しかし、多くの場合は十年後くらいに劇場主の言ったとおりだと判明するから、言うことを聞いて損した気がする。 

齢を取って来たし、もういい加減に空気読みを卒業したいものだが、今度は部下から無理難題を要求されることが増えた。4月には、「コロナウイルスの流行で患者が減っているのだから、臨時の休みを取りたい!」って要求された。自分の年休を使って下さいよと言っているのに、なんで別の休みを欲しがるのか、そんな要求をしてのける頭が理解できない。脳内環境がおかしくないか? 

職務規定があるんだから、規定を優先すべきじゃないか? そりゃあ緊急事態で、規定が役に立たない場合は規定外の要求も当然だが、そんな危機的状況か? ニュースの見過ぎでパニックになってるだけじゃ? 私の脳と職員の脳には、構造的にも機能的にも、大きな違いがあるのだろう。

 

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