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2020年8月16日

パラサイト(2019)

Parasite

- 監督 ポン・ジュノ -

半地下の家に住む下層階級の家族。裕福な会社社長の家に取り入ることに成功する。しかし、彼らの夢は長く続かなかった・・・・DVDで鑑賞。

カンヌ映画祭パルム・ドールとアカデミー賞の作品賞を取った作品。評判通りの面白い展開で、しかも格差社会の問題点を上手く表現し、娯楽と表現、サスペンスとコメディの要素のバランスに優れた映画だった。

作品のアイディアは、ポン・ジュノ監督自身が若い頃に家庭教師をした経験から出たもので、そこに今の社会の問題点を織り込んで、物語として成立させたらしい。製作費は、日本円だと12億円くらいに相当するようだが、同年の日本映画「キングダム」の製作費が、およそ10億円だというから、それよりずっと費用対効果が良いと思う。  

「臭い」が大きな要素になっていた。富裕階層の雇い主は、主人公たちに染み付いた臭さに、嫌悪感を感じている。主人公がその嫌悪感に腹を立てたことで、ラストに怖ろしい結果が待っているわけだが、へりくだっていた主人公、ソン・ガンホが徐々に怒りを滲ませていく様子がよく分かった。

分からなかったのは、途中で社長の息子が地下からのモールス信号に気づくのだが、それが作品の展開に影響していなかった。劇場版であったシーンが、DVD版で削除されたのだろうか?  

劇場主の感覚では、この年のパルム・ドールは、ケン・ローチ監督の「家族を想うとき」にあげたい。心にしみる物語だった。もしかして、短期間で同じ監督に何度も賞をあげるのは良くないという判断があったのか? 「家族を想うとき」は、アカデミー賞には元々ノミネートされていないので、賞を取ることはありえなかったわけだが、出来栄えから考えると、「パラサイト」に負けていないように思う。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」も、よく出来た作品だ。作品賞に相応しい映画だったと思うが、テーマの点でパラサイトのほうが好まれたのだろうか? 

劇場主の感覚では、「パラサイト」を繰り返し観る気にはなれない。一回で充分だ。「家族を想うとき」のような抒情性はないし、美しい女優や、派手なアクションを観れるわけじゃないこともある。今どきは、涙するような感動は流行らず、抒情性が気にされない時代なんだろうか?

おそらく、観客の感情を動かすための、何かが足りなかった。たとえば、主人公達の家族よりも襲ってきた夫婦のほうが凶暴、かつ頭脳の面でも上で、家族がそろって負けて泣くと面白い。あるいは、相手にも子供がいて家族で暮らしていたら、それも傑作。

下層の人間は、上流階級と戦うより、下層の人間同士でライバル意識を持ち、互いに足を引っ張り合う傾向がある。それも問題のひとつだ。映画にも使える設定ではなかろうか。

 

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