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2020年8月19日

リチャード・ジュエル(2019)

Richard-jewell

- Warner Bros. -

コンサート会場の爆発物を発見した主人公は、ヒーローから一転、容疑者として疑われる・・・DVDで鑑賞。実際の事件を再現し、捜査や報道のあり方を批判し、主人公らの被った損失、被害を的確に表現していたと思う。

主人公の人物像が面白かった。あまり物事の処理が得意な人物ではなく、話もまどろっこしいところがあり、体型も動きが鈍そうで、人から敬意をはらわれそうな人物ではなかったようだ。しかし彼の公共精神は豊かで、公僕に対する憧れは強く、そのために周囲とのトラブルを起こしやすい面もあったという描き方。

確かに、そんな人物は少なくない。本人は邪悪な考え方はしておらず、社会のルールに忠実であろうと努めているだけだが、ルールが嫌いな人間も必ずいるもので、杓子定規にルールを守るように言う本人と、ルールを破りたがる人間とで険悪な関係が生まれやすい。

上手な人は適当なレベルでルールを解釈し、喧嘩にはならないで最低限の秩序を保つことができる。でも、ルールに純粋な人間には、それが難しい。主人公の事件前の状況を、そんな観点から描いていたようだ。 実際に、主人公は発達障害者だったのかもしれない。 

事件は1996年に起こったそうだが、劇場主には記憶がない。日本では小さな扱いだったようだ。イスラム過激派の大規模テロとは違い、文明論的な背景がなかったことや、犠牲者が少なめだったからだろうか? 

ボストンマラソンの事件のように、爆発が直接映像で報道されていなかったのが理由かも知れない。1996年頃は、まだスマホがなかった時代だ。個人用のビデオはあったが、ちょっとしたコンサートを大勢の人が撮影する時代ではなかった。だから事件の映像も、おそらくは事故現場の救助、壊れた椅子や散乱するゴミなどのものしかないはずで、印象も全然違うだろう。 

作品の中ではFBIの捜査方法、報道機関の仕事の仕方の悪い面が描かれていた。実際がどうだったのかは分からない。でも、似たような手口が使われた可能性は否定できないように思う。日本でもたびたび問題になるから、FBIだけのことじゃないのだろう。。

捜査においては、証拠をいかに固めるかが大事なので、焦って物語を作ってしまい、それに誘導する誘惑のような心理が現場では働くのだろう。ワナにはめてでも証拠を固めたい。自白を得たいが、それが難しいなら騙しちゃえ、犯罪を証明できないと話にならない・・・そんな感覚だろうか?

速やかに型にはめた仕事をできると、おそらく「誇らしい」「嬉しい」「やりがいを感じる」などの心理反応が捜査員に起こるに違いないし、職場での評価も上がることだろう。犯人じゃない可能性を考える手法は、容疑者を追い込むのに失敗する危険性があるのかも知れない。脅し、騙し、隠蔽の要素が全くない取り調べは、現実的には難しいだろうと思う。 

 

 

 

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