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2020年7月29日

ジョジョ・ラビット(2019)

Jojo-rabbit

- Searchlight Pic. -

ヒトラーを崇拝する少年、反政府運動をする母親、隠れて暮らすユダヤ人少女らが戦時中を過ごす日々を描いた作品。DVDで鑑賞。 

戦時中のドイツを描くのは難しいと思う。あの時代をコメディで描くと、ナチス時代にも楽しいことがあったと、肯定的に描いたように批判される。苦しいばかりの日々として暗く描くと、観客からはそっぽを向かれる。難題に挑戦したという勇気を、まず称えないといけない。 

結果として、この作品は親子や友人達の関係をユーモラスに、肯定的に描きながら、狂気の時代を否定し、しかも娯楽として成立させているので、よい出来栄えだと思う。個々の人物の個性が非常に明確だったので、劇としての完成度が高いと思う。 

いっぽうで、ヒトラーがユーモラスな人物に描かれている点には、嫌悪感を感じる人も多いと思う。少年の頭の中に、なぜヒトラーを登場させないといけないのか、理解できなかった人も多いに違いない。ふざけた描き方が、そもそも許されないと考える人だっているはずだ。 

助演のスカーレット・ヨハンソンが非常に存在感を見せていた。美しく、生命力にあふれ、戦時中でも希望を持って生きる人間を、実に魅力的に演じていた。ワインをたしなんだりする演出も、魅力を惹きたてていた。

一般的に少年にとっての母親は、同年代の少女とは違う独特の色気を感じさせる対象だと思う。母親の色気や美貌は、子供にとっては誇らしく、無条件に好きだという感情を生む。その感情の表現のために、女神のようなヨハンソン嬢は最高の役割を果たしていた。彼女の役をコメディエンヌが演じたら、意味合いが違っていたと思う。 

主人公の友人役、指導教官役などの共演者たちも、役割を十分に果たしていた。 この作品を、他の描き方で作れなかったかと考えても、良いアイディアは浮かんで来ない。そもそも難しいテーマなので、触らないほうが無難だ。特に日本の場合は、この作品と同じタイプのコメディは受け入れられそうな気がしない。

東条英機が空想の中でダンスを踊る映画を作っても、観客には絶対に受けないし、冗談と理解してくれる人もいないし、ドスを持って問答無用で切り付けて来る狂信者だっているかも知れない。劇場主も、そんな映画を観たくない。

中国や韓国では、日本の軍人をあざ笑う作品を作る人がいるかも知れないが、この作品とは違う描き方だと思う。たぶん、日本人の全てが狂っていて頭が悪く、残忍な個性として描かれるだけではないか?

日本の場合は、ヒトラーのように目立つ存在がいたわけじゃなく、連帯責任の無責任体質の政治体制だったので、空想で登場できるほどのタレントがいないという面もあるだろう。 

 

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