映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« Think Smart(2020) | トップページ | ミスター・ハリウッド »

2020年7月20日

アド・アストラ(2019)

Ad-astra

- 20th Cent.Studios, -

海王星から謎のサージが地球を襲い、被害が出る。対策のために呼ばれた主人公は、父親を探索する道をたどるが・・・DVDで鑑賞。アド・アストラという言葉はラテン語で、宇宙の彼方へ(困難を超えて)という意味だそうだ。

この作品を劇場で観なくて良かったと思えた。そう感じたということは、失敗作と言えるだろう。ただし、まるきりの駄作ではなかった。主人公の悩みや心の動きを理解することはできた。優秀で仕事熱心だが、自分以外の人への思いやりに欠けていることに主人公が気づいていく流れは、良く表現されていたと思う。  

優れたアイディアもいろいろあった。巨大なアンテナから落下するシーンは緊迫感があった。スピード感がリアルに再現されていた。 月面で資源開発競争が起こり、西部劇のように襲われるというくだりも面白かったし、映像での表現もなかなか良かった。実験動物に襲われるシーンもスリルがあった。

月面での重力はもう少し弱めに設定すべきだったのではないかと思ったが、あんなものだろうか? アポロ計画の頃の映像のイメージとは合わない。月面では、もっと飛び跳ねる感覚じゃないだろうか? 基地内での重力の表現も、手抜きじゃないかと感じた。  

劇場主が集中して観ていなかったせいか、父親の考え方が理解できなかった。サージの元となる宇宙船の修理はなぜできなかったのか? 地球を恨んで意図的にサージを放つなら分かるが、はっきりしない。彼の行動原理が不可解な印象を受けた。

父親の個性次第では、この作品の質は大きく変わっていたのではないかと思う。父親がどう間違っているか、あるいは父は正しく軍がどう間違っているか、明解な表現が欲しかった。たとえばの話、電磁サージによって未知の生命を探り続けていたなら、話は分かりやすいのだが・・・  

映像技術を見せながら、主人公の心情の変化を描くというのが、この作品の基本路線だと思う。だが、心理面の表現というのは、どんな映画でも難しいものだ。場所が宇宙である場合は特に、荒唐無稽な話の中にリアルなドラマを持ちこむという、最初から難しい条件をクリアしないといけない。フィクションの中で、それがフィクションじゃないという雰囲気を出すのは、最初から無理がある。なかなか成功しないものだろう。 

そのためか、SF映画は楽しいものでないと満足できないことを経験で知っている。「惑星ソラリス」や「2001年、宇宙の旅」は有名な作品だし、素晴らしいアイディアを感じることはできたが、面白くはなかった。泣けるSFである「インターステラー」なら、料金以上の価値はあったと思うが、あれは稀な例だ。ほかの映画、静かで哲学的な内容を含むSF映画は、もうそれだけでドツボにはまりそうな路線である。

単純明快な「スターウォーズ」の第一作、あんな作品でないと金を払ったことを後悔することが多い。空前の、感動宇宙SF映画を観てみたいと期待している。 

 

 

« Think Smart(2020) | トップページ | ミスター・ハリウッド »

無料ブログはココログ