映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« イタリア式離婚狂想曲(1961) | トップページ | Girl/ガール(2018) »

2020年5月13日

感染症パニックを防げ(2014)

Kobunsha

- 岩田健太郎著・光文社新書 -

この書は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が流行する前に書かれた本である。当然、今のコロナウイルスについては書かれていない。世界中で流行している今回の感染症は、マスクやトイレットペーパーの買占めや、医療関係者の家族にいわれなき暴言が浴びせられるなど、パニックにともなう事象が発生してしまった。

ネット上でも様々な炎上事例が発生しているのは、皆の神経が敏感になっているせいではないか?感染しても死亡率1%以下のウイルスに対し、この世の終わりのような対応をするのは、さすがにやり過ぎではないかと思う。冷静になるべきだ。パニックやヒステリーのほうが、ウイルスより怖い。

まあ、タレントの岡村隆史の風俗嬢に関する発言は、時期に関係なくマズい内容ではあったが・・・・ 

日本国内においては、パニックといっても軽いものだった。今回はたまたまSARSほどの致死率がなかったからだろう。罹ったら終わりというような病原体だったら、さすがに買占め、暴動、移住などの騒ぎに発展するかも知れない。今回は、まだ運が良いほうだった。

この本は優れた解説書だが、今回の流行には効果を発揮できなかったようだ。命に関わりうる、経験したことのない病原体が身近なところに迫っている場合、恐怖を感じるなと言っても無理だ。ほとんどの人は、理性を失って過剰反応に出てしまう。良い書物があっても、力には限界がある。

しかし、もし多くの人が理性的に判断し、集団が暴走しないように歯止めの役割を演じてくれれば、全体がおかしな方向に走るのを止めることができるかも知れない。このような本か、あるいは今回の流行で人々が経験し、学んだことが、次の危機に役立つかもしれない。 

集団の暴走を止めるのは、本に書かれているような様々な原則に基づけば、可能ではないかと思う。ただ、どれだけ正論を述べても、パニックに陥った人から攻撃を受けたり、様々な勘違いによって正しい意見が無視され、人々が右往左往したりするのは避けられないとも思う。速やかにクールダウンさせるのは、容易なことじゃない。  

今回のCOVID-19の扱いにおいて、岩田氏がクルーズ船に関してネット上で公開した内容は、もしかするとクールダウンとは逆の作用を働かせてしまったのではないかと感じた。船の中で、感染領域と清潔領域が分かれていない、専門家がおらずに対応がなってない、そのような内容だったと思うが、いかに指摘が正しかろうと、ネット上で発信しての反応を考えると、非常に危険な行為であったように思う。

もちろん、船に乗客を留めたことで感染者も健常者もいっしょくたになり、管理できない状態になったのは本当だが、船内にどうして留めざるを得ないのか、政府から誰が来て管理をしているか、法的な責任がどの部門にあるのかなど、確認を要する点は多い。いきなりネットで批判するのは正しくない。岩田氏は、あそこを管理している部署に訴えかけるべきだったと思う。

日本国内の流行は、沈静化しつつある。福岡県は連休頃から急に新規患者が減った。福岡が減ると、熊本も減る。どうやら、劇場主が当初予想した通りの流行具合で、いったんは落ち着いてくれそうだ。感染力と病原性、致死率や症状については、当初の予測通りだ。

でも劇場主は、世間の雰囲気を予想できなかった。学校が長期間休校になり、子供たちが自宅学習するなんて! 市町村単位、クラスや学校単位じゃない全国的な休校は、予想していなかった。今でも、本当に必要だったのか分からない。行楽地が、これほど全国的に閑散とするなんて! 広大な地域をロックダウンするなど、経済的な理由でできないはずと思っていた。

欧米で患者数が多いことも考えなかった。東アジアが中心だろうと、普通なら考えたはずだ。何か途中でウイルスの性格が変異したからかもしれないが、ひょっとすると未だ知らない理由が隠れているのかも知れない。

対応のまずさが、事態を悪化させた面もあるかも知れない。5月8日になって、相談センターの基準の「37.5度以上の体温」が除かれることが決まったのだが、一定程度インフルエンザの患者を診たことがある人なら、熱はあてにならないことがあると、容易に想像できたはず。熱に関する表現の仕方には、神経を使うべきだ。

「いいや、何か基準がないといけないから、熱も基準にすべきだ!」と強硬に主張する委員がいたのだろうが、基準が独り歩きする危険性には思い当たらなかったのか? 相談を受ける人が、「ふーん、あなたは熱がないから、コロナ感染じゃないです。」と思ってしまったら失敗だ。そんな判断によって、亡くなった人は多数いるはず。

今後、ウイルスが変異してまた流行が始まると困るが、コロナウイルスはそんなに簡単に変異するタイプのウイルスなのだろうか? もしそうなら、インフルエンザのように過去にも大きな流行を起こしていそうな気がする。そうではないところから考え、コロナウイルスは毎年のように変異はしないと予想する。

SARSからMERS、COVID-19への変化は、8~10年かかったと思う。弱毒型への変異もあったろうが、今懸念されているように、すぐ来る「第二波」は、過剰な不安の産物ではないか? もちろん10年毎でも、こんなのに来られたら困るが、楽観し過ぎだろうか。

 

 

 

 

« イタリア式離婚狂想曲(1961) | トップページ | Girl/ガール(2018) »

無料ブログはココログ