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2020年4月11日

地球はグラスのふちを回る(1981)

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- 開高健著・新潮社 -

世界中の国の酒や料理、風俗や釣りの体験談をまとめた随筆。開高健の冒険旅行記といった内容。文章には独特のクセがあり、少し読みづらいものの、内容は奇想天外、奇妙奇天烈で、非常に面白かった。

本のタイトルも非常に洒落ている。フランス文学を学んだらしい著者は、この種のセンスに優れていたのだろう。内容は、おそらく雑誌の連載か、読み切りの単発物として書かれた文章を集めたもののようで、文章のスタイルが統一されていない。それでも、特に違和感を感じるほどではなく、一気に読もうと思えば読めそうな内容だった。

〇×紀行といった風格、情緒的な雰囲気は感じられない。もっと軽く、ユーモアある内容で、この文章を読んで教養が高まることは、あまり期待できないような気がした。文学的価値、心に残る余韻、そんなものも感じられない娯楽本である。重々しい文章が良いとは限らないので、これはこれで価値がある文章だろう。

開高健は雑誌プレイボーイにも投稿していたから、名前は知っていた。「オーパ」は、雑誌で読んだわけだが、当時の劇場主はあまり釣りに興味がなく、文章の味わいもさほど感じなかったので、そんなに人気のある文筆家なのかねえ?と、理解できないままだった。今でも特に魅力的な文章とは思えない。

ただ、氏が紹介した体験談は非常に面白い。滅多に日本人が行けなかったような場所に、その当時すでに行っているという事が、それ自体で魅力になっているように思える。冒険家の文章は、読む人をワクワクさせる。普通の人が経験できないことを体験し、紹介しているのだから、それだけでも興味をそそられる。人は自分が体験したことがない話には興味を持つ。開高氏の体験は、価値のあるものだった。  

劇場主が興味を持った話は、海外での海産物料理の話。日本と比べ、海外での海産物の乱獲は、今でもまだ程度が軽いと思う。新鮮な魚が手に入るなら、ぜひ海外でも食べてみたいものだが、ほとんど経験がない。

ドイツのローテンブルグそばの湖の魚料理はツアー中に食べたはずだが、味の記憶がない。感動するほど美味しくはなかったはずだ。内陸の地域では、日本ほど新鮮なまま流通させるのは無理だと思う。刺身が入手できるのは、おそらくニューヨークなどの大都市で、日本料理屋がたくさんあり、需要と供給がしっかり出来上がった場所だけだろう。

イセエビなら、東海岸にはたくさんの有名店があるはず。刺身は難しいとしても、ステーキなら体験できるに違いない。レーガン大統領も来ていたというワシントンのステーキ店は、たしか海辺にあって、イセエビも出していたと思うが、せっかく米国に来たんだからと、結局は肉を食べる羽目になった。予想通りに大味で、歯ごたえのあり過ぎる品物でがっかりした。ロブスターは高かったんじゃないかと思う。値段が怖くて試せなかった。 ヨーロッパでも魚は全く食べれなかった。試すのも怖い気がした。

体験しなかったことを、今は後悔している。開高健氏ほどの余裕があれば、ぜひやるべきだった。

 

 

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