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2020年4月15日

ブラック・クランズマン(2018)

Blackkklansman

- Universal -

黒人刑事がKKKに潜入し、爆破事件を未然に防げるかという話。DVDで鑑賞。クランズマンとは、おそらくKKKの団員を意味するのか?  

監督はスパイク・リー。驚くべきことだが、この作品のストーリーは実話に基づくという。たぶん、冗談のつもりでKKKに電話をしてみたら意外に良い反応があったので、計画を思いついたのではないかと思う。

この作品には素晴らしいシーンがたくさんあった。黒人運動の指導者が集会でやる演説のシーン。参加した黒人たちのアップの顔が、暗闇の中でひとつひとつ浮かぶ。誇り高き意識を覚醒されていくかのような表情が表現されていた。KKKの集会での儀式と、老いた黒人の講演が交互に描かれたシーンも、双方の参加者たちが高揚して行く様子が描かれ、上手い構成だと感じた。  

主役はデンゼル・ワシントンの息子さんだそうだ。俳優として非常に魅力的とは感じなかったが、立派に役を果たせていたと思う。 

潜入捜査というスリリングな仕事を、入れ替わりという原始的な手法でやってしまう時点で笑えるので、この作品はコメディに属している。でも、明らかにテーマは人種差別であり、KKKのメンバーも殺し屋のような連中だから、内容としてはシリアスである。

シリアスな話を喜劇的に描くのは、成功すれば高く評価される手法だが、もし失敗したら激しく糾弾されること確実なギャンブルでもある。必ず、「ふざけるな! もっと真面目に描け! 現実は悲劇なんだぞ!」と、脅迫してくる手合いはいるだろう。そうさせないためには、出来栄えの良さが必要だった。 

よく出来た作品だったが、味わいが足りない印象も受けた。 せっかくの恋が盛り上がり、恋人を救えるかどうかをスリリングに描ければ、主人公の必死さがより鮮明に描かれ、作品にとっても好感度を上げる効果があったかも知れない。あっさりし過ぎていた。  

かってKKKの中心人物だったデヴィッド・デュークが登場していた。現在はルイジアナ州の下院議員だそうだ。理解しがたいのは、彼はかって民主党のほうに所属したこともあるそうだ。民主党も幅が広い。米国の政治風土がそれを可能にしたのだろうが、日本では考えられない独特な考え方が米国では通用するようだ。   

映画の中で、KKKの団員たちが「アメリカを再び偉大に!」と叫ぶのを観て、トランプ大統領のキャッチフレーズがそのままであることに驚いたが、実際にKKKがこのキャッチフレーズを使っていたか、あるいはトランプ政権への皮肉としてフレーズを流用したのか、劇場主には分からなかった。

でもニュアンスとしては理解できる。米国の白人の多くが「偉大に」という場合、白人が優位に立つ状態を意味していると思う。オバマ大統領が功績を残したとしても、彼らはそれで米国が偉大になったとは感じないだろう。人種問題は非常に根が深い。

 

 

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