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2020年2月14日

かえるくん、東京を救う(1999)

- 村上春樹・著 -

主人公の家に「カエル君」が訪れる。地震を起こす魔物と戦うために、主人公に手伝ってほしいと言う。意味を理解できない主人公だったが、協力することになる・・・単行本「神の子どもたちはみな踊る」の一編を購読。この作品も阪神淡路大震災に関わる作品で、1999年に雑誌に掲載されたものだそうだ。

95年の震災から先日で25年も経ってしまった。地震後に神戸の街中を歩いたら、コンクリートの地盤が波を打ってバラバラに割れており、神戸市民病院の高い建物にもたくさんの亀裂が入っていて、その破壊力を体感できた。海岸近くの町、特に埋立地はどうしても地震には弱いといった感想を持った。

あの地震の光景を見たので、自分の家には不必要なくらいの対策をとった。間取りはおかしくなり、建築屋さんたちは呆れていたが、1階と2階の構造を無理に合致させ、筋交いだらけの頑丈な作りにした。まさか内陸の熊本市で被災するとは思わなかったので、無駄なことをしたなあと感じてはいたが、平成28年の地震で大きな被害が出なかったのは、阪神の教訓のおかげだろう。木造二階建てくらいまでの建物なら、地震だけで完全に倒壊することは避けられそうだ。  

怪奇な存在が登場し、頼りなさそうな主人公が他の登場人物や魔物たちに翻弄されている。その特徴は、他の村上作品と共通する。翻弄される主人公は、地震などの大きな災害、凶悪な事件によって打ちひしがれたり、不安になったりする我々一般人を象徴してもいるのだろう。

主人公が明確な目的意識を持ち、確たる哲学を持ち、強い意志の力を持っていたら、物語になりにくい。せいぜい、マンガのヒーローものが成立するくらいだ。 小説の場合は何をしていればよいのか、自分でも分かっていない、あるいは仕事はしてるものの、ぜんぜん満足できていない、そんな悩める人物のほうが、読者が共感できる個性だと思う。 

しかし、現実の社会はもう少ししっかりした人物じゃないと、生きていけない。しっかりしていなくても、過剰な自信を持っていたり、強がって虚勢を張ったり、そんな無理した生き方のほうが、より現実的かも知れない。主人公に家庭がある話も、たまには欲しいように思う。  

ちゃんと家庭を持ち、子供もいる主人公だったほうが、より作品のレベルを上げることができると思う。村上作品では、ごく普通の人物が主人公になっていないことが多い点で、何か足りていない部分を感じる。 次回作では会社務めの、ごく普通の人物が主人公であってくれたらと思う。魔物を現実社会でどう登場させるか、描き方は難しくなるかもしれないが、村上君ならできると思う。

 

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