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2020年2月10日

記者たち 衝撃と畏怖の真実(2017)

Shock-and-awe

- 監督ロブ・ライナー -

2002年、イラクを攻撃しようとする政権に対し、疑問をもって報道した報道機関の面々を描いた作品。DVDで鑑賞。 

記者たちが政権や他の新聞社と違う視点で戦う忙しい日々の中で、家族や恋人との生活を楽しんでいる様子も描かれている。日本の記者のほうが激しく働いているのではないかと思えた。 日本の新聞社は、彼らに比べたらショボい。画期的な報道をすることは滅多にないと思う。何か組織的に機能できていない面があるのかもしれない。権力者たちから抑えつけられて、実力を発揮できずに週刊誌などに人材が流れているのかと疑う。

また、IT技術全盛の今日でも、記者たちがメモを大事に使っている様子も分かる。メモは大事だと思う。頭の整理には、パソコンやスマホでは性能的に限界がある。メモのほうが早く、便利だと思う。理由は分からないが、パソコンやスマホの画面は忘れやすいし、動作の過程で無駄が多い。

主人公らの会社は、他の新聞社と意見が食い違うことになったが、ひるまなかった姿勢に敬意を表したい。国民のほとんどが好戦的になっている中で、正しさを追求し、揺るがないというのは難しいことだ。読者が離れたらどうするかと考えると、自分達の首をかけての判断が必要だったろう。

クビになってもいいさと思える環境が必要である。官僚たちのように、失敗したら出世がなくなるような単純な組織では、記者の行動をしばってしまい、権力者の横暴を放置することになり、やがては社会全体の利益を損なう。記者にも社会人としての義務は必要だが、行動、判断の自由が必要だ。権力者たちから報道機関が守られる規定が必要だ。 

この作品の描き方には問題があった。激しい攻撃にさらされ、強いプレッシャーを受けていた様子がもっと描かれると良かったと思う。そしてラスト近くで立場が逆転し、正しさが証明されて再評価される、そんな単純明解な演出も欲しかった。勝利を描いていなかったので、盛り上がりに欠けていたと思う。  

イラク戦争をめぐる政府の陰謀を描いた作品は複数ある。「華氏911」「バイス」もそうだった。民主党支持の映画人が、次の大統領選挙の事を考えて制作しているのかも知れない。当時の政権内で力のあったラムズフェルド、チェイニー氏らが、なんらかの意図をもって情報を操作し、イラクに対する国民の敵意を煽り、戦争に誘導したらしいと、今日では考えられている。でも、議会や最高裁で共和党の勢力が衰えない限り、違法判断が下されることはないだろう。

イラクに対しては9.11テロより前から、危険視する意識は明らかにあった。イラク側も、国連の査察を拒否したりして、怪しい面はあった。米国側はイラクの権益が欲しかったのだろうと疑われるが、真剣に考え、純粋に間違ってイラク攻撃を決めたのかもしれない。米国は情報管理や演出が上手いので、真相が分からない。  

おそらく、政府の内部にいる人達は、情報をどのように処理し、自分の立場を弱めることなく役立てようと、日々頭を使っているものと思う。情報を占有する立場になった時に自分の都合を優先し、国家の利益に反するということは本来なら許されないが、それが曖昧な場合はあると思う。「この情報は握りつぶしたほうが国家のためになるのでは?」そんな情報も来るかもしれない。 

たとえば劇場主が、ある患者が癌かもしれないと気づいた時、すぐに患者に言うことはできない。患者や家族の心情を考え、相手がどのような心理状態になるか把握し、家族の理解と支持を得てから告知したい。でも、患者の情報をいち早く本人に伝えないのは、患者の権利を侵害したことになると思う。人の権利と、告知した場合の反応、結果を総合的に考え、自分勝手な判断にならないように、個々の状況に応じてやるべきことを成し遂げる必要がある。完璧な対応は難しいだろうが、権利の侵害を後で訴えられたりしないように、できればしたいものだ。 

国家の情報の場合は、より状況が複雑だろう。利害関係者も多く、影響は大勢の人間の命や資産に関わって来る。犯罪スレスレ、あるいは営利目的でしか考えられない、そんな判断があったのかもしれない。そこを明確にして処罰できる仕組みが必要だろう。日本政府も記録を破棄して情報を操作しており、酷い状態だと言えるが、米国も酷いようだ。

でも、結局のところ、ブッシュ政権で逮捕者は出ていないはずだ。証拠が揃わなかったのではないだろうか?上手に証拠を消したのか?あるいは議会での力関係で聴聞をすり抜けたのか?

 

 

 

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