映画評

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2019年12月16日

パリの恋人(1957)

Funny-face

- Paramount-

ファッション雑誌の企画のために、無名の書店店員がモデルとして抜擢される。しかし彼女の哲学かぶれで騒動になり、大事なショーの開催が危うくなる・・・DVDで鑑賞。 

たまには良き時代のミュージカル映画を観たくなった。なにしろ世の中が殺伐とし、災害やらテロやら、次々と世間を騒がす事象が起こって、気が休まる時がない。桜を見る会の問題を読んでいると、希望を持てなくなってくる。映画くらいは優雅にいきたいものだ。 

この作品は、あまり評判を聞いたことがなかったので、名作とは言えないのかもしれない。確かに、もう一度観たいという欲求は感じなかったから、出演者の代表作、傑作とは言い難いのではないかと思う。でも、主演二人がそれぞれのダンスや歌声を披露していて、各々の見せ場を作っており、軽いロマンスの進行具合も当時の映画として標準的な展開だったように思う。おそらく、公開当時なら、この作品をデートで観ても悪い気はしなかったのではないか? そんな気がした。

ダンスシーンの出来は悪くなかった。特に主演の二人が古い教会の裏庭で踊るシーンでは、水鳥や浮橋を利用した演出がなされ、優雅な雰囲気を出していた。あれは見せ場だったが、時間の制限の仕方が難しい。少し間延びした印象を受けた。

エッフェル塔で3人が踊るシーンは出来栄えが良かった。当時のミュージカル映画でよくあったパターンだ。今の映画であれをやったら笑われてしまうだろうが、明るく、軽妙な雰囲気を出す良い演出だったと思う。踊りの技術を必要とされるシーンではないから、観客の側も安心できるかもしれない。3人で踊るシーンは、他の映画でも使われているから、一種の伝統技術になっていたのだろう。一人で盛り上げるのは大変だが、3人が順番に歌い踊ると退屈しない。 

地下のバーでオードリー・ヘップバーンがモダンバレエ風に踊るシーンも、おそらくは見せ場にするつもりだったのだろうが、出来栄えが今一つと感じた。彼女は元々バレーの素養があったと読んだ記憶があるが、それでも本職の踊り手ではないので、動きに関しての体力不足を感じた。そもそも、モダンバレーで観客に満足してもらうことは難しいと思う。斬新な動きを次々と繰り出し、ワンパターンにならないようにするのは簡単じゃないはずだ。専門の踊り手でも滅多にできないような動きを、主役にさせるのは無理があった。

ヘップバーン自身が希望してああなったのだろうと思うが、できれば笑わせることを目指して滑稽な動きにして、本物のダンスはエキストラたちの体力に任せたほうが良かっただろうと思う。そこを人気絶頂の大スターが納得してくれるかは分からないのだが。

フレッド・アステアは当時でも相当な高齢だったはずだが、動きに無駄がないのか、鍛錬のたまものか、踊りに関して不満を感じない。練習もおこたらなかったはずだし、食事にも相当な注意を払っていたのではないかと思う。 

スタッフの中に、写真家のアベドンの名前があった。作品の中でもファッション雑誌用の写真が出て来る。あの写真は効果的だった。本職の力量が感じられるからだろう。本職が集まって専門の仕事をこなし、それらを統合することで良い作品が生まれると考える。

 

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