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2019年12月20日

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。(2019)

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- ヤニス・バルファキス著 ダイアモンド社 -

経済学の本というより、経済学者の随筆に近い内容。経済学を論じた「経済学論」に近いかも知れない。

著者は、破綻した時期のギリシアの財相だった方だそうだ。破綻直後を担当したらしいので、破綻させた責任があるわけではないから、本を書いても読んでもらえるのだろう。本当に責任のある人物だったら、「てめえが何を書いても信用できん!」となる。そうならなかったのは、もともと有名な学者で、引っ張り出されたからだろうか。EU側の言いなりにならなかった点も評価されたようだ。信用があったのだろう。

信用は大事だ。どこかの国のように政権に忖度し、米国の言いなりになり、マズいデータをシュレッダーにかけてHDDのデータまで完璧に隠滅するような国だったら、誰も信用しない。信頼は大事だ。信頼を得るためには、時には都合が悪いことも堪えないといけないのだが、そこが難しいところ。人間は弱い存在だ。 

本の内容は非常に良く考えられたものだった。素人が充分に理解できるように、数値を極力省き、たとえ話も簡単な内容を選んでいることが分かるものばかり。そのような書き方ができるということは、著書の理解度が高いからだろう。中途半端な理解力の学者の話は、非常に難しいものになる。経験上思うのだが、理解できていない時に人に教えるのは難しい。中途半端に理解していると、自分でも説明の途中で訳が分からなくなる。  

面白い例が提示されていた。戦争で捕虜になった連中が、タバコを通貨代わりにするという話は、いかにもありそうな話で、たしか日本の収容所でもあったと聞いたことがある。収容所でなくても、部隊の内部でタバコや酒類の配布があると、交換経済が成立したと聞いた。通貨は絶対的な基準であり続けるわけではなく、物々交換に切り替わったり、価値の暴落、急騰など、予想外の変化は覚悟すべきものだと、あらためて学ぶことができた。

通貨に対する信頼も大事である。政府の発表が大ウソだったと分かったら、通貨を信用することも難しい。ギリシアがそうだったように、日本だって大がかりな虚飾が明らかになれば、破綻が起こりうると思う。

そうならないためには、辛く損になる事でも隠さず、記録も検証可能な形に残すことが必要。記録を残さざるを得ないシステムがあって、時の政権が介入できないという保証が必要である。信頼を失えば、全ての努力は瓦解しかねない。そこの理解が、政権にも役所にも欠けているように思う。危機感をもって、国の生き残りを考えるべきであり、自分の出世や政権の都合ばかり考えるのは止めて欲しい。

役所が本来の機能を維持できていないようだ。出世の道筋を内閣が握っているので、機嫌取りばかりに熱中せざるを得ないのだろう。国家の機能を維持するためには、定期的に政権を変えるべきだと思う。現行の制度の下では、首相がどれだけ支持されていても、5年くらいで替えないと、腐敗が自然に起こるようだ。  

破綻に備えて、物々交換で生き残るために、畑でも作っておこうか?

 

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