アラジン(2019)
- Disney -
ウィル・スミス主演のCG実写版アラジン。歌はアニメ版とかなり共通していたが、ダンスは最近の流行を取り入れており、少しインド映画も意識したような作り方だった。DVDで鑑賞。
CGの出来栄えは素晴らしかった。街並みや、その上空を飛ぶ絨毯の動き、風の抵抗の表現など、細かい部分の処理が丁寧で、観ていて無理が感じられなかった。ダンスも素晴らしい。インド映画とのレベルの違いを感じる。なんといってもディズニーは毎日パレードをやって鍛えられている会社だ。伝統が違う。
設定に違和感は感じられなかった。大まかな点では伝統に従っていて、安心して観られる作品だ。この作品を劇場で観るのは、親子連れだけではないかと思うが、今の親子はウィル・スミスに満足してくれるだろうか? その点を少し疑問に思った。
たしかにウィル・スミスは順調にキャリアを重ねている。スキャンダルも聞かない。アクション俳優には違いないはずだが、コメディ俳優の要素も大きい。今回の魔人役は、コメディアンが演じるべき役柄だから、キャスティングはスムーズに進んだのかもしれない。でも劇場主の感覚では、ミスキャストではなかったかと思えた。微妙なところかもしれない。
おそらく、本来ならもっと肥満体の、悪役の顔つきの俳優が一番おかしく、魅力的に感じられるだろう。キャラクターとしては、いかにも無茶なことをやりそうな、乱暴者の雰囲気の役者が良いだろう。ジョン・ベルーシやジャック・ブラックのような体形が欲しい。ひねた個性を売っているロバート・ダウニー・Jrやジョニー・デップでも面白かったかも知れない。ラップ調の曲には合わないかも知れないが、歌が外れても、この作品の個性を考えると問題ないと思う。
あるいは有名俳優でないほうが良いかも知れない。その代わり、アラジンや王女役をアイドルにしたら良いだろう。アラジン役は、もっと背の高い、王子役をやれそうな役者のほうが良かったはず。そのほうが昔ながらのディズニー映画の雰囲気に近くなる。子供が喜んでくれることは第一の目標なので、子供受けするための配役、ストーリーにすべきである。少し、ピントがずれていたのかもしれない。
劇場主の記憶では、本来の物語ではランプの魔人と、指輪の魔人が出て来て、指輪の魔人のおかげでアラジンが戦える話だったような気がするのだが、映画用に設定が変えられているようだ。この作品を見る限り、魔人が複数出て来る必要はないかも知れない。そもそもアラジンの話は、もともとは中国あたりの話かも知れないそうだ。アラビアンナイトの原典に、この物語はないという。いかにもアラビアチックな話だが、途中で加えられた話らしい。