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2019年11月14日

売り上げを、減らそう(2019)

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- 中村朱美著・ライツ社 -

佰食屋を展開する中村氏が、会社のあり方を紹介した本。売り上げを限定し、無駄を減らすことで、経営が安定し、職員の幸福にもつながるという内容。きっとドラマになりそうな気がするので、この劇場に登場していただく。

佰食屋は、食品業界における経営形態としては、かなり特異な形だと思うが、今日のように働き方に注目が集まっている時代では、学ぶべき点が多いと感じる。出版したライツ社が、これまた斬新で、出版関係者がたった4人で集まって始めた意欲的な会社らしい。きっと出版社も働き甲斐を求めて始めたんじゃないかと思える若々しい雰囲気。 

何かに特化し、昼だけ、あるいは夜だけ商売をする飲食店は多い。特化と限定は、佰食屋の専売特許じゃない。昼から営業する焼き鳥屋はあまり聞かないし、お弁当屋などは昼限定が多いと思う。もし一日中営業しても、それらの店の需要のある時間帯は限られているから、ほとんどの時間は暇になり、思ったほど売り上げを伸ばせない。自然と営業時間が決まっている。

でも、そんな店でも準備の時間が延々と続き、夜遅くまで掃除して、朝は早くから下ごしらえしてと、非人道的なくらいに時間を拘束されていると聞く。おそらく、焼き鳥屋は昼夜逆転の生活だろう。簡単に時間を短くすることができるなら、どこの店でも短時間労働にするだろうが、そんな楽な商売は滅多にない。激しい競争に打ち勝つために、営業努力を競う。

佰食屋の場合は、独特の商品を扱ったことで個性を出し、他の店舗が真似しにくかったというのが、成功の理由のひとつのようだ。直ぐに真似できる料理なら、たちまち真似されて売り上げも減って行くと思う。だから同じ手法はラーメン、焼き鳥、寿司では成り立たない。そんな個性のある商品が、次々と出て来るものかどうか? 滅多に出て来ないなら、この本の内容を参考にしても仕方ないことになる。  

売り切れ御免のスタイルも、饅頭屋やパン屋さんでは珍しくない。 美味しい食パンを目当てに遠くから人が集まる店の話はよく聞く。売り上げの制限は、佰食屋だけが成し遂げた奇跡ではない。  

それに世間は厳しい。大きな資本を持つ業者が、真似て格安の丼物を開発し、佰食屋を狙い撃ちにして競合させたら、さすがに資金力の勝負になって来るから、小型の店舗は維持できない。そんな業者が興味を持たないほどの、少額の儲けだからこそ今まで維持できただけとも考えられる。あるいは味覚と調理技術に優れた人間が、佰食屋のステーキ丼を参考にしながら、全く独自に斬新な焼き肉丼を開発したら、やはり厳しい競争になる。

そうなると、佰食屋が長期的に店を維持できるか、誰も分からない。数年後に、もしかして消滅していても不思議ではない。短期間の成功、発展だけでは評価できない。だとすると、この本の信頼度、説得力にも限界があるというものだ。

 

 

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