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2019年8月 2日

運び屋(2018)

The-mule

-Warner Bros.-

花の栽培で有名だった主人公は、経済的に困窮し、家族にも見放されていた。そこで彼は麻薬の運び屋になり、経済的に豊かになって家族との関係も回復しようと試みるが・・・  DVDで鑑賞。 

クリント・イーストウッドが主演と監督をも務めた作品。予告編の緊迫感が気に入って、レンタル開始早々に鑑賞した。原題のMuleという言葉は面白い。頑固者という意味と、運び屋という意味を兼ねているらしい。家族を顧みない仕事人間だった主人公に、まさにピッタリのタイトル。

作品の基調は静かで、ラジオの曲に合わせて歌を歌いながら飄々と仕事をこなす老人のユーモアあふれる姿が心地よい。派手な銃撃戦や荒々しい逮捕劇などはない。でも充分な娯楽性を感じた。

イーストウッドは90歳近いので、さすがに最後の仕事が近づいてきているはずだが、もしかすると、この作品がそうなるのかも知れない。仮にそうなっても称えてよいくらい、この作品は出来栄えが良かった。

まず音楽が良い。ジャズの造詣が深いらしいイーストウッドだが、この作品にはカントリーの曲や懐メロなども出て来て、荒野をドライブしながら聞く中で、とぼけた雰囲気、のんびりした安心感のようなものが感じられ、主人公を嫌悪する気持ちを生じにくくする効果があったと思う。若者がロックやラップ調の曲でシャウトしながら運転していたら、通常はあまり良い印象は持たれない。老人が古めの音楽で歌っていたら、たとえ犯罪者であったとしても、根は善い人としか感じられない。何度も繰り返された運転中のシーンは、この映画のウリだろうと思う。

そして、ストーリーのほとんどは実話に基づいているという点も、作品の魅力になっているようだ。犯罪者の物語とはいえ、時代の流れについていけず、破産の憂き目に遭ってしまった人物には、ある程度の同情を禁じ得ない。 家族を犠牲にしてたことを後悔しているという主人公のキャラクターも良かった。あからさまに邪険な態度をされて、ただ謝罪するしかない主人公には、「当然の報いだ」という感情は起こりえない。惨めであればあるほど、主人公に感情移入する仕組みができていた。  

この作品は企画の段階で、かなりの成功が約束されていたと思う。その企画を、ビッグネームの俳優たちが集まって映像化しているのだから、価値ある作品に仕上がったのも当然だろう。

 

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