映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 風の歌を聴け(1979) | トップページ | 羊をめぐる冒険(1982) »

2019年8月18日

ファースト・マン(2018)

First-manuniversal

-Universal-

アポロ計画で、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング船長の物語。DVDで鑑賞。

主演ライアン・ゴズリング、監督はデイミアン・チャゼルのコンビ。ゴズリングが適役だったかどうかは分からない。冷静沈着ぶりは上手く演じられていたが、あまりに表情がなさ過ぎたかも知れないし、そもそも実際の船長本人のようなタフネスのイメージが感じられなかった。

本人の映像を見ると、いかにも無骨な歴戦の軍人風で、どんなトラブルにも冷静に対処し、体力的にも頑強そうな感じなので、演じる役者も本来ならアクション俳優のほうが向いていたように思う。ただし、この作品は彼の内面に焦点をあてており、派手な活躍は描かない方針だったようで、最初から細面の俳優を考えていたのかも知れない。

観客としては、もっとアームストロング船長への敬意が感じられるように描いてほしかったようにも思う。そのためにはヒーローとして、かなりの誇張も含めて颯爽と描く必要があるが、そうなると映画としての価値は下がるだろう。ただのアクション映画になってしまう。どのように描くべきだったかは難しい問題だ。

実験機や宇宙船の中で、多くのトラブルがあったことがよく分かった。その点の描き方は素晴らしい。「ライトスタッフ」や「アポロ13」でもいろいろ描かれていたが、想定外のマシントラブルはたくさん発生していたようだ。実験で問題点をはっきりさせながら、徐々にレベルを上げていった歴史が、この作品でもよく分かった。

ボルトで固定されただけの鉄板みたいな機体に、豆電球のような警報表示、完全にアナログのメータ類。あんな装置で宇宙に飛び立ち、ドッキングをこなして帰還するなんて、さすがに無謀だと思う。音がするたびに、ドキドキしないといけない。パイロットの腕に頼る必要もあったろう。月面着地の時は、かなりのスピードで危なかったと、オルドリン飛行士も証言していた。

作品の中で、最初は旧式の装置だったのが、時代が進むにつれてデザイン的にも進んでいくように、おそらく研究者達の力を借りて忠実に再現しようとしていたようだ。トラブルの描き方が実に秀逸だった。超高速の飛行に耐えられる構造を作るまでは、いつ分解するか分からない物に乗って実験する飛行士が必ず必要だから、本当に命を懸ける必要があったろう。普通の神経ではおかしくなってしまいそうだ。

たぶん、勇敢さも必要だが、かなりの異常さもないと、長く続けていくことは難しかったと思う。未開の道を進む者は、恐怖と戦って知見を集めレベルを上げていく必要がある。無茶も平気でないとやれない。主人公と妻の関係も微妙だったようだ。当然だろう。そんな宇宙飛行士たちの異常さに、もっと焦点をあてて描くという考え方もあると思う。もっと彼らの苦悩を強調して描くことになるかもしれない。残念ながら、それだけでは観客動員数は減ってしまうだろうが。

 

« 風の歌を聴け(1979) | トップページ | 羊をめぐる冒険(1982) »

無料ブログはココログ