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2019年7月 9日

万引き家族(2018)

Shoplifters

- 是枝裕和監督、GAGA etc. -

下町でつつましく暮らす家族。しかし、彼らは本当の家族ではなく、老女の家に居候する雑多な人間の集まりだった・・・ カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した作品。劇場ではなく、DVDで鑑賞。 

DVDで正解だったと思う。理由は、音声が聞き取りにくかったからだ。鑑賞するために字幕を必要とした。こんな状況で鑑賞するなら、劇場ではストレスが溜まったろうと思う。もともと大声で会話するタイプの作品ではなく、ほとんどのセリフが小声や独り言のような内容なので、音の質を調整する必要があったはず。小さな声でも理解しやすいようにして欲しい。 

樹木希林やリリー・フランキーの演技は素晴らしいものだった。美女や二枚目俳優では、あんな味わいは出てこないと思う。この種の映画には、二人のようなクセのある俳優が必要だった。 

受賞したことは大きく報道されていたので、鑑賞する前に作品についての予備知識があり、ストーリーも知っていた。着想が素晴らしい。ただの犯罪者の活動を描いても殺伐とした刑事ものになってしまうが、そこに家族の姿を織り込んだことで、話の厚みが生まれたと思う。経済的な問題、子育ての問題、老後の問題、いろんな要素が織り込まれていて、質の高さを感じた。

しかし、カンヌのパルム・ドールに相当する出来栄えだったかどうかは、よく分からない。もともとカンヌ映画祭の受賞作には疑問の残るものが多いので、特色があるかどうかが評価されただけで、作品のレベルや質の点、最終的な出来栄えに関しては少し甘いのかも知れない。たしかに特色はあった。  

親の年金を得るために、死亡していたことを隠した家族の例は何度となく報道されてきた。高齢者で滅多に外出しない方の場合は、亡くなったかどうか確認するのは難しい。年金事務所の人間か、事務所から委託された誰かが家に行って、受給対象者と面談してみないと分からない。遺族にしてみれば、あてにしていた年金がなくなれば家計が苦しくなり、自活できなくなる家族もいることだろうから、死去を隠そうという意志が発生するのは当然だ。

でも、どう考えても数十年間も世間をだまし続けるのは無理だから、事が露見した時の事を考えて死去を隠さないのが普通だ。葬式もあげないなんて、親不孝だと劇場主は感じるが、生活を優先して考えざるを得なければ、亡くなった親を利用することも仕方ないと考えるもかも知れない。それこそ劇場主の家族が難民になって、命からがら戦地から逃げている場合を考えると、親が死んでも墓を建てようとは考えないだろう。そんなことをやっていて、皆殺しにされては困る。家族の死体を放ったままでも逃げるはず。つまり、切迫の度合いによるのだと思う。 

この作品では、それだけじゃなく、子供を拾ってきて育てるという誘拐行為も描かれていた。ネグレクトされていたり、生命の危機にあったりした子供達ではあったが、通常の感覚では子供を連れ去るという犯罪行為は避けるのが普通だ。善き意図があったとしても、心温まる家庭になれたとしても、問題がないわけじゃない。

だが、ラスト近くでの少女の表情を見ると、実母のところに帰って良かったとは誰にも思えないはず。つい最近も、虐待されて死んだ子供の報道が続いている。反省文を書いても許されずに亡くなった可哀そうな子もいた。児童相談所も努力はしているのだろうが、踏み込んだ対応ができない法律の不備や人員の問題があるようで、抜本的にやれないようだ。

 

 

 

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