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2019年5月 6日

上海バンスキング(1984)

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-松竹 -

バンドマンに騙されて上海に渡ったヒロインは、ステージ歌手としてキャバレーで歌う羽目になる。しかし、戦争が始まり、ヒロインの運命も厳しくなってくる・・・DVDで鑑賞。  

この作品は劇場では観なかった。劇場主は、当時の松坂慶子を演技や歌が上手い女優と感じてはいなかったので、おそらく観たらシラケて後悔すると予想したからだ。もともとは吉田日出子のほうが舞台で有名になった役だったので、どうして吉田が出ないのか不思議に思った。 たぶん観客を呼ぶために若くて美人の松坂を選んだのだろうが、せっかくなら歌手の誰かを選ぶべきじゃないか?など、キャスティングに関しての疑問は残ったままだった。

当時は結構評判になった映画だが、DVDが出ても鑑賞しようという気にならなかった。今回はたまたま棚で見かけたので思い出し、初めて観てみた。「リンゴの木の下で」は有名な曲だが、この作品の中では、なぜか歌は出てこない。不思議に思えたが、権利上の問題があったのだろうか? 吉田日出子のようなジャズっぽい歌い方が苦手な松坂のために、そうしたのかもしれない。

本作の松坂の歌と踊りは、思っていたほど悪くなく、ちゃんと役柄に一致していて、立派にヒロインを演じていた。ただの美人女優ではなかったわけだ。歌声は合唱団風で、けだるい感じの当時のジャズの歌い方とは違う。もし吉田日出子が出演していたら、ボンヤリした吉田の雰囲気や声が曲と合致して、さらに作品の魅力になったかもしれない。

風間杜夫が素晴らしい演技をしていた。すこしキザッぽいセリフの言い方が、この役にマッチしていたし、病的になっていく様子の表現も、端正な顔の彼が演じたことで非常に説得力が感じられた。宇崎竜童の役柄は、劇場主には少し不徹底に見えた。 博打好きの人物なら、もっと怪しい遊び人風の役者が他にたくさんいたと思う。狡さをはたらかして、ヒロインを困らせるようなシーンがあったら、もっと人物としての魅力も増したのではないかと思うのだが、この作品では好人物のままの個性で、そこに不満を感じた。

この作品には、映画「キャバレー」が影響しているのかも知れない。設定は似ている。ジャジーな音楽と派手なステージ、時代に翻弄される若者達の運命などは同じだ。反戦を基調として、人間性を肯定的に扱っている。人種や国籍による迫害を嫌悪していることも共通。派手でセクシーなショーの魅力と、裏に秘めた悲劇が深い印象を残す。善き題材だったと思う。 

日本軍の残虐行為が描かれていた。しかし今日の風潮では、あのような行為はなかったか極めて稀とする主張がはばを利かせている。反戦がタブーとなるなんて、恐ろしい世の中だ。今、本作のような表現をしたら、きっと文句が殺到するだろう。ネット上では暴言が行き交い、監督のホームページは炎上しっぱなしになるはず。上映中止を検討する忖度劇場が出るかも知れない。この作品は、描き方も時代によって変わる例となりうる。

80年代の上海の街中でロケをしているようだ。かなり古めかしい建物も多く、今の上海とは風景が全く違う。中国の経済発展前の記録としてみても興味深い映像。この後には世界の工場と言われるほどに発展したので、近代的な街ができるとともに、出てくる汚染物質も当然増えた。劇場主が住む地域にとって最大の影響は、風上の中国がPM2.5の生産地として発展したことと言える。 鼻の粘膜がただれるように酷い日もある。 そういえば今年は、昨年より少し症状が軽くなった気もするのだが、もしかして米中貿易摩擦の影響だろうか?そうだとすると、トランプ大統領に感謝しないといけない。 

 

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