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2019年5月18日

テルマ (2017)

Thelma_1

- Joachim Trier監督 - 

大学に進学したヒロインは、孤独な日々のある時、痙攣発作を起こしてしまう。不安が続く中で、彼女は不思議な経験をする・・・・DVDで鑑賞。北欧を舞台にしたスリラー映画で、主人公の少女の演技力が素晴らしく、演出も不気味な雰囲気がよく出ていて、優れた作品と感じた。  

CGのシーンもあったが、基本的には実写の、とても静かな作風だった。最近のSFでは、あまり流行らない作り方だと思う。特に米国製の映画は、おどろおどろしい演出が得意で、技術的に優れていて、それに圧倒されるものが多い。 昔ながらの静かなスリラーで、どうやって観客の恐怖心をあおることができるのか、そこが非常に難しいところと思うのだが、この作品は上手く演出されていた。

冒頭からの雰囲気で、少女には何かの秘密があるらしいと分かる。悪魔なのか?と疑う。でも、どのようなものなのかが非常にゆっくりとしか表現されない。超能力者なのだろうか? どんな残虐な能力を発揮するのか? オーメンのような展開か、単に少女の妄想という結果になるのか? 予想が難しい。 あの演出手法が効いていたと思う。早々と分かってしまってはいけない。

いっぽうで、静かすぎる演出では、観客が退屈しないか、充分な満足感を得られないまま終わらないかが問題になる。この作品は、ヘビが出て来るシーンは印象に残ったが、その他にスリルを味わえたシーンは少ない。少女がケイレンを起こすシーンはリアルで、表現が上手かった。演出とともに、演技力が素晴らしいのだろう。湖に張った氷に邪魔されて自分が上がれなくて苦しむシーン、赤ん坊がいなくなるシーン、女友達が部屋から消えるシーンなども印象には残ったが、ハリウッド映画ほどの怖さが感じられたとは言えない。

もう少し恐怖を明確に感じさせる特殊能力が表現されても良かったと思う。米国製映画で示される能力は、たとえば炎が出て来て一瞬で敵が火に包まれるとか、爆発する、暴風が吹いて敵が吹き飛ぶといった迫力のある場合が多い。その方面の技術は本当に素晴らしく、実写と区別することができない。この作品でも炎が出るには出たが、大人しい燃え方だった。

しかも、そのシーンが始まる前に、明らかにそのようなシーンになるだろうという前振りがあり、意外性は感じられなかった。やや盛り上がりに欠けた印象があったし、意味あいにも問題を感じた。少女は今後一人で生きていくことを決めたということだろうか? 父親と母親への対応が違っていたのだが、その理由も少し曖昧だった。少女の言葉で、少女が何を考えてああ判断したのか、誰でも理解できるくらい明快に分かったほうが良いと思う。そして、この作品の描き方では痙攣発作に対する偏見を生まないかも気になった。

 

 

 

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