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2019年4月 3日

ペンタゴン・ペーパーズ(2017)

- Dream Works etc. -
ワシントン・ポスト誌の記者、編集長、社主らが、ホワイトハウスからの圧力に抵抗しつつ、秘密文書を報道できるか?という物語。1971年に実際に起こった事件を再現したものらしい。DVDで鑑賞。 
 
当時の記憶では、ウォーターゲート事件のほうが圧倒的に印象深い。72年に発覚しているから、この文書の発覚のすぐ後である。
劇場主のイメージでは、この二つのスキャンダルは混乱してしまっていて、一連のものとしてつながっている。まだ子供の頃で、よく理解しないうちに大統領が辞任し、そこであらためて何が起こったの?と注目した次第。辞任前は興味も湧かなかった。 
この文章の存在によって、政権側の手法を疑問視する動きが強まり、ウォーターゲート事件を解明する強い力になったのかも知れないと思えるから、ふたつの事件は実際にも関連しているのだろう。
 
 
広い新聞社内で、記者たちの動きをカメラが追っていくが、そのカメラワークが良かった。滑らかな動きが緊迫感を生むと考えたのだろう。その通りだった。
ほとんどの人間は派手な演技をしていたが、主役のメリル・ストリープが、敏腕記者たちとは違った個性で、裕福な人種によくあるように、どこか呑気に世間離れした所作をして、あまり緊張感を出そうとしていなかった点も良かった。実際の社主がそんな人物だったのかも知れないし、映画用の演出なのかもしれない。
トム・ハンクスは名優だと思うが、この役の場合は猛烈な迫力が感じられる俳優のほうが良かったと思う。
トム・ハンクスには、必ずしもコワモテの迫力はない。もっと悪役に近い風貌の、人に言うことを聞かせるだけの怖さがにじみ出る役者のほうが、映画的には向いていたのではなかろうか? 反論したら殺されそうな狂気を感じさせていたら、この作品の質は上がったと思うが、そんな路線ではなく、史実に忠実に描こうとしていたのかも知れない。    
それにしても、新聞社の人達の勇気には感銘を受ける。
もちろん勇気だけじゃなく、ここで名を売れば、仮に会社をクビになってもジャーナリストとしての評価は高まるという計算もあるのだろうが、大統領を相手にしても戦う姿勢には、敬意を表さないといけない。
特に編集長は完全ににらまれていたはずだから、命の危険もあったと思う。 
 
それに比べ、日本の社会はどうだろうか? 
役人の中で統計をいじって政権に有利な方向にしようという、そんな恐ろしい判断が通ってしまうのは、末期症状だと思う。太平洋戦争の時代と同じだ。職務に忠実にありたいと考える人が少ないということだろう。
役人をクビになっても、命まで取られるわけじゃない。モラル、誇り、義務感より、自分の利益、出世欲、阻害への恐怖、それらが上回っていると疑われる。
でも仕方ない。役人個々のレベルを批判しても、意味はないだろう。政権が変わらないのだから、政権側におもねるしかない。こんな問題は続いてしまって当然だ。
定期的に政権を替えることが、国家にとっては必須である。権力を集中させない、それは常識。なのに、政権安定が経済にとって重要と強調する人が多い。長期的な害を認識できず、短期の景気などを優先するのは、わが国の伝統のようだ。
国民の中に、この種のモラルを重視する人が比率として少ないから、救いようがないのかもしれない。役人さんだって、人の子だから・・・・そんな感情が働いて、まず許すことを優先してしまうのではないか? もちろん許して良いのだが、再発を予防しないと国策を誤るだけだと思う。

 

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