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2019年4月14日

判決、ふたつの希望(2017)

- 監督Ziad Doueiri -    

The-insult_3

ベランダで花に水をまいていた主人公は、工事の監督から悪態をつかれる。謝罪を要求した諍いは、やがて裁判に発展する・・・・DVDで鑑賞。  

よくぞ、このような作品を作り上げたものだ。筋書きも、根底に感じられる不条理、不幸な歴史への憤り、人間社会の問題点を追及した姿勢も、どれもが素晴らしかった。  

作品のレベルを考えると、アカデミー賞の作品賞を何度か差し上げて良いと思う。外国映画賞ではなく、本賞が望ましい。難しいテーマを、よく処理したものだ。処理・・・処理という言い方は適切じゃない。たぶん完全に処理しきれるはずのない問題をテーマにしているのだから、描き方のセンスが良いとしか言えないのだろう。難しいテーマを扱いながら、作品として成り立たせているところが凄い。  

俳優たちは全く知らない方々だった。コメディアンだったり、監督だったり、いろんな方達が出演していたようだ。  作品の中で、中国製の偽物の製品に文句を言うシーンが2回もあった。中国製品は、その悪評とともに、あらゆる所に出回っているのだと改めて感心。中国へ反感が、また新たな諍いを生むかもしれないことを、この作品が予言しているのかもしれない。  

映像に写るべイルートの街は美しく、経済的に活気がありそうに見える。しかし、少し前まではシリアやイスラエル、各種の民兵が入り乱れる混乱、虐殺の応酬に苦しんだ歴史があるはずだ。つい30年前くらいのこと。 レバノンにはパレスチナ難民が今も多数いるそうだから、元の住民とトラブルが発生しないはずがない。そして、おそらく今でもISの残党などが侵入しているに違いない。何かあれば、直ぐに大きな紛争が起こりうる。  

どうしてパレスチナ難民の受け入れを、イスラム系の国に限定しなかったのだろう? 宗教や人種、国境の引き方や欧米の思惑の影響によって、地理的に近いからという点もあるのだろうが、とにかくトラブルが起こりそうな条件が整っている。そういえば古代からそうだった。十字軍の時代も酷かったはず。地中海沿いにキリスト教の国がしばらく続いたから、歴史上の無理を集約したような地域である。そこに暮らすのは、本当に勇気が要ることだろう。   

バナナの産地があるようだ。作品の中で、豊かな農園が映っていた。そんな集落で、なぜに虐殺が起こるのか? 自分たちが武力を持っていて、相手が持っていないなら、武力を使わない手はない、優位性を利用したい・・・・そんな単純な考えが浮かぶのだろうか? 劇場主が子供の頃の諍いは、そんなものだった。人数が多いか腕力のある先輩が仲間だと、気が大きくなるのだ。

条件が整った中での口汚い罵りから暴力へ、そして互いの憎悪が連鎖し、エスカレートした諍いが起こったのか?自然な成り行きとは思うが、酷い結果を考えて、安定を目指すことは無理なのだろうか?   

となりのイスラエル国内にもかなりの数のパレスチナ人がいるらしい。しかし、イスラエル政府は多数派を奪われることがないように、ちゃんと手を打っている。人口の比率は安定のためには大事な要素だ。住民を追い出したことで、イスラエル国内での内戦は起こっていない。テロは頻繁でも、内戦には至らない。多数派を占めることは、ある意味で内戦を避ける賢い選択と言える。しかし、そのために追い出された難民は、周辺国に酷い混乱をもたらしたはず。 

朝鮮半島と日本も酷い状況だ。韓国の裁判所の考え方はよく分からないが、普通に考えると、韓国政府が慰安婦や徴用工に対して賠償すべきと思える。日韓の戦後の条約でそのように決めたなら、それに従うべきだろう。ただ、その条約の韓国語での内容をよく知らない。英語の文章だと請求権を破棄しているようだが、韓国語で何と書いてあるのか?凄い違訳をしているかもしれない。 

将来、過激な言動から実質的な争いに発展し、酷い結果になることも予想される。その時、誰が責任を負うのだろうか?  

 

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