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2019年2月17日

空飛ぶタイヤ(2018)

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- 松竹 -               


運送業を営む会社と、トラックを製造する大企業、銀行などが、ある事故を契機に戦う物語。DVDで鑑賞。   


主演は長瀬智也。ジャニーズタレントである彼も、すでに40歳だそうだ。りっぱなオジサンになってしまった。でも、そのおかげで、この役に違和感を感じない。自然な演技ができていた。長瀬は歌声が少しハイトーンすぎて、TOKIOのボーカルには向かない印象もあったが、目の迫力は感じる。今後もっと活躍しそうな気がしてきた。時代劇、大河ドラマ、そして悪役に向くと思う。  


演出がオーバー過ぎなかったので、実在感が感じられたのかもしれない。監督は本木克英氏で、超高速参勤交代を監督した人だ。そのせいか、出演俳優たちも重なっていた。原作は池井戸潤。よく出来た物語だった。悪役も良かった。岸部一徳が憎たらしいセリフを吐きながら、いかにも企業の重役が考えそうな理屈をこねる姿が素晴らしい。この作品で最も魅力的な個性だったかも知れない。  


個人的にはもう一人、主人公の友人か兄弟で、銀行かトラックの製造に関わる人間が欲しかったと考える。会社と主人公との関係で悩み、敵対したり助け合ったり、最後には企業によって葬られ、哀れな最期をとげるような人物がいたほうが良い。それで主人公の怒りが爆発する・・・そんな流れは時代劇に似すぎるとも言えるが、この作品のようなテーマの場合は、望ましい設定ではないか?  


結果的に協力者になるのはディーン・フジオカと高橋一生演じる銀行マンで、両者とも人気の細身の俳優。ちょっと良い役過ぎた印象もある。会社を裏切る場合は、激しい緊張でビビりまくりながらの行為になる事が多いと思う。淡々とし過ぎていたようだ。そんな奴は滅多にいないだろう。  


この作品のアイディアの元になったのは、おそらく三菱グループのリコール隠し問題だろう。タイヤが飛ぶというのは、実際にタイヤが脱落した事件があったそうなので、明らかにそれを連想させる。 ネット情報を読むと、あの事件の賠償額は、意外に低かったと書かれていて驚く。会社がかけていた保険で賠償はされているので、あらたな賠償は必要ないという判断なのだろうか?リコール隠しは犯罪であり、それをも保険がカバーしているとは思えない。過失のない不慮の事故の場合は保険で支払えても、犯罪の場合は別の賠償責任が生じると思う。結果が殺人に相当しても、責任がないのか? そのへんの法的理論が妙なのではないか?   


その他に気になったのは、大企業のパソコンを廃棄する場合、HDDがそのまま業者に渡されるのだろうかという点。消去はするだろうが、そのままだとデータを戻すことはできるはずなので、普通はそのまま廃棄するとは考えにくい。専門業者に依頼し、会社内で完全にデータを消すか、あるいはHDDを取り出して物理的に壊すだろう。したがって、この作品のような情報漏洩は、普通は考えにくい。誰かが意図的にコピーして保管しない限り、記録が入手できないことのほうが多いと思う。会社のパソコンに情報があろうとも、それは捏造データのコピーだと言い張ることもできる。パソコン内のデータが、フェイクでないという証明は難しいだろう。   

 

 

 


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