映画評

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2019年1月 4日

マンハッタン物語(1963)

Love_with_the_proper_stranger

Paramount-    


売れないミュージシャンの主人公は、一夜を共にした女性から妊娠を告げられる。堕胎のために二人は協力することになるが・・・DVDで鑑賞。モノクロ映画だった。


古い映画だが、リマスタリングされているのか、映像は鮮明に写った。アクション俳優のイメージが強いスティーヴ・マックイーンが、舞台俳優のようにドラマを演じていて、それで全く違和感がなかった。演技が自然だったからだろう。自由人らしい考え方を述べるセリフは、実際にも波乱万丈の人生を歩んだ彼の個性と重なって、良い味になっている。生真面目俳優が自由人を演じても、なかなか本来の個性を打ち消せないことが多いから、役者の生き方も演技をする上では大事なんだろう。マックイーンやレッドフォードの時代は、役者の生き方が個性の宣伝にもなっていた。  


いっぽうのヒロイン、ナタリー・ウッドは不幸な少女のイメージが浮かぶ。それは、その後の彼女の人生を知っているからだろうが、役柄も悲劇のヒロインが多かったのではないだろうか? 少なくとも底抜けに明るいタイプの女優ではなかった。この作品での彼女はえらく細身で、懸命に生きている感じが漂い、良いキャスティングだったと思う。実はイタリア系ではないそうだが、自然にイタリアチックな雰囲気が感じられた。   


二人の会話が素晴らしい。このような状況に陥った男女が、現実にやりそうな会話がちゃんと述べられている。責任から逃れようという狡い部分や、自分の誇りを傷つけられて怒る時の話し方、会話内容が実に自然だった。今のドラマなどでも似たような男女の会話が展開され続けているが、演じた俳優の力量のせいか、あるいは脚本のレベルの違いか、観ていて耐えられないレベルのドラマも少なくない。この古い作品は、セリフに関しては全く古くなく、よく出来た戯曲だったと思う。舞台用の作品だろうか?    


妊娠が分かっても、本人はアルコールを平気で飲むし、周囲の人間もタバコを吸っていたようだ。街並みも時代を感じさせる。冒頭でたくさんの人達が職を求めて集まる場所があったが、最初は何をやっているのか分からなかった。職を求める、あんな集まりがあったとは! 山谷の工事人募集よりはハイソだろうが、ミュージシャンを募る集まりがあるのは、日本ではちょっと考えにくい。おそらく今ならネットを介して募集するのではないかと思う。

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