映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« マチネー/土曜の午後はキッスで始まる(1993) | トップページ | 7月4日に生まれて(1989) »

2018年11月27日

the four GAFA/世界を破壊した四騎士(2018)

-スコット・ギャロウェイ著・東洋経済新報社-

 

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4大企業の功績、害、今後の展望などを解説した書籍。読みごたえがあった。著者は大学教授であるが、いっぽうで起業家でもあるという。そんな人物は日本ではあまりいないだろう。起業家は、壮絶に仕事をこなしていかないと、直ぐに誰かにおいやられるものだ。 


インターネットが始まった頃、劇場主はまだパソコンも持っていなかった。しかし、その当時でも既にネット社会の予感は世にあふれていた。荒野に掘立小屋を建てて、そこを起点にネットで世界と商売する・・・そんなCMもあった。実際に当時は多くの若者がネット事業に参入し、一攫千金を夢見て戦っていたはずだ。今日の成功者は、いちはやく参入して画期的な商売の形態を作ることに成功したか、それを買い取った連中が多い。  


何が勝敗を決したのかは分からないが、ちょっとしたセンスの良さ、素早い決断、あるいは資金やタイミングなどか? 勝った場合は資金が集まって、さらに巨大な勝負に挑めるという、倍々ゲームで今日の地位を確立しているのだろう。 微妙な差が、やがて大きな違いになって大富豪を生むことになったように思う。   


しかし、さすがに過剰な寡占状態が目立つようになってきた。GAFAが税金を少ししか払っていない点も問題視されるようになり、最近はイギリスのように、新たな課税をする地域もあるらしい。当然のことだろう。4強がいつまでも支配を続けることはできない。今後さらに寡占が進んだり、誰かに取って代わられたり、きっとすると思う。   


NTTは大きなチャンスを持っていた。何といっても日本で通信といえばNTTだった。資金も豊富、人材だって豊富なはずだ。しかし日本のネット社会の中でもNTTは圧倒的な存在になっていない。大きいし確実な仕事ぶりだが、グローバル企業の中に割り込むほどではないと思う。元国営のクセが災いしたのかもしれない。  


また本には書かれていないが、米国発かどうかが、グローバル活動の際には大きな違いとなると思う。米国人の著者には、そこらが重要視されていなかったかも知れない。米国企業は、根本的には米軍の力を基にしている。GAFAの情報は、米国政府にも利用されているはずだ。他国との通商交渉によって米企業の権利は守られ、進出する際には米国発であったほうが圧倒的に有利で、敵の企業に政府から圧力をかけることも容易に想像できる。企業だけの力で今日を築いたとは言えない。 


でもネット関連企業に国力を集中させて良いのだろうか? 金の動きが大きくても、GAFAは軍事力とは直接の関係が薄い。旧来型の戦いの際に問題となったのは、重工業の生産力、人口、武器の優秀さと量だったと思う。通信も大事、資金が集まることも大事だが、国力とは少し違う力である。つまり、より重工業力がある国から発生したネット企業は、軍事力を背景にした通商交渉によって、GAFAを駆逐することも可能であろう。


GAFAに対しては、規制を考える人が増えつつある。個人情報を良いように使い、商品を売りつけようと広告を選んでくるから気味が悪い。個人情報の使い方を厳格にした企業が現れば、その姿勢に賛同した利用者が増え、GAFAを駆逐するかも知れない。


米国と米国発の企業は、技術の優位さを確保し、製造は後進国に移譲する手で豊かになった。米国の一般民を犠牲にして、巨大な資本を集めて一気に成長する・・・アップルは完全にそんな企業だ。日本のユニクロもそうだし、遅ればせながらソニーなどもそうやって利益を確保している。技術の優位性は、はたして保てるだろうか?中国企業だってバカじゃない。徐々に斬新なアイディアを出してくるだろう。その時、GAFAに資金が集まるはずはない。

« マチネー/土曜の午後はキッスで始まる(1993) | トップページ | 7月4日に生まれて(1989) »