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2018年10月 9日

中国と日本が分かる 最強の中国史(2018)

 

Photo                

 

- 八幡和郎著 扶桑社 -                 

 

中国の公的な発表には、強い意志が感じられる。不必要に思えるほど強硬で、勢力を拡大して行こうという意志が感じられ、反対は国内外を問わず許さないという強い姿勢だ。 発表の通りだと、周辺の国々は中国政府の意向に、ただ従わないといけなくなりそうだが、それは無茶な話だろう。   

 

もちろん、歴史的に中国は様々な外国勢力から侵略され続けてきたので、本来の権益は守られるべきと思う。しかし、中国の勢力圏をどこまでと考えるかは、かなりのグレーゾーンである関係で、非常に難しい問題になる。今の中国政府が主張する通りだと、確実に新たな紛争を惹起せざるを得ない。それは可能なら避けたい。だが、おそらく避けがたいとも思える。      

 

著者の八幡氏は、純粋な学者ではないらしいが、通産省の役人を経て、現在は大学の教授を務めているようだ。幅広い分野の著作を出しているので、中国関係だけの専門家ではないらしいが、日本史を学べば、自然と中国の歴史も研究しないといけなくなって、ついに本まで出したといった流れなのかも知れない。専門家である必要は、必ずしもないだろう。   

 

「最強の・・・」シリーズで、韓国史も書いているそうだ。議員に立候補されていたそうだが・・・どんなものだろうか?政治家が本を書いたり教授をやっても良いとは思うが、何でもやることから信用度の点で若干の疑念を感じてしまう。扶桑社の本を買うのも、ちょっと考えようかと感じている。      

 

扶桑社の本には、独特の傾向がある。「嘘だらけの日独近現代史」もそうだったが、単純明快で分かりやすい。分析は浅いかも知れないが、強く断言することで訴える力が感じられる。でも、考えを表明する時の根拠が、かなり限定的にしか説明されていないようだ。編集者の個性のためか、文章量の制限のためか、あるいは親会社のフジサンケイグループの意向の影響か分からない。  

 

もし、このような本に強く影響された人間が増えれば、独特な感性を持つ集団が出来上がる。もう既に、そんな人間が多数派なのかも知れない。その集団は、少なくとも検証を重ねて慎重に結論を導くタイプの意志決定をしないだろう。勢いのある意見を聞いた時に、それをまず信用することから思考が始まり、途中で思考過程に歪みがないか確認することをせず、ノリに任せて多数決を迫る手法をとるだろう。演説に影響されて、その気になるのと似て、勢いが大勢を決める、そんな集団が想像される。そんな集団は、巨悪に利用されやすいかも知れない。    

 

歴史の検証は非常に難しいので、ある程度の思い込みがないと何も書けないとは思うが、可能な限り根拠を示しながら、反対意見があれば、それにも敬意を払いながら自説を記載していくべきではないかと思う。そうすると話が長くなり、訴える力は損なわれるはずだが、書籍とはそういうものではないか?演説とは違う。勢いまかせの集団は、執念深く検証する奴らに、結局は駆逐されることが多いものだが・・・                          

 

相手にも敬意・・・・そんなの、もう流行んないのか? 敬意のことを気にする精神性は、戦いに勝てる時だけ気にすればよい?・・・・そうかもしれない。単純化、劇場化、勢いの良さ、それらのほうが大事にされる、そんな時代なのかもしれない。

 

 

 

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