映画評

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2018年10月23日

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017)

The_florida_project

 A24  -                         


ディズニーワールド近くで暮らす少女は、シングルマザーと暮らしながら近所の子供達とイタズラに励む日常だった。しかし、徐々に周囲の人々との軋轢が増してくる・・・・DVDで鑑賞。監督のショーン・ベイカーという人が考えた企画らしい。子供たちの自然な表情、母親役の女優のリアルさが印象に残った。 


劇場主が子供の頃は、意味のない事に勘違いして反応して大きく感情が動いたり、無駄な動作をやってしまったり、何もすることがなくてグータラ寝そべっていたりすることも多かった。大人になると、無駄な時間を徹底的に排除するクセがついてしまっている。友人と話すのも、宴会の時だけだ。階段下のスペースでだべったりは、まさか恥ずかしくてできない。    


でも、建物の隅っこでボンヤリ過ごした時間は、実に幸せな気持ちが得られたと記憶している。意味のない時間が幸せなのだ。あんな時間を過ごす姿を、この作品はよく描けている。それで作品にリアリティが増すし、観客の子供時代の記憶と相まって、共感につながる効果もあった。      


俳優たちの中で唯一といって良い有名俳優はウイレム・デフォーだった。彼が出演したことで、作品の認知度は上がったと思うが、必須の存在感を感じたとは言えない。良い役すぎなかっただろうか? 管理人にも何かの問題があって、この仕事をやらないといけないという設定のほうが、役柄に重みが増すと思う。その部分はカットされていたようだ。   


今日、米国は大変な好況らしい。こんな母子は、おそらく少しは減りつつあると思う。でも、豊かな社会にあっても、どこかにワリを食う人間はいるものだ。税制や社会保障制度の方針により、富の偏在が助長された点も考えないといけない。大企業の発展のために犠牲になった存在も、必ずいる。米国は特に格差が激しいから、底辺の人間はがそこから抜け出すのは簡単じゃないだろう。   


日本でだって、たびたび児童相談所の介入不足が問題視されている。アパートでファストフードばかり食っている子供も、きっと相当いるだろう。この作品の中で見られた食事内容は酷いものだった。あれでは肥満体の動脈硬化が出来上がるだろう。   


最近の米国の好況は、おそらく石油資源が確保された事、ベンチャービジネスが発展できる社会基盤があること、元々の国土、人口、市場の大きさなどが良い方向に働いたからだろう。日本の場合は、岩盤規制に代表される発展を阻害する仕組みが足枷となって、対処のスピードで負けてしまっている。    


劇場主は、若い頃に上司や先輩たちから方向違いの指導を受けたという感覚がある。研修を受けている当時は、自分が間違っているかもしれないので、思い切ったことはできない。理不尽さを感じつつも、あえて強硬に反論することは避けていた。だが、あの時感じた違和感は、正しいものだったと後で分かった。劇場主が問題と思ったことは、10年後、20年後には改善が図られるような問題であった。社会の認識が遅かっただけだ。    


おかしいと思ったら、あるいは新規のアイディアがあったら、それを採り上げて検証し、改善を目指す仕組みが必要で、忖度や組織の論理ばかりに捕らわれていては、発展は望めない。年長者、先輩を敬う伝統が、問題点を問題視しない意思決定につながり、忖度や贔屓など、状況の改善を阻む岩盤にもなっている。社会保障についても、曇りのない視点で考えるべきだ。

 

 

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