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2018年10月28日

天災から日本史を読み直す(2014)

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- 礒田道史著、中公新書 -                              

 

天災が日本の歴史に及ぼした影響を、文献を基に考察した書籍。古文書研究者から、最近は人気著作家と言えるようになった礒田氏の本。初版が2014年か2015年か、はっきりしなかった。    


内容は様々であったが、①津波の被害が、どの時期にどの程度あったかの推察、②豊臣政権に地震が与えた影響、③佐賀藩など、特定の地域の変化が中心だった。     


火山の噴火や津波、地震は、日本では繰り返し起こるので、様々な影響があったことは分かる。でも具体的なところが曖昧で、「影響あっただろうね・・。」程度の認識しかなかった。豊臣政権の時代の地震については、過去に読んだ歴史書にはあまり書かれておらず、その影響も全く知らなかったが、この本を読むと、あながち礒田氏の思い込みだけではなく、徳川との間の抗争に大きな影響を与えていたかもしれないと感じた。もしかすると氏が言うように、地震さえなければ徳川は滅んでいたのかも知れない。             


関東大震災は記録が残っているし、まだ時代的にも近いので、その影響もかなり知っていた。たとえば経済的な影響が、やがて軍部の力が増す方向に働いたといった見方をした文章を読んだことがある。経済ばかりではなく、地震がもたらす社会不安は、人の心を不安にするばかりじゃなく、議会や行政への不満をたまらせ、軍に信頼を寄せる大きな要因になりうると思う。      


熊本地震の後、食糧が一時的に手に入りにくくなった時期があったが、物流が進歩した今日でもああだったということは、昔ならごく当然のように餓死者が出るだろう。食料を運んでこれなければ、あるいは雨露をしのげなければ、病気にならざるを得ない。援助する機能が低かった時代は、災害に翻弄される人も多かったはずで、極端な方向に民意が動くこともあったと思う。     


今年も災害が非常に多い。大阪や北海道の地震、瀬戸内の豪雨、東北でも浸水があった。豪雨は温暖化の影響を疑う。地震が各地で続くのは、東日本震災と連動して、各地の地盤の歪みが調整されているからだろうか? そうだとすると、南海トラフ地震が起こっても不思議ではない。恐ろしい被害が出るだろう。備えができているかと言うと、まず無理だと思う。   


公共工事には妙な力関係が働くようで、非合理的な方向に引っ張られて、想定がおかしくなってしまうものと決まっているようだ。阿蘇の工事も熊本市内の白川の護岸工事も、常識を外れている部分があり、何を考えているのか理解できない。専門家達の能力の限界を感じる。歴史を調べて対処の仕方を考えるのは、責任を持つ者の義務だと思う。     


そして、まず常識的なセンスも必要だ。大海に面していて10メートルくらいの津波しか想定できない人間は、もはや専門家じゃない。結局は、専門家を選ぶ、その人事評価の仕方を間違っていたのであろう。専門家も、役場の担当者も、政治家も間違って選ばれていたら、酷い災害をより酷くしてしまうように思う。






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