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2018年9月 6日

スリー・ビルボード(2017)

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- Fox -              


タイトルにEbbingという単語が入っていた。舞台となった町の名前らしいが、確認していない。この作品の監督はマーティン・マクドナーという方であったが、それを知るまでは、この作品はきっとコーエン兄弟の制作だろうと想像していた。コーエン兄弟の作品と、作風に共通するものがあると思う。思いがけない展開になること、暴力の表現の仕方、それにフランシス・マクドーマンドが主演していることも紛らわしくしている。ブラックユーモア、丁寧な人物描写、恐ろしい犯罪行為、意外な展開、それらは上手く調合され、完成度の高い話だったと思う。  


警察署長をしているウディ・ハレルソンは、今までの役柄から考えて、悪役としてキャスティングされたものと思っていた。ヒロインとの頭脳戦が期待できる。ところが途中から人間性豊かな人物であり、ヒロインの敵ではないらしいと分かってくる。どんな対決をするのかという興味から、どうして力ずくで逮捕しないのかという疑問に変わり、やがて意外な事を考えていたのに驚くという流れの変化は、よく考えてあった。     


ヒロインの行動が徐々にエスカレートし、彼女の勘違いによって、けして称賛されないような内容になってしまう変化も、やはり同じ考え方で作られたように思える。意外性が重視されたのだろう。 


ヒロインの息子役を演じていたルーカス・ヘッジスは、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」でもそうだったが、実に上手い俳優だと感心する。ヒネた態度で主人公に絡んでくると、その場がとてもリアルに感じられる。あまりにはまり役なので、今後もっと違った個性を演じた時に、どんな演技をするのか分からないくらいだ。ヒーロー役が務まるだろうか?悪役なら、ヒネた個性は生きて来るかも知れないが、二枚目役はちょっと難しいと思う。どうやって役者として生き残っていくのか、本人には何か勝算があるのだろうか?     


日本で、たとえば殺人事件が発生して、警察の捜査方法に不満がある場合、この作品のような手段で被害者の遺族が世間に訴えることは可能だろうか?おそらく広告業界には自主規制があるはずで、特定の人物、団体を誹謗中傷する広告は許されない。仮に文言を工夫し、中傷や非難が直接的でないようにできたとしても、相手からの訴えがあれば、裁判所がどう判断してくるかはおよそ想像がつく。司法の面からもそうだろうが、職場や近所での立場についても、映画のヒロインよりも厳しい圧力が予想される。理不尽なリストラ、左遷、白眼視、嫌がらせは覚悟しないといけないし、それらは延々と続くだろう。     


しかし、もし極めて裕福な家庭が被害者側だった場合、もしかすると新聞広告などによる手段で、切々と心情を訴えかける内容、攻撃性を抑えた表現にとどめてならば、ひょっとすると広告が可能かも知れない。あまりに気の毒な境遇なら、警察にさらなる努力を期待しようという感情が多くの人に起こるかも知れないので、それを気にした司法側、警察側も、強硬手段には出られないかも知れない。    


おそらく犯罪被害者になった家族の多くは、穏やかな気持ちで捜査を見守ることはできない。犯人が分からないという結果には、とうてい納得できるものではない。よく初動捜査の方法を間違い、被害者家族を犯人と疑って犯人逮捕が遅れることがあるが、そんな場合、どんな補償をしているのだろうか?それこそ、被害者家族が猟銃でも持っていたら、襲ってこられても不思議ではないと思う。

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