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2018年9月27日

ある奴隷少女に起こった出来事(2017)

Photo                           

- ハリエット・アン・ジェイコブス・新潮文庫 -       

 

この本は、もともとは南北戦争時代に出版された作品で、紆余曲折あって最近ようやく日本語に翻訳されたそうだ。実に驚くべき内容。              

 

キリスト教が大きな力を持つはずの米国で、自分は信者であると自覚しているはずの人間たちが、奴隷制が存在する中で普通に生活していた、その様子が実によく表現されていた。驚いたことのひとつは、奴隷であるはずの少女が、かなり自由に祖母の家を訪れて相談をしている点。おそらくは自分の主人には許可を得ての上だろうと思うのだが、祖母は自由を得ている人間であり、人の行き来はさかんなはずだから、いきなり逃亡される可能性を考えないといけない。逃げないとしても、自由に街中を歩かれたりしたら、それこそ自由恋愛でもされるかも知れない。             

 

「ルーツ」などの本には、縛られないにしても、監視員が付いた環境で作業を強いられる奴隷たちが描かれており、そのイメージで拘束されているものとして考えていた。逃亡の危険度が低い場合は、かなり自由な面もあったようだ。それだからこそ、奴隷たちの側も耐えられた面はあったのだろう。足枷をされる農園もあれば、家族に近い扱いをされる場合もあったというのが実情なのかも知れない。                  

 

ジェイコブスは、自分の所有者を遠ざけるため、別の白人男性と関係を持ったように書かれていたが、これは少し理解しがたい行動でもある。要するに所有者が気に入らなかっただけで、イケメンだったら、あるいは議員だったら関係を許せるともとられる。虐げられた人のギリギリの判断だったから仕方ないのかも知れない。詳細なことは分からないので非難はできないが、所有者が酷い醜男で、写真でも見たら一発で納得できるものかも知れない。                

 

日本も戦前戦中の性暴力が、大きな後遺症を残している。問題を象徴する慰安婦像をめぐって、世界各地で論争が起こっているらしい。大使館の前に像を作る行為は、法的にどうなのかと懸念するし、直接関係のない米国の地方都市に慰安婦像を作るのは、どんな根拠があるのか分からない。訴えかける時にも、一定のルールはあるだろう。             

 

いっぽうで日本の国としての対応が、上手いやり方ではなかったのも間違いない。そもそも朝鮮半島に進出し併合することで、血なまぐさい事件や性的抑圧は必ず起こる。その恨みは必ず残るものであり、支配を続けない限り管理できないし、支配を続ければ遷延化、重篤化するだけだ。進出や併合を企画し賛同した人たちは、責任を取る必要がある。彼らの遺族が国政に関与したりなど、あってはならない。恥を知るべきだ。                   

 

結局、日本の主権を守ることに一度は失敗したわけだから、戦前の戦いは全ては失敗したわけである。半島に出たことは、結局は失敗だった。今日の状態は、起こるべくして起こっているもので、彼らにしてみれば当然の行動と思う。しかし、その行動の結果、「忘れられた巨人」を呼び起こしてしまわないかと危惧している。新たな対立、暴力を生む可能性がある行動は、正当な理由があっても褒められるものではない。

 

 

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