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2018年8月 4日

アメリカン・ソルジャー(2017)

Thank_you_for_your_service

- Universal -


戦争後遺症を描いた作品。マイルズ・テラー主演。DVDで鑑賞。   


イラク戦争から帰還した兵士たちの、それぞれの家庭の様子を描いている。原作があるそうで、その中では映画に登場していたような人物のドキュメンタリーが複数語られているらしい。非常にマイナーな、およそ興行成績を期待できないタイプの作品だと思うが、それでも映画製作ができる米国は、やはり健全性を持つ国だと思う。   


イラク戦争は結局、戦後に現地が混乱した状況を残し、ISのような予想外の敵が登場したりして、出征した米兵にとっては後味の悪い結末になったはずと思う。自分が正しい事のために命を懸け、貢献し、その対価を得たということを実感できないと自己満足は難しい。仲間を失ったショックからは立ち直れないと想像する。その精神の状態の描き方が大事だった。  


この作品は、微妙な障害を描くことに成功していた。普通の映画なら、妄想によって激しく暴れる人物を描いて、それで上手い演技だと訴えたいところだろう。それを極力避けて、静かに狂っている様子、笑顔で後遺症に悩んでいる様子を描いていた。その視点、演出方法には感心する。  


マイルズ・テラーは兵隊には向かない顔をしていると思う。彼が演技力のある俳優なのか、劇場主はいまだに分からない。「セッション」は素晴らしい作品だったが、助演者のほうが素晴らしかったように思う。あの作品が有名なので、マイルズ君は過大に評価され、この作品にも当然のように主役としてキャスティングされたものの、本当に適役だったのかは分からない気がする。表情が分かりやすいとは感じなかった。 


もっと純朴そうで体力がありそうな、いかにも兵士然とした俳優のほうが良くなかったろうか? この作品の性格から考えると、純朴な人物が酷い目に遭い、悩み苦しみ、病的になっていく姿をリアルに描いたほうが良い。たくましそうな若者が、無残にやせ衰えて病的になることで観客の側に哀れだと感じることが期待されているはずだ。そんな方向性は狙っていなかったようで、それで話が深刻になりすぎなかったとも思えるが、訴える力も損なっていたかも知れない。


日本の自衛隊員にも、おそらく派遣の後遺症に悩む者が出ているだろう。作品の中で、米軍の巨大な病院が描かれていたが、日本の場合はあんなに立派な施設はないはず。各地の自衛隊病院は規模が小さい。対応は一般の病院がせざるをえないだろう。派遣を本格的にやるなら、直ぐに厚生施設が機能するように事前に考えておくべきだ。精神科医やカウンセリング関係の人間が多数必要だろう。スタッフはすぐには集まらないので、事前に計画を練って、一気に稼働できるようにしないといけない。 


もちろん、派遣などないほうが良いのだが・・・




 

 


 



 

 

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