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2018年8月 7日

嫌われる勇気(2013)

- ダイヤモンド社  -       

 

アドラーの理論を解説した本。学者の岸見一郎氏と、彼によって触発された物書きである古賀史健氏の両氏が協力して作った対談形式の内容。  対談形式にした点に、優れた構想力を感じる。ただ解説してても、哲学的な内容だけなら読んで眠くなるだけだ。対決の形を設けたことで、読者が二人の議論に興味を持てるようになっていた。   

 

この本を買おうと考えたのは、横積みにされていて「ベストセラー」という宣伝文句があったからだ。 ベストセラーなら、きっと良い本だろうという浅い考えによって買わされてしまったわけだが、この本は構成が良かったこともあり、損した気分にはならなかった。  

 

読んでいて感じたのは、劇場主はまるで本の内容そのままに生きているんじゃないかという感覚である。半分は自慢なのだが、もし本当にアドラーが言うような生き方をしているとすると、自尊心は満足できても、喜んで良いかは分からない。理想を体現しているとなれば、そりゃあ周囲の人間からは嫌われても仕方ない。こちらは嫌われる勇気なんてないのに、自然に嫌われてしまう。そういえば、あんまり自分が人から好かれている気がしないねえ、なんでかな?と思っていたが、アドラー的な生き方が原因だったのかと、驚き呆れた次第である。       

 

でも劇場主はアドラーの本を読んだことがない。自然と似たような生き方になっちまったのだろうか?まさか劇場主が自然発生的な哲学の巨人ではないだろう。おそらく、こんな考え方は昔からあったのだ。中国の賢人だったか?似たようなことを述べた人がいたような気がする。

 

劇場主が個人事業主になったのは、大きな企業や役所など、人間関係が濃厚な職場で消耗したくないという理由があった。上昇志向の強い人間と接している時、人には数種類の感情が起こるように思う。競争に負けたくないという対抗心が浮かぶ場合、共感して意見に従う場合、覇気によって従属したいと感じる場合、そいつの過剰な負けん気に嫌悪感を覚える場合、ただ怖れ逃げる場合など、様々なパターンがあるはずだ。  

 

劇場主はいつのころからか、出世競争は無駄なことと考えるようになった。競争に負けたからだろうか? 仲間と一体になった競争なら意味があると感じる。社員が団結して新商品を開発し、ライバル企業に勝つための競争なら熱中できそうだ。協調に満足できる。でも社内でライバルの足を引っ張っても、満足できるはずはない。そんな競争は阿呆らしい。肝心の開発競争をおろそかにする人間が周りに多いと、もう会社への所属意識も保てない。

 

社内競争を組織の原理とされたら敵わない。 人事で人を動かす組織にいたら、幸せを実感するのは難しいだろう。もし社内競争に勝ち続けられたら満足できるだろうが、大半は憤懣を抱えないといけないことに当然なる。そんな組織が多いんだが、競争に勝った人間が方針を立てるなら、当然そうなるだろう。本来の業務よりも、不幸せを作るための会社になりかねない。  

 

それよりも、ささやかであっても自分の行為が誰かに良い結果をもたらし、ちょっとでも感謝されたら、そっちのほうがずっと気分が良い、充実した気分になれそうだと期待する。出世できなくて、そう考えざるを得なかっただけかも知れないが、実際にかなり満足できてもいるから、それなりに良い選択をしてきたと思える。大儲けはできないが、充実はできるということを重視した点で、まさにアドラーの勧める生き方に近い。 

 

既に本の内容を実現しているなら、この本を買う必要はなかったかも知れない。ということは、やはり買って損したのか? ちょっとぐらい損したかも知れないが、そんなにケチケチしてはいけない。ケチ臭いと、また人に嫌われるから。  

 

 

 

 

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