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2018年8月16日

ハッピーフライト(2008)

Happy_flight             

 

- 東宝 -        

 

綾瀬はるか主演のコメディ。8月5日、衛星放送で鑑賞。鑑賞した理由は、他に面白い番組がなかったからだ。この作品のことは宣伝を見て知っていて、ドタバタ喜劇だろうと思っていた。旅客機や空港を舞台に、CAや若いパイロットが活躍する話となれば、おそらく恋の話が中心だろう・・・。スチュワーデスが登場する番組は、恋物語かハイジャックものと決まっている。子供のころから何度観ただろう?そう思ってビデオも借りないし、もちろん劇場で鑑賞しようなどという考えも、一顧だにしなかった。   


しかし、劇場主は自分の不明を恥じないといけない。この作品の中で中心となっていたパイロット氏とCA嬢は、一回だけ挨拶をしたかもしれない程度で、会話もない。まったく別個に、それぞれが失敗をしながらも自分の仕事に懸命に尽くし、危機に陥った職場を立て直す一役を担っていた。そこが、この作品の個性、着眼点だったようだ。   


浮ついた恋物語が、今日の日本で受けるはずがない。とことん真面目な、あんまり夢はない、まとまっていて、派手な冒険を避ける、その姿勢に徹した点が、きわめて今日的な作品と言えるだろう。就職難の時代が続いた影響か?    


この作品は、監督のオリジナル企画らしい。作品の構想を考えるうちに、浮ついた恋物語もハイジャックの駆け引きも除外され、マイナーだがリアルな故障によって、乗客やスタッフが経験する緊張や、対処の仕方などが描かれ、結果としてなかなか爽快な物語になっていた。  


主役の綾瀬は、ドジそうな人物を演じると非常に味が出る女優。際立つ美人女優ではないと思うが、万人に好感を抱かせる独特の雰囲気が感じられ、そのためだろう、気がつけば20年近く活躍している。この役も非常に個性に合っていたと思う。もう一人の主役と言える田辺誠一は、綾瀬に比べるとマイナーな存在かも知れないが、こちらも様々な分野でちょくちょく顔をみる息の長い俳優。この作品では少し三枚目だが、ちゃんとした能力も見せるというキャラクターだったから、まったくの喜劇役者では個性的に少し合わない。キャスティングが上手く行っていたと感じる。  


エピソードが少なかったにもかかわらず、ちゃんと物語としてまとまり、意外なほどの達成感が感じられたので、映画作りに関する監督の手腕には改めて感心した。しかし、劇場主はもっと様々なエピソードが盛り込まれていたほうが、興行面を考えると良くなかったろうかとも感じた。あまりギャグシーンを増やすと、かえって観客に不快感を与えてしまう可能性もあるが、海外の観客などには分かりやすくなるだろう。ギャグ満載の前半から、ブラックユーモアと緊迫感あふれる後半と、観客の予想を裏切る展開に持ち込む、そんな極端な作品のほうが、個性的だったと思う。おそらく外国人にとっては、この作品はインパクトに欠けるはずで、どこが面白いか分からないだろう。

 

 

 

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