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2018年8月31日

フェリーニのアマルコルド(1973)

Amarcord

Warner Bros.-         


海岸そばの田舎町で暮らす少年チッタは、ファシストが台頭する時代だというのに、仲間たちとバカばっかりやっていた・・・ DVDで鑑賞。この作品が棚に並んでいたのは、デジタル処理されたのが比較的最近らしいので、その関係で準新作の扱いになっていたためだろう。    


アマルコルドという言葉は方言で、「私は覚えている」という意味らしい。フェリーニ以外の監督だったら、あえて方言をタイトルにしたかどうか分からない。分かりやすいタイトルにしたほうが良いと考えるのが普通だろうが、有名監督だから奇をてらっても、文句を言われにくかったのかも知れない。 


この作品が名作と言えるのか、個人的には疑問に思った。青春時代を懐かしむ気持ちは非常に強く感じ、共感はできた。誰でも感じるものだろう。そして挿入されたエピソードのそれぞれも、なかなか面白いものばかりだった。それでも、様々なエピソードの間のつながりがない場合は多く、シーンの間にはたびたびブラックアウトがあった。   


バラバラのままの内容になるのは、実際の体験も様々な時期に起こったはずだから当然だろうが、映画としての出来栄えにはマイナスに作用すると思う。バラバラで、寸断された喜劇シーンの集まり、そんなスタイルではドリフの大爆笑と大きく変わらないレベルになる。郷愁をあつかった「ニュー・シネマ・パラダイス」とは物語性の面でまったく違ってしまう。だから、この作品は郷愁を誘うこと、若き日々への甘酸っぱい感覚などが感じられるだけの、監督の私小説ではないかと思う。本格的な物語とは、また違う楽しみ方が必要と言えるだろう。ストーリー性が乏しいので、名作という範疇には入らないのではないか? 名作の間に、ちょっと趣向を変えた独特の作品があっても良い・・・そんな感覚で作られた作品に過ぎないと思う。    


ファシストが拷問のためにヒマシ油を使うという話は本当だろうか? 相手の自尊心を損なわせるためには良いアイディアだが、笑える話でもある。本当にあった話なら、敵愾心が薄く、ユーモアを理解するファシスト党員がいたということになる。特高時代の日本では、こんなユーモアを感じる話を聞いたことがない。真面目過ぎて過激になり、必要以上に厳しく国民を縛りつけていたのだろうが、イタリアの場合は国民性も制度も違うので、緩やかな部分もあったのかもしれない。

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