映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« セントラル・インテリジェンス(2016) | トップページ | シェイプ・オブ・ウォーター(2017) »

2018年7月21日

ルーズヴェルト・ゲーム(2012)

Photo

- 池井戸潤・講談社 -    

 

青島製作所は不況の影響で業績不振、その野球部も成績不振から解散の圧力が高まっていた。ライバル企業の策謀により、さらなる危機がやってきたが・・・・    


井戸潤氏の小説の文庫本を購読。質の良い話だった。読んだ後に、心地よい満足感を感じた。出来すぎであっても構わない。文庫本で買う分には充分な価値があり、コストパフォーマンスとしては最高レベルの満足感が得られた。この作品はテレビドラマ化されていた。でも一回も観なかった。おそらく非常に臭い芝居ではないかと予想したからだが、実際どうだったのかは知らない。 


読み終わった後に疑問に感じたのは、この作品に主人公はいたのだろうかという点。社長の細川は、ストーリーの中ではかなりのウェイトを占めてはいたが、野球に関してはあまり活躍していない。 野球部員もそれなりの物語を作っていたが、会社の本業とは関係ない程度だった。会長、野球部長、監督も、際立って活躍したとは言えない。会社の物語だから、一人のヒーローだけが活躍するのもおかしいし、これはこれで良かったのかも知れない。もし映画になることがあれば、重点を少し変えれば良いのだろう。  


ストーリーは最終的にはハッピーエンドに終わったが、もう少し現実的な方向に終わっても良かったかも知れない。新商品が簡単に成功することは稀なので、やっと開発しても第三者が驚異的な新製品を作っていて、市場をごっそり持っていかれた。台湾の企業が全部買って行った・・・そんな結末のほうが作品の質から言えば上になるかも知れない。ただ、海外に押されている昨今の日本には、もっと勇気付けられる話が欲しい。ありえないほど幸せな結末が、池井戸作品の特徴になってしまっているが、それも仕方ないかも知れない。    


池井戸作品は非常に分かりやすく、よくテレビドラマになっていることから言えるように、盛り上がる場面が多い。最初からテレビを意識して作られているのかもしれない。 この物語が優れている点は企業の競争、生き残りと、野球部の戦い、生き残り、そして会社や部を構成している個々人の戦いを、それぞれが連動する形で描けたことにあると思う。電気関係の企業の生き残りは、今の日本ではリアルな話なので、設定としてこれ以上はないくらい、よく考えられていた。  


企業スポーツクラブの衰退も、今日的な問題である。今はJリーグのようなタイプのスポーツクラブが盛んで、企業対抗の試合は、人気の上では一段下に位置している。寂しい面もあるが、選手たちのレベルのことを考えたら、企業単位では限界もあるので、やむを得ない面もあると思う。サッカーやバスケットに関してはそうだ。野球に関しては、ドラフトから漏れた遅咲きの選手を拾い上げるために、都市対抗野球に出て来るような企業クラブも、意味を失っていない。しばらくは、今のような形で選手の行き来がありそうで、一定の形ができている。    


本を買って読む行為は、安上がりで漫画よりは高尚な楽しみであると、やっと最近感じることができた。もちろん、映画だって楽しめる趣味だ。作品の出来栄えにかかってくるのだが、映画は金がかかっていることが多いので、テレビよりは出来が安定している。鑑賞した後に後悔したくないなら、文庫本とDVD鑑賞ということになる。でも気になるのは、両者とも今は衰退基調にあるらしいこと。ネット配信の映画に押されて、レンタルDVDの店舗は減りつつあると言う。本屋さんはさらに酷いもので、金をかけて本を買う人は減り続けているらしい。本は質の高い娯楽だと思うんだけど・・・


 



 


« セントラル・インテリジェンス(2016) | トップページ | シェイプ・オブ・ウォーター(2017) »