映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« シェイプ・オブ・ウォーター(2017) | トップページ | グレイテスト・ショーマン(2017) »

2018年7月26日

株価暴落(2004)

Photo_2

- 池井戸潤・文春文庫 -               

 

銀行員の坂東は、スーパー一風堂への融資に危機感を感じていた。そして一風堂を脅迫する文書が届き、爆破事件が起こる・・・文春文庫を購読。   


この作品はドラマ化されているそうだが、観たことはない。池井戸氏の本にはドラマ化されたものが多いが、映画化はまだ少なめで、「空飛ぶタイヤ」が最初らしい。あの人気だった半沢直樹シリーズも、TVドラマだけで今のところは映画化に至っていないようだ。この作品も映画化されてよさそうな気はするものの、銀行を舞台にした作品はアクションに限度があるし、この作品が過去の企業ものの作品と比べて著しい特徴があるとは言えないので、企画が通りにくいのかも知れない。日本を舞台とせず、中国や米国を舞台としたら、かなり受ける要素もあると思う。でも、とりあえずは文庫本での鑑賞だ。   


この作品では銀行員の仕事内容が、銀行員だった作者によって詳しく書かれているようだ。銀行員というと、あまり派手なことはせずに、一日中パソコンや書類をチェックし、見落としがないか確認するだけの疲れる仕事ではないかと思っていたが、外商のような活動もやっているように書かれている。銀行員が自分から企業を訪問し、融資の際の判断材料にすることもあるだろうとは思うが、大きな企業の場合は査定は相当複雑で、行って見たから分かる事は、そんなにはないかも知れない。でも見てみること、経営者に会ってみることも重要だと思う。見落としは避けたいものだから。  


スーパーなどに脅迫が来ることは珍しくないだろう。お惣菜が腐っていたといったことなら、毎日あったっておかしくない。事件として報じられるもの以外に、闇に埋もれている事例も多いと思う。  異物を混入したといった話は、しばらく毎年のようにあった。   


この作品で使われていた空売りを組み合わせるアイディアは、おそらく米国などでは昔からあったと思う。この作品ではやや単純すぎる上に、キャラクター的に無理を感じる設定がなされており、奥の深さ、情念の怖さを感じるような壮大さはなかったが、少し工夫して本格的な陰謀を考えれば、もっと凄い作品になっていたかもしれない。犯罪者を主役にしても良かったのでは?と、少し考えた。 恨みを持つ人間を利用することさえできれば、自分が逮捕されることなく、たまたま儲けたと言い張ることもできる。その利用の仕方に工夫が欲しかった。自分がそそのかした、あるいは計画したりしたという証拠を残さないなら、すり抜けることができるかも知れない。犯罪者の立場になって、そこに重点を置いてほしかった。 


「マネー・ショート(2015)」は、リーマンショックの際の空売りで儲けた人物たちを描いていたが、彼らが倫理的に問題なかったのか、どうも釈然としない部分は感じた。犯罪者とは言えないだろうが、何も生みだしてはおらず、ただ情報を得て賭けに乗って勝っただけではないか? 賭けたリスクに相当する利益を得ても悪くはない、しかし尊敬に値するとは、どうしても思えない。  


 



« シェイプ・オブ・ウォーター(2017) | トップページ | グレイテスト・ショーマン(2017) »