映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« レジェンド・オブ・フォール(1994) | トップページ | ある決闘 セントヘレナの掟 (2017) »

2018年6月 6日

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか(2017)

Koudannsya

 

- 鴻上尚史、講談社現代新書 -  

 

実在の元特攻兵、佐々木友次氏の伝記。著者は鴻上氏。演出を主な仕事とする鴻上氏が、特攻兵に興味を持ったのは、なぜだろうか? 本によれば偶然の成り行きもあったようだが、やはり劇作にならないかと考えたのではなかろうか?    

 

生き残った特攻兵は多いが、9回も出撃したというのは、おそらく他にはいないだろう。生き残るだけの操縦の腕と、無駄死にをよしとしないプライド、洗脳から距離を置くことのできる精神の力など、本人の特性があったと思う。それに加え、どうしても佐々木氏に死んでもらいたいと考える連中以外に、彼を生き残らせる、あるいは戦力として有効に利用したいと考えた人間もいた点で、彼は救われてもいるのだろう。   

 

作品の中では整備兵達が、上官の命令を無視する形で、爆弾を外せるように調整していたと書かれている。これは軍法から考えると、とんでもない命令違反に相当するから、本当は書籍に書くのは問題かもしれない。当時の整備兵たちのメンツは判ってしまうので、関係者がすべて亡くなったことを確認するか、あるいは本人たちの同意をすべて得てからでないと書くことに問題はある。良いことをしたとしても、命令違反ではある。    

 

特攻の命令をした人達が、その後は自衛隊で活動していたという記載に驚く。いかに優秀な人物であっても、特攻作戦は成功したとは言えない作戦であるから、責任はとらないといけない。軍事関係からは足を洗うべきだ。 効果に疑問があり、犠牲はすさまじく、作戦の性格的にも問題が多いことは明らかだから、そんな作戦に参画した上官には厳しい対応が必要だと思う。それが組織を維持するために必要な判断だ。自衛隊の人事に疑問を感じざるを得ない。    

 

何か不公正な理由で自衛隊に復帰し、引き立てられたということは大いに疑われる。自衛隊がそんな組織なら、戦えばまたきっと無残な結果に終わるだろうと、予想がついてしまう。間違った思考をする人物と分かっていて、その人物に判断をゆだねる・・・・それは破滅的。不公正さを排除する必要性に、気づかないようではいけない。    

 

最近の国会は荒れている。財務省の忖度、セクハラ疑惑に加え、PKO活動中の記録の管理が問題になっている。日報は公文書だから、国が続く限り永遠に保存するものと思っていたら、簡単に処理する規則があったのだそうだ。後で事実確認する必要が出た時に、分からないようにしたいという思惑が働いたとしか思えない。検証するのを難しくしようという、ずるい考え方ではないか?  


狡くても、狡賢い考え方ではない。 弱みを作ってしまうからだ。 そして戦略を間違える原因になるかもしれない。正確な記録は、勝つためにある。   

 

劇場主が敵なら、おそらく100年前の行為でも問題にして攻撃する。攻撃のネタになるものは何でも利用するのが戦いである。こちらに記録がなければ、敵の言う通りが歴史となる。記録で既に負けることになる。反論するために、記録は必要である。正確で詳細な記録は、武器の一種であると考える。自分の保身のために敵にネタを与えることを厭わない姿勢では、職務に残る資格がないと考える。  


もちろん現場の隊員は自分の不利益を覚悟しないといけないので、耐えがたいことだろう。その立場には同情するが、耐えて欲しい。そうしないと、しわ寄せが最終的には特攻作戦のような無茶につながるからだ。  

 

 

 

« レジェンド・オブ・フォール(1994) | トップページ | ある決闘 セントヘレナの掟 (2017) »