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2018年5月 7日

マザー!(2017)

Mother

- Universal

 

小説家の夫と暮らす若い妻は、夫が招き入れた不審な人物に反感を抱きながらも接待する。しかし、殺人事件が起こってしまう・・・DVDで鑑賞。 

 

前知識なしで、たまたま棚に並んでいたから借りてみたのだが、スリリングで謎の多い作品だった。ヒロインはジェニファー・ローレンス。大変な表現力だ。「世界に一つのプレイバック」の彼女より存在感を感じた。

 

ヒロインが普通の人ではなさそうだと直ぐわかる。建物の壁や柱に頭を近づけると、鼓動のようなものを感じ取る力があると分かる。どうやら彼女は何かを象徴した存在のようだ。いっぽうの亭主も、行動が無茶苦茶で、勝手で支離滅裂な行為をやらかしている。こちらは明らかに神や、強力な力を持つ身勝手な人間、あるいは信仰、信条を象徴しているように思う。

 

かなり宗教的な内容だと感じたのは、兄弟が殺しあう話。「エデンの東」にも使われた、カインとアベルの兄弟殺しが再現されている。弟だけが父の愛を独り占めしているというセリフが、それを意味していることは間違いない。すると、彼らの父親はアダムを意味するのか?でも彼はアダムのような性格ではないから、聖書を忠実に再現した物語ではなく、いろんな行動をとる人類を象徴しているように感じた。子供が亡くなってしまう不幸な親を象徴したのかもしれない。

 

そんな象徴に満ちた物語なので、作品はかなり無茶な展開になる。ラスト近くでは戦場のシーンが急に現れたりする。家の中で戦争が起こるなんて、明らかにおかしい。誰かの夢や妄想を描いた作品なのか?と、理解が難しい作り方である。これは芸術家たちが陥りやすい失敗のパターンではないか?そんな気がした。何のために、こんな展開にしたかったのか?そこが最後まで分からなかった。

 

夫が素晴らしい詩を書くことに成功したとたん、人々が家の中に押し入って勝手な行動をとるのは、宗教や思想、何かの技術、新製品など、魅力的なものを意味しているように思った。神がくれたとしか思えないようなスマホ、車、電化製品、地下資源でも何でも良い。素晴らしいものには、人々が群がって争いになることも多い。求める人達が狂ったようになったら、自然や先住民などの都合は完全に無視されるものだ。ヒロインは、そういったやられる側の存在を象徴しているように思える。

 

だが、映画でそんな内容を象徴的に描くのは、簡単なことではない。技術的に非常に優れた作品である本作も、説得力については不足していたと感じる。もう少し現実路線に近づけて、実際に起こりうる物語にしたほうが絶対に評価は上がっていたと思う。

 

 

 

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