映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« バリー・シール(2017) | トップページ | 素顔の西郷隆盛(2018) »

2018年5月22日

デビル(1997)

The_devils_own

The Devil's Own

Columbia

 

IRAの戦士が米国の刑事一家に居候し、母国への武器搬入を試みる。しかし、計画に邪魔が入ってしまう・・・513日、衛星放送で鑑賞。デビルズオウンとは、悪運やとんでもない悲劇を意味するようだ。   

 

ハリソン・フォードとブラッド・ピットが共演していた。若い頃のブラッド・ピットには確かな色気を感じる。でも最近の彼は、年齢的な限界が来ているようだ。色気で勝負してきたキムタクが、ほんの少し目元の具合が違うだけで賞味期限過ぎの印象を受けてしまうのと同様、同じ男優でも皺が出たほうが良い人と、出てはいけない人がいるようだ。その俳優の個性によるのだろう。

 

ハリソン・フォードは、その点で得をしている。皺が出ようが、体力が落ちようが、それなりに活躍しても意外に感じない。もともとが二枚目半のような個性だったから、見栄えが多少落ちても気にならないように思う。皺も白髪も体形の変化も、納得ができてしまう。 

 

「麦の穂を揺らす風」は心に残る作品だった。IRAが分裂を繰り返し、内部で対立が先鋭化していく中で兄弟の仲も割かれていくリアルな話だった。あれは実際に起こっていた話かもしれない。この作品もIRAの活動に伴う悲劇を扱っているが、作品の質は全く異なる。まさかカンヌでグランプリを取るような映画ではない。完全に娯楽作品、サスペンス映画の路線にあり、味わいの面では少し残念な印象も受ける。IRAの青年がもっと無残な最期をとげ、痛々しい姿をさらしていたら、観客の心に残ることもできたのではなかろうか?   

 

この作品の頃には、IRAの活動はあまり注目されないようになっていた。なぜだかは気にしていなかったが、活動自体が沈静化してしまったからだろう。北アイルランドでは、カトリック政党が政権に参画できているそうだし、武装闘争よりも合法的に権利を獲得していく路線に力が集まっているからではないか? 英国の鞭と飴政策が成功したのかもしれない。   

 

ただ、日本人からすると、アイルランドの一部だけが英国連邦に残ったままなのは、やはり不自然な印象もある。無理にでも南側と北側が統一しないといけないとは思えないが、歴史の成り行きによって妙な国境ができて、それがそのまま認められているのは、変だと感じる。最近またもめだしたパレスチナもそうだ。強い国の無茶な線引きが、悪魔がもたらしたかのような悲劇につながって良いのか?     

朝鮮半島だってそうだ。政治体制の違う国ができて、核戦争の危機をはらみながら交渉しないといけなくなっている。歴史的な経緯がそうさせてしまったようだが、悪魔の成した計画かも知れないという印象も受ける。正しい道を探れるような問題ではなく、ただそういう結果が残っているのが現実であり、解決は事態が変化する歴史の流れによってしか成されないものなのか、まあ直ぐには分かりようもない。

 

 

 

« バリー・シール(2017) | トップページ | 素顔の西郷隆盛(2018) »