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2018年4月13日

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016)

The_founder

- TWC -

 

マクドナルドがフランチャイズ展開するに至る経緯を、マイケル・キートン主演で描いた作品。DVDで鑑賞。    

 

見ごたえのある作品だった。マイケル・キートンの演技はオーバー過ぎてしまうのが常だが、今回は少し抑制が効いていて、野心を秘めて交渉にあたる人物が上手く表現できていたと思う。迫力たっぷりに怒鳴り散らす強面の演技だったなら、作品が安っぽくなってしまう。冴えない風貌でありながら、粘り強く成功を目指すタフな人物にはコメディアンだったほうが良い。前半で商売が上手くいかない哀れな様子が丹念に描かれていたから、彼が後半になってアクドイことをやっても、なんとなく観客は許してしまうのではなかろうか?描き方が良かった。 

 

しかし、肯定的に描いてよいのかという疑問は多少残る。冷酷なアイディア泥棒、権利の簒奪者、嘘つきの極悪人をヒーローとしてしまうのは米国では一般的でも、世界的にはどうか?あまりに起業優先のアンモラルな考え方ではないか?・・・・そう感じてしまうようでは、生き残れないのかもしれないけどねえ・・・と、思う。   

 

マクドナルドには最近は全く行っていない。子供達も大きくなり、ハンバーガー屋よりもまともな外食を好むようになったからだ。そしてチキンナゲットの悪評も影響している。ナゲットの品質については、マクドナルドのせいというより委託した中国企業のモラルのせいだと思うのだが、食品製造を中国に委託するというのは危険が大きい。世界展開をしている企業は、イメージを大切にするため、管理が及ばない企業には絶対に委託してはならなかった。モラルは元々が欠けていたのだろうが、イメージは大切だ。    

 

規模が大きくなれば、オリジナルの企業家であるマクドナルド兄弟を駆逐できるということに驚く。訴訟国家のアメリカだから、兄弟とクロック氏の間に交わされた契約は相当なものだったはず。制約さえしっかりしていたら、企業乗っ取りのような事態はなかったはず。フランチャイズ契約と、土地をからめた資金確保の手法、それらを最初の時点で読み切れなかった点が、ファウンダーとなるかどうかを分けたのかもしれない。   

 

資本主義は、こんな事業家が評価される傾向を生んでしまうようだ。富に対する偏重がある。まず金をつかむことが重要と考えられ、手段については目をつぶっても良いか?仕方ないか?という感覚になるものらしい。後は法的にどうかの判断になり、法規制をすり抜ければ構いやしないさ・・・・それが社会の基調になる。そんな仕組みが出来上がると、自然と外部にまでその影響が拡がる。その傾向が、まさにグローバリズムってやつかも知れない。 

 

それにしても恐ろしい企業家魂。こんな連中がうごめくなら、アイディアを盗み、権利を奪い、政治家やマスコミを誘導し、嘘を信じ込ませてでも富を得ることが許され、尊敬さえされるだろう。実際、大企業の多くはそんな歴史を経ていると思う。大統領や閣僚たちにも、そんな臭いを感じる。

 

劇場主は、そこまでの覇気がなかった。オリジナルの兄弟のように、自分のやる気で小さな診療所を管理し、ときに患者から感謝をもらえる、そこに最大の意義を感じている。チェーン化とか多角経営化などは、本来の運営目的からは逸脱しているように思う。そこが限界なんだろう。 

 

マクドナルド自体も、少なくとも熊本市では売り上げは頭打ちのようだ。だが工夫をして企業を維持していく姿勢は感じられ、その努力には頭が下がる。それでも今は回転ずしのほうがイメージ的に上に行っている。「健康」「安全」「清潔」「高品質」「低価格」「早い」「間違えない」など、多くの要素を満足させている。ハンバーガー業界は衰退期にあると思う。帝国の逆襲はあるだろうか?

 

 

 

 

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